生存 96 日目 天候:晴れ
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(何も食べずとも力が沸いてきます)
ルシア「エピローグをどうするか、困ったものねぇ」
かつて空を駆けていた船(410) からメッセージ
かつて空を駆けていた船「・・・お別れの挨拶だけでもと参上です(T▽T)ノ ピュ殿には前振りに出させてもらったり出しちゃったりもーほんと感謝尽きませぬm(__)m 外見に反してネタ役でしたが(ぁぁぁぁ」
かつて空を駆けていた船「・・・最後の時間です・゚・(ノД`)・゚・どうぞ達者に生きられますよう。あと呪いとかもほどほどにされますよう(T▽T)ノ(ぉー」
わかめパーマな羽唯(461) からメッセージ
わかめパーマな羽唯「ピュセルちゃんのその後の物語りもまた楽しみにしてるよヽ(´▽`)ノ(ぉ」
Rs(ライズ)(552) からメッセージ
Rs(ライズ)「結局最後のトドメはさせませんでしたが…、朝の決闘は厳しかったですね(ぁ」
Rs(ライズ)「それでは、またどこかで会いましたらよろしくお願いしますっ!!」
カトレア(690) からメッセージ
カトレア「また来世、どこかの世界で会えるといいね〜 それじゃっ!」
ピュセル(805) は言った
ピュセル「皆にメッセ送るのは無理なので、ここで御礼言っておくね。」
ピュセル「最後まで付き合ってくれた人含め、このゲームで出会えた皆、ありがとー!」
柚(862) からメッセージ
柚「だから、ステキな文章書ける人はやっぱ尊敬だよ!ヽ(´▽`)ノ」
柚「それにしても、リトルグレイで終わりだったね。もうお別れなんて、ちょっと寂しいナァ…でもやっぱり、別れは笑顔でないとね!(にこ)」
薫(1084) からメッセージ
薫「またどこかでお会いすることもあるかも知れませんが、その時はまたよろしうお願い致します」
十六夜「今まで薫の事を気にかけて頂きありがとうございました
お好きに呼んでください(1280) からメッセージ
アフロなみるちゃん(1407) からメッセージ
アフロなみるちゃん「きっとどこかでお会いするのです☆
ツヴァイ(1532) からメッセージ
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叫び声が聞こえる 蚰蜒(5) のシャウト! 蚰蜒「まぁ、なんだ、最後まで悪の華にもなれず、 救世主にもなれずに…半端者で悪かったな。」
いこま(10) のシャウト!
黒野(20) のシャウト!
イシュトル(21) のシャウト!
昼寝部由乃(50) のシャウト!
サファリング(52) のシャウト!
激☆蛸愛好家(56) のシャウト!
ロイド(71) のシャウト!
ベリー(74) のシャウト!
キュレス(88) のシャウト!
レイファス(116) のシャウト!
フェリン(134) のシャウト!
ハイン(143) のシャウト!
アーティ(150) のシャウト!
“鬼角”クシラ(159) のシャウト!
蒼悟(172) のシャウト!
アザミ(203) のシャウト!
カイゼル(208) のシャウト!
リーゼントなフル(221) のシャウト!
リーク(225) のシャウト!
スティード(255) のシャウト!
准尉さん(265) のシャウト!
ニャゴ(269) のシャウト!
あど(288) のシャウト!
りんご(306) のシャウト!
アフロなラディ(347) のシャウト!
みかん06(352) のシャウト!
禍を断つ業斧(353) のシャウト!
TiA(403) のシャウト!
一人と一匹で一人前(412) のシャウト!
ゆぅ(415) のシャウト!
ラディア(449) のシャウト!
由布(481) のシャウト!
リィル(492) のシャウト!
ランス・・・?(504) のシャウト!
欧月(549) のシャウト!
ミルワ(551) のシャウト!
Rs(ライズ)(552) のシャウト!
妖精さん(577) のシャウト!
あでんこo(585) のシャウト!
風真(595) のシャウト!
サトム(601) のシャウト!
遙(612) のシャウト!
雪(627) のシャウト!
ピープー(660) のシャウト!
きぃ(702) のシャウト!
シース(718) のシャウト!
ルウ(761) のシャウト!
るんぱ(774) のシャウト!
ウィル(775) のシャウト!
カナデ(796) のシャウト!
ピュセル(805) のシャウト!
Ivy(817) のシャウト!
ハル(819) のシャウト!
テラ(820) のシャウト!
シオン(821) のシャウト!
愛謝(826) のシャウト!
エレニア(838) のシャウト!
ごま(845) のシャウト!
疾風(886) のシャウト!
桂(906) のシャウト!
天神(made羊)(918) のシャウト!
プリム(926) のシャウト!
ラフィー(1022) のシャウト!
しおりん(1034) のシャウト!
歌姫カルラ♪(1040) のシャウト!
ラウラ(1056) のシャウト!
グレイ(1123) のシャウト!
精霊使いノア(1136) のシャウト!
五月野(1160) のシャウト!
キル(1174) のシャウト!
ルピ(1175) のシャウト!
まさじ(1190) のシャウト!
スピナー(1206) のシャウト!
リアラ(1212) のシャウト!
銀(1220) のシャウト!
ちこり(1240) のシャウト!
長老(1270) のシャウト!
いりえ(1288) のシャウト!
セイハ(1307) のシャウト!
エリン(1389) のシャウト!
リヴ(1418) のシャウト!
みーか(1493) のシャウト!
フェリア(1523) のシャウト!
みあん(1525) のシャウト!
ツヴァイ(1532) のシャウト!
棗(1550) のシャウト!
ブゥ@進展美(1555) のシャウト!
かごめん(1573) のシャウト!
ナナイ(1584) のシャウト!
アレナ(1586) のシャウト!
イッシュ(1621) のシャウト!
ものかきさん(1638) のシャウト!
幽(1701) のシャウト!
風鬼(1769) のシャウト!
リン(1813) のシャウト!
野良兎らぴ(1820) のシャウト!
“永遠に咲く花”ジュディス(1849) のシャウト!
フェティ(1925) のシャウト!
ふうちゃん(1993) のシャウト!
オフロなイカちゃん(2013) のシャウト!
『虹』の射手(2014) のシャウト!
呪夢(2053) のシャウト!
リトピン@逆モヒカン(2071) のシャウト!
にゃんぷる(2077) のシャウト!
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創られた幻の島が、強い光を放ちつつ少しずつ消えていきます。 唯一残るのは島の本当の姿、小さな、ひとつの島。 そして貴方は想います、これからの自分の居場所・・・ うぃるおちゃん(1280)と共にある場所 島の上空を巡る星々からの侵略者の脅威が去り行く中、 ここに一つの終着が訪れようとしていた。 ここは、もう一つの、異世界からの脅威を呼び込む場所。 氷の、世界。 「あーあー。落ちたねえ」 マルコキアスは、氷の大地に墜落して行くゴーテを見ながら、肩を竦めた。 「いや……油断するな。来るぞ」 ヴァプラが黒い衣を翻すと同時に、墜落した戦艦から、 強力な魔力が解き放たれた。 「……やってくれるじゃない?」 周囲に球状の結界を張りながら、 落ちた戦艦の方からゆっくりと近付く影。 「……貴女でしたか」 ヴァプラは呟くと、擦れた笑い声をあげた。 「……今度という今度は、逃がさないわよ? その衣ごと地獄の劫火で焼き尽して瓶詰めにして 濁流に放り込んでやるわ」 黒猫を肩に乗せた魔女は、近寄りがたい漆黒のオーラを 漂わせながら、ヴァプラと対峙する。 「さて……逃げはしませんが、どうですかな」 「ハハハ、怖いおねーさんだなあ。 じゃあ、そっちはヴァプラに任せて、 僕はこっちの相手をすればいいかな」 向き直るマルコキアスの方には、ヨル、うぃるお、黒鉄、羽唯。 「我々四人をまとめて相手すると? 大した自信だな」 サングラスの奥の目を細める黒鉄。 その横で、うぃるおと羽唯を護るように、 ヨルが大槌を構えて翼を広げる。 「……戦を司る魔人の力を甘く見ないでほしいね。 自信じゃない。これは『絶対』だよ」 マルコキアスは、そう言って牙を剥き、凄惨な笑みを浮かべた。 「さぁ、始めようじゃないかッ!」 ◆ ◇ ◆ 「力が結集している……間違いない。衝突がおきておる」 フレアの肩に乗ったステラが、呟いた。 「さっき、物凄い音がしたけど… …他にも、私達以外に来ている人がいるという事ですか?」 「恐らく」 端的に応えるステラだが、その表情には余裕はない。 フレアとツヴァイ、セーレを倒した二人は、その後、 激しい地鳴りの聞こえた地域へと急いでいた。 そこは、最初にステラが力を感知した場所でもある。 「俄かには信じがたい話だが……この島にある何かを狙って、 異世界の魔王がやってくる、か…」 ツヴァイは、先程フレアと共に、ステラから聞かされた話を 呟きながら、走る。 「正確には、島はどうでもよいのかもしれぬ。 終焉の魔王は……ヴィクスは、縛鎖から逃れる術を 模索した末、この島にフェザーを飛ばしたのだ。 私やピュセル、フェザーの居た世界では己を縛る鎖からは 逃れられぬと知ってな」 ピュセルとフェザーは元々、エステリアと呼ばれる 異世界において最初の風として創られた精霊であった。 だが、世界の管理者からの束縛を嫌い、フェザーは エステリアの大地に大地の礎として封印されていた 魔王ヴィクスの意識と邂逅する。 結果、フェザーはヴィクスの尖兵たる闇天十二翼の一人として エステリア世界に猛威を奮うのだが、 双子の姉妹ピュセルの同調意識干渉によって、 管理者にピュセルの意識の底に封印された。 その直後、最後のヴィクスの干渉によって、 フェザーを内包したピュセル毎、この島へと飛ばされたのだ。 「フェザーは、ヴィクスによって与えられたコマンドに よって、この島に魔王が降臨するための通路を開く役割を 果たす……つまりは、脱出の梯子だ。 …その前に、フェザーとピュセルを切り離さなければならぬ」 「その場合……フェザーさんはどうなっちゃうんですか?」 「……恐らく、意識毎、ヴィクスの待つ場所に 引きずりこまれるであろう」 肉体と意識は別物。 ピュセルの身体は、フェザーによって憑依されているに過ぎない。 切れた縄梯子は、当然、下から登り来る者と共に、 奈落へと落ちていくしかない。 「……そんな」 フレアは、フェザーの事をよくは知らない。 自分がずっとピュセルだと思っていた人が、 途中から摩り替わっていた事にすら気付かなかった。 それくらい巧妙にフェザーはピュセルを演じていたため、 フェザー自身のことは分からなかったのだ。 だが、犠牲を伴う終わり方は、彼女にとって 後味の良いものではない。 「……時には、そういう覚悟も必要だ。 とにかく、時間がない。判断はその場で出すしかないだろう」 俯くフレアを叱咤するように、ツヴァイは前を見ながら言った。 ◆ ◇ ◆ 「……ッ!」 氷樹ごと薙ぎ倒す強力な魔法に、ヴァプラの身体が 地面へと叩きつけられる。 過大な重力を伴った魔力塊が、黒衣の魔人を地面へと 縫い付けていた。 「そうよ……そうやって、私の前に跪きなさい!」 口許に笑みすら浮かべ、ハーマイオニーはヴァプラに向けた 手に魔力を更に込めた。 紫水晶の指輪が、彼女の魔力に呼応して妖しく光を放つ。 「く……ォォ……」 めきめき、と音を立てて、ヴァプラの身体を支える片腕が 軋みをあげる。 「さぁ、そろそろ終わりにするわよ…! 昇天なさい!」 最大級の魔力を込めた儀式を、対象に向かって解き放とうと 両手を掲げた刹那。 ハーマイオニーの眼前に、巨大な髑髏が迫った。 「!?」 「素晴らしい……結界内での私の魔力は貴女を凌駕している 筈なのに、それでもこの私を圧倒するとは……! その力、戴きますよ」 人の何十倍もあろうかという大きさの髑髏が大口を開け、 ハーマイオニーを飲み込む。 成す術もなく、彼女の身体は巨大な髑髏に取り込まれた。 「マイ!マイ!」 腕を振り上げたまま、突如微動だにしなくなった ハーマイオニーに、クロは必死で呼びかける。 「無駄ですよ……」 ヴァプラが、地面からゆらり、と幽鬼さながらに身を起こす。 「彼女は、終わらない悪夢に取り込まれたのです… …私の魔力全てを犠牲にした、最期の幻術のね」 ヴァプラの衣が端から風化するように塵となっていく。 「凄まじい……流石は異世界の魔女です。 私が本当の力を取り戻していても、勝てる見込みは なかったでしょう」 塵へと還っていく自分の身体を見つめながら、 ヴァプラは空を仰いだ。 「ヴィクス様……この女性の魔力と魂は、 解放されし貴方への贄に……」 呟きは、塵となって風の彼方へと消えていく。 「マイ!返事をしてよ!ねぇ!」 使い魔の必死の叫びと共に、彼方へと。 ◆ ◇ ◆ 「だらァァァッ!!」 鈍い音と共に、ヨルの鉄槌がマルコキアスの身体を まともに痛打する。 吹き飛ばされた獣人の身体を黒鉄の持つナパーム砲が 正確に狙撃した。 爆発音と共に更に吹き飛ぶ小柄な身体。 「ど、どうだっ!」 「どうもこうもないね……」 煙幕の向こうに、立つ影。 「やる気あんの? 君達」 ぺっと血交じりの唾を吐き出し、マルコキアスは拳を鳴らした。 「そろそろ、終わり?僕、攻撃してもいいかな?」 言うや否や、マルコキアスは地面に両腕を叩きつける。 瞬時に地盤が歪み、黒鉄の足元から岩盤が吹き飛んだ。 「うおっ!」 吹き飛ばされた黒鉄は、何とか地面に叩きつけられる寸前で 受身をとり、転がる。 だが、そこに二連、三連と岩盤の間欠泉が襲い掛かる。 「調子に乗んなよ、お前っ!」 とびかかったヨルの鉄槌の一撃がマルコキアスの顔面を捉える。 が。 「温いって言うんだよっ!」 鉄槌ごと、樹木へと叩きつけられた。 「さぁーて……最後は、おねーさんと……あれ?」 うぃるおの姿を見つけられず、マルコキアスはきょろきょろと 辺りを見回す。 「……ま、いいか。とりあえず、おねーさん。覚悟してよね?」 マルコキアスのぎらりと光る目に、萎縮したように羽唯は 身を竦ませた。 (あああ……どうしよう……黒鉄さんもヨルくんも 叶わないような相手に私が勝てるわけないわ…) あたふたと翼を広げようとする羽唯。 「逃がさないよっ!」 跳躍一閃。 マルコキアスの身体が、羽唯の身体を地面へと組み敷いた。 「うあっ……」 「さーて……おねーさん、なかなかおいしそうだし… …その喉笛を齧らせてもらおうかな……ん?」 じりじり。 組み敷いた腕から、煙のようなものが立ち上る。 「うあっちゃーーーーー!!!!」 絶叫と共に、マルコキアスは羽唯を放り出した。 押さえる右手が酷い火傷を負ったようにただれている。 「お、お前ッ、何したあっ!!」 「え?え?」 訳が分からず、自分の身体を見回す羽唯。 マルコキアスが押さえた右手が掴んでいた場所。 すなわち、彼女の左手にあったもの。 それは、桜色をした腕輪だった。 (……!) 思い至って、羽唯は慌てて、倒れ伏した黒鉄の元へと 駆け寄った。 「黒鉄さん!起きて!これを……!」 何とか起き上がった黒鉄に、何かを渡す。 「これを…弾に?」 「はいっ、早く!」 それ以上は聞かず、黒鉄は、言われるままに羽唯から 渡されたものを、装填した。 「もう、許さないぞっ!! 死んじゃえ!」 地を蹴って、二人の方へと飛び掛るマルコキアス。 その爪が二人の身体を引き裂こうとする刹那、 黒鉄が構えた砲身が、火を噴いた。 弾けるような音と共に、煌く光がマルコキアスの身体を包む。 「が、あああーーーーーーッ!!」 絶叫と共に、周囲を煌く光の反射が覆った。 ◆ ◇ ◆ 「起きるのだ、小童」 ふと、そのような声が聞こえた気がして、 ヨルは朦朧としていた頭を振るった。 「くそっ……俺、あいつに投げ飛ばされて……?」 起き上がった拍子に、何かが懐から落ちた。 小さな瓶。 ヴァプラが落としていったものだ。 うぃるおから預かっていた、小瓶。 その瓶の蓋が、落ちた拍子に外れた。 「くぁーっ!」 気抜けのするような声と共に、瓶の中に入っていた人形が 飛び出す。 「な、な!?」 「ぼさっとしている時間はないぞ、小童! お前の友人が、 一人でフェザーの元に行きおった。 追わねばならん。無茶をする前にな」 銀髪の人形はそう言うと、ヨルの持つ鉄槌をぴたぴたと叩いた。 「わちの力を貸してやる。 足りるかどうかは分からぬが……もとより一か八かじゃ!」 ◆ ◇ ◆ 周囲で様々な戦いが交錯する中、うぃるおは一人、 中央の拓けた場所へと向かっていた。 そこには、彼が追ってきた人がいる。 氷柱が光を乱反射する中、彼女は静かに空に浮かんでいた。 瞑想をするかのごとく、宙で何かを集中している。 「来たのね…」 ゆっくりと、彼女は目を開いた。 「師匠……いえ、フェザーさん……」 ぎゅっと帽子猫を握り締め、うぃるおは真っ直ぐに 彼女を見つめた。 彼が想いを寄せていた少女の姿を持つ、本人ではない女性。 その瞳は、以前にうぃるおが逢った時よりも深く、 虚空を見つめているように光を失っている。 「もう……止めて下さい。 うぃるおは……フェザーさんにももう傷ついて欲しくないです」 搾り出すようにして、うぃるおはフェザーの前に立ち、訴えた。 自分の想い人であるピュセルを助け出すためにでも、 フェザーとは戦えない。 それは、ピュセルも望んでいない筈。 それが、うぃるおが出した結論だった。 だが、フェザーは静かに目を伏せると、 す、と指先をうぃるおに向ける。 ぱんっ 「あうっ!」 甲高い音と共に、うぃるおの小さな身体が空中で跳ねた。 その両手に、つう、と細く紅い筋が流れる。 「……帰りなさい。 ここは覚悟を決めた者以外がいるべき場所じゃない」 指先をうぃるおの方に向けたまま、フェザーは目を細めた。 「今のは警告よ。次は……本気でやるわ」 その身体の周囲に、黒いオーラが纏わりつく。 呪術の、周囲を蝕む妖気が大気そのものをちりちりと焦がす。 「……フェザーさん……」 だが、フェザーを見返すうぃるおの瞳は、 転進の意を宿してはいなかった。 (二人とも……師匠もフェザーさんも……助けたい!) 「……残念だわ」 不退転の決意を見て取り、フェザーは再度指先に魔力を 集中させた。 その指先から、高圧縮の風の刃が幾つも生み出され、 うぃるおへと矛先を向けた。 無数に迫る真空の刃に、うぃるおは身を護る術を持たない。 だが、それでもうぃるおはフェザーを見据え続けた。 まるで、それがフェザーを呪縛から救う術であるかのように。 「うぃるおっ!」 真空の刃がうぃるおの身体を切り刻むかの瞬間、 黒い影がうぃるおを攫った。 「……」 新たな侵入者に、フェザーは一瞥をくれる。 大槌を手にしたヨルが、反対の手でうぃるおを抱え、 空中でフェザーと対峙した。 「お前……今本気でうぃるおを狙いやがったな……」 ヨルの柳眉が吊上がり、牙を剥く。 「……警告はしたわ。 邪魔をするならば、ここで血肉となってもらうしかないの」 「勝手な言い草をするなっ!」 大槌を振りかざし、ヨルはピュセルに飛び掛った。 槌が、ピュセルの小さな身体を襲う。 だが。 「…無駄よ」 がくん、とヨルの槌が、ある一点から先に進めなくなった。 「な……何だ……!?」 まるで、透明な壁があるかのように、 ピュセルの前で槌が微動だにしない。 『くッ……力が足りぬかッ』 ヨルの槌が、見えない壁を貫こうとする金属の刃のように 摩擦光を放つが、その一撃は届かない。 「力貸してくれるって言ったじゃないかよ…」 思わず悪態をつきかけるヨルだが、そんな余裕はない。 慌てて身をかわした傍を、真空の刃が切り裂いていく。 『せめて……わちらの力が揃えば』 『……揃うぞッ!』 突然、下方から声があがり、 二筋の白い光がヨルの前に集まった。 「な…?」 下を見ると、フレアとツヴァイが息を切らして立っていた。 『御前達……』 同じ姿形をした三つの白い少女達……ステラが宙で邂逅する。 『話しておる時間はないッ! 張るぞッ!』 フレアと共にあったステラが声高に叫ぶと、 三つの白い光が散開した。 『降臨 皇龍陣ッ!!』 「くっ!?」 三点に囲まれた位置にあったフェザーの胸元から、 白いもう一つの光が立ち昇る。 その光の中から現れた四人目のステラと、 三人の光がフェザーを縛り付けた。 『今の内にッ……誰ぞ、フェザーと接触せよっ!』 「−ッ!!」 白い光が眩く照らす中、うぃるおが何かを叫び、 フェザーの方へと飛び出した。 ◆ ◇ ◆ 誰かの声が聞こえた。 どれだけの時間が経ったのか、分からなかったけれど、 凄く久しぶりに、外からの呼びかけを聞いた気がする。 その言葉は、闇の合間を縫うひとすじの光のように、 あたしの許へと、滑り込んできた。 その瞬間、あたしの身体を覆っていた戒めが、 まるで氷が溶けるように消え去っていった。 「……!」「……!!」 やがて、呼ぶ声がだんだんと大きくなっていって。 あたしは、ゆっくりと、目を開いた。 射るような、光の奔流と共に、目に入ってきたのは、 あたしがこの島で逢った、そして、久しぶりに見た、 友達の顔だった。 「ししょーっ!!」 感極まって飛びついてきたうぃるおの身体を受け止め、 ピュセルは周りを見渡した。 フレア、ツヴァイ、ヨル、ユリカ、黒鉄、羽唯。 見知った顔を見つけ、ピュセルは一度、頭を振った。 長い眠りから覚めた頭を落ち着かせるかのように。 「―― ただいま、皆」 少し、はにかむ様に、風の精霊の少女は笑顔を浮かべた。 「……あーっ、何。もぅ… …一番おいしい場面に間に合わなかったじゃないッ」 悪態をつきながら、木々の陰からハーマイオニーが姿を現す。 「しょうがないじゃないかっ。 マイを目覚めさせるためにどれだけ僕が苦労したと…」 「……その事については、 後でゆーっくりと尋問させてもらうわ……」 じと目でクロを睨むハーマイオニーの顔には縦に 三本の線が走っている。 「あははははっ、ハーちゃん、変わってないねえ」 快活に笑い声をあげる、ピュセル。 その笑い声すら、久しぶりに聞くような気がして、皆も頬を緩めた。 ◆ ◇ ◆ エピローグ ◆ ◇ ◆ 数日後。 こね屋で大騒ぎのピュセルおかえり祝杯をあげた後、 うぃるおとピュセルは二人、 こね屋の屋根の上で夜空を見上げていた。 「久しぶりだね……こうやってうぃるおちゃんと空見ながら 話すのも」 「久しぶり……じゃないです。初めてですよ」 少し苦笑しながら、うぃるおが答えた。 確かに、今迄はずっと夢の中でしか逢っていなかった。 実際に二人がこうして、並んで話をするのは、初めてだった。 「……あはは、そうだっけ」 「……」 暫くの無言の間の後、ピュセルはぽつり、と呟いた。 「ねぇ、うぃるおちゃん……フェザーの事……有難うね」 「お礼、言われるような事、うぃるおは何も出来ていません。 結局、フェザーさんを助ける事も出来なかった……」 「……そんな事ないよ。だって、フェザーは……」 ここにいるもの、と言って、ピュセルは小さく丸めた手を 開き、うぃるおに見せた。 白く淡く光る、丸い儚げな光。 それは、精霊が精霊という形を象る前の存在。 「フェザーがフェザーという意識である限り、 魔王はこの世界への足がかりを持っている事になる… …だから、フェザーは自ら、自分の意識を消し、 こうして、精霊珠になることを望んだんだから」 うぃるおの掌に渡されたその光は、大人しくその中で静かに 浮遊している。 「もし、フェザーがあたしにとって代わった時のまま だったら……きっとそんな選択しなかったと思う。 あたしから剥離した後も、何処かに行って魔王の呪縛を 解くために暗躍し続ける事になったんじゃないかな…」 「でも、でも……」 こんなのって悲しすぎます。 そう呟きかけたうぃるおの頭を、ピュセルがぐっと引き寄せた。 「ね……あたしは、フェザーを元の姿に戻せる方法を探しに 行こうと思うの。 この島からももう、皆離れつつあるみたいだし… …他の場所に。 うぃるおちゃんは……」 こつ、と小さく額を合わせ、ピュセルは続けた。 「一緒に、あたしと来て、くれるかな?」 その言葉に、うぃるおはゆっくりと、 だけど、しっかりと頷いた。 「うぃるおは、いつだって、師匠と一緒です… …一緒に、居たいです」 ピュセルは、目許を拭い、うぃるおを強く、抱き締めた。 「ありがとう……うぃるおちゃん」 空にかかる星々が、今日は落ちていく事はない。 明日からのそれぞれの行く路を照らすために、黒い空を 照らし続けている。 島から離れていくもの、残ろうとするもの、 また別の場所へと向かうもの。 その行く路が、何処に向かっていようとも、 今日だけは、この島の星は、島に居る者達の標だった。 そして、今日という日をもって、 この島に流れ着いた記憶喪失の風精霊の少女は、 この島を離れ、新しい目的を持って旅立っていく。 その横に、最も大切な人を伴って。 ----- ◆ あとがき ◆ まずは、ALIVEお疲れ様でした。 第一回の参加より、折を見ては前振りを続けてきましたが、 最後の最後で急ピッチで何とか これも、メッセで応援して下さった皆様のお陰です。 有難うございます。 前振りで登場して戴いたPCの方々には、ご迷惑をおかけしました。 「こんなの私のキャラじゃない!」と思った方多数だと思っています。 技量不足で本当、情けない限りです。 設定というか、妄想で膨らんでいったピュセル&フェザーの物語ですが、 特に、うぃるお(1280)さんの存在は、この物語内において大きな役割を果たしました。 改めて、御礼申し上げます。あなたが居なければ、ピュセルは路頭に迷う記憶喪失娘 でしかありませんでしたから。マジで。 毎回、感想と何とかしたいという想いを込めて下さったフレア(1)さん、 有難うございました。 キャラクターの雰囲気を損ねていなかったか、それだけが心配です。 同じく、前振りの次の回には必ず感想を下さったZwei(1532)さん、 寡黙で格好いいキャラは、描くのが大変でした。 私はシリアス向いてないのかも…。 ヨル(1476)さん。 やられ役っぽい感じになってしまって申し訳ありませんでした。 本来、もっとオイシイ役割にする予定だったのですが… 全て、筆不精の私の責任です。 ハーマイオニー(1107)さん。お船とのやりとりは、 書いていて凄く楽しかったです。 魔女らしさは、ちゃんと出せていたでしょうか?(汗) 羽唯(461)さん。 本当はうなーとの絡みとか、もっと書きたいネタ沢山あったんですが…。 なにぶん、実力も時間も足りませんでした。全くもって残念…。 黒鉄(1203)さん。もっと渋いキャラとして描きたかったですが…。 辛い戦いを表現するための出汁にしてしまった感があり、申し訳ない(汗)。 ゴーテ(410)さん。 今回でも、出番を出して、色々弄りたかったんですが、どうやら タイムアウトの予感です。脳内補完で、お願いします(汗)。 そちらの前振りの終わり方も楽しみにしていますねー(´▽`)。<脅? その他、これまでにメッセ下さった皆様方含め、有難うございました。 ALIVEは終わりですが、色々思い出に残るゲームとなったのは、皆様のお陰です。 そして、このような楽しいゲームを提供して下さった、栗鼠神様にも感謝を。 次期栗鼠ゲーにも参加の予定ですので、 何処かで見かけたら宜しくお願いしますね。
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最後に、島内トーナメントおよびキャラクターランキングを実施します。 それらの詳細は 島内トーナメントは こちら キャラクターランキングは こちら を参照してください。
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