生存 96 日目 天候:晴れ
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木箱 を使用した! 蓋を開けると心安らぐ音楽が流れ・・・・・ SP が 1709 回復! 今日1日何者かに襲われる確率が減少! 今日1日戦闘中の行動速度が上昇! 幸運 が永続的に 1 増加! そして崩れた。 (何も食べずとも力が沸いてきます)
竜斗「もう終わっちゃいますしね……でもトーナメントがありますから、そこで戦えるといいかな。またどこかで(笑」
セイハ(1307) からメッセージ
セイハ「いっつもミスしちゃったりとか悪戯してごめんねー。でもおねーさんとの旅は楽しかったよ!」
セイハ「おねーさんは実家に帰るんだっけ…?家族を大事にね。」
セイハ「2戦目はもうここではできないけど…またどこかであったら…今度はおねーさんが正気のときにね!今度こそまけないよー?」
セイハ「じゃあ…ね…(寂笑」
豪斧 を訓練しました。(CP- 69 ) |
叫び声が聞こえる 蚰蜒(5) のシャウト! 蚰蜒「まぁ、なんだ、最後まで悪の華にもなれず、 救世主にもなれずに…半端者で悪かったな。」
いこま(10) のシャウト!
黒野(20) のシャウト!
イシュトル(21) のシャウト!
昼寝部由乃(50) のシャウト!
サファリング(52) のシャウト!
激☆蛸愛好家(56) のシャウト!
ロイド(71) のシャウト!
ベリー(74) のシャウト!
キュレス(88) のシャウト!
レイファス(116) のシャウト!
フェリン(134) のシャウト!
ハイン(143) のシャウト!
アーティ(150) のシャウト!
“鬼角”クシラ(159) のシャウト!
蒼悟(172) のシャウト!
アザミ(203) のシャウト!
カイゼル(208) のシャウト!
リーゼントなフル(221) のシャウト!
リーク(225) のシャウト!
スティード(255) のシャウト!
准尉さん(265) のシャウト!
ニャゴ(269) のシャウト!
あど(288) のシャウト!
りんご(306) のシャウト!
アフロなラディ(347) のシャウト!
みかん06(352) のシャウト!
禍を断つ業斧(353) のシャウト!
TiA(403) のシャウト!
一人と一匹で一人前(412) のシャウト!
ゆぅ(415) のシャウト!
ラディア(449) のシャウト!
由布(481) のシャウト!
リィル(492) のシャウト!
ランス・・・?(504) のシャウト!
欧月(549) のシャウト!
ミルワ(551) のシャウト!
Rs(ライズ)(552) のシャウト!
妖精さん(577) のシャウト!
あでんこo(585) のシャウト!
風真(595) のシャウト!
サトム(601) のシャウト!
遙(612) のシャウト!
雪(627) のシャウト!
ピープー(660) のシャウト!
きぃ(702) のシャウト!
シース(718) のシャウト!
ルウ(761) のシャウト!
るんぱ(774) のシャウト!
ウィル(775) のシャウト!
カナデ(796) のシャウト!
ピュセル(805) のシャウト!
Ivy(817) のシャウト!
ハル(819) のシャウト!
テラ(820) のシャウト!
シオン(821) のシャウト!
愛謝(826) のシャウト!
エレニア(838) のシャウト!
ごま(845) のシャウト!
疾風(886) のシャウト!
桂(906) のシャウト!
天神(made羊)(918) のシャウト!
プリム(926) のシャウト!
ラフィー(1022) のシャウト!
しおりん(1034) のシャウト!
歌姫カルラ♪(1040) のシャウト!
ラウラ(1056) のシャウト!
グレイ(1123) のシャウト!
精霊使いノア(1136) のシャウト!
五月野(1160) のシャウト!
キル(1174) のシャウト!
ルピ(1175) のシャウト!
まさじ(1190) のシャウト!
スピナー(1206) のシャウト!
リアラ(1212) のシャウト!
銀(1220) のシャウト!
ちこり(1240) のシャウト!
長老(1270) のシャウト!
いりえ(1288) のシャウト!
セイハ(1307) のシャウト!
エリン(1389) のシャウト!
リヴ(1418) のシャウト!
みーか(1493) のシャウト!
フェリア(1523) のシャウト!
みあん(1525) のシャウト!
ツヴァイ(1532) のシャウト!
棗(1550) のシャウト!
ブゥ@進展美(1555) のシャウト!
かごめん(1573) のシャウト!
ナナイ(1584) のシャウト!
アレナ(1586) のシャウト!
イッシュ(1621) のシャウト!
ものかきさん(1638) のシャウト!
幽(1701) のシャウト!
風鬼(1769) のシャウト!
リン(1813) のシャウト!
野良兎らぴ(1820) のシャウト!
“永遠に咲く花”ジュディス(1849) のシャウト!
フェティ(1925) のシャウト!
ふうちゃん(1993) のシャウト!
オフロなイカちゃん(2013) のシャウト!
『虹』の射手(2014) のシャウト!
呪夢(2053) のシャウト!
リトピン@逆モヒカン(2071) のシャウト!
にゃんぷる(2077) のシャウト!
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創られた幻の島が、強い光を放ちつつ少しずつ消えていきます。 唯一残るのは島の本当の姿、小さな、ひとつの島。 そして貴方は想います、これからの自分の居場所・・・ とある森の外れ―フェイルフォード邸付近― 此処はエルフ達の住む集落の森の外れ、そこからは人間達の住む街の近くでもあり、森の小高い丘に佇んでいるその邸宅は人間とエルフ達の住む場の境界線の様でもあった・・・・。 そこに一人の少女が佇んでいる、勿論人を待っているとかそう言うものではない、少女の手には抜き身の長剣と短剣、全ては己の鍛錬の為であり、他人を護る術を身に着ける為でもあり、未だ超える事の出来ない目標をいつか超越する為というのもある。 彼女の名はフィルナリエル・フェイルフォード――長いと言われたのと自分もそう名乗るのが少し面倒なのでフィーナと言う愛称がある――フェイルフォード家の末子にあたり、彼女も例外なく魔法の素質は低い為、武器でそれを補う形を取っている。 フィーナが朝の鍛錬を終え――とは言っても姉がいないので姉の動きを想像してそれと対峙する程度ではあるのだが――息を整えてから汗を拭き家に戻ろうとすると、唐突に生まれる鋭く、かつて無いほど研ぎ澄まされた敵意――彼女はそのまま後ろの確認もしないまま振り向くと同時に剣を横薙ぎに払うと気配は軽く飛んで後方へ宙返りをしながら回避し、その宙返りの勢いを乗せて何かを投げつけてきた。 「っ!!」 咄嗟に剣を前に出して防御の姿勢を―取らずに倒れこみ投げつけられた物をやり過ごす、豪速とも言える程の勢いで通り過ぎたものを見て戦慄を覚える、それはとてつもなく無骨な斧――こんな物を投げ付けるのはフィーナの知ってる限りでは後にも先にも一人しかいない、それ即ち・・・―― 「・・・・・私を殺す気ですかッ!!姉さん!!!」 「いや、お前の理論どおりならこの位造作も無いだろ?」 彼女の姉―リスティス・フェイルフォードが何時もと変わらない不機嫌な表情に皮肉たっぷりの笑みを浮かべて立っていた。 そもそも彼女が旅を始め、あの島に流れ着いたきっかけは二つある、一つは閉塞された集落に嫌気が差した事、もう一つは自身の戦闘理論と武器製造技術の向上のためである。 島に着いた最初はそれこそ製造だけに専念しようかと思ったのだが、昔組んでいた者たちを見ていて理論だけでは何も追いつかないというのを知り、実戦もやろうと思い出すがそれが原因で反目し、ついには彼等の元から飛び出してしまう、その時彼女の心には抑える事の出来ない殺害衝動や憎悪といったものが宿り、ついには暴走するが当時彼女と共にいた者がそれを止め、元に戻るという経緯はある・・・・・が、それはこの際彼女自身に後で語ってもらうとしよう―― フィーナはすぐに立ち上がり、武器を構えて何時も通りに腰を落す、帰ってきた姉が本物の姉ならば初手は自分が貰える、そう考えているからなのだが・・・・・姉は全く構えを取らない、それどころか不機嫌な表情が消えてもの凄く意地の悪そうな笑みを浮かべている――何故だろう?あの笑みからは嫌な予感が強烈にするのだが・・・・・・ 「姉さん・・・・何がそんなに可笑しいんです?」 「お前さ・・・・・・・・もう手遅れだろうけど後ろを見ないと私とやる前に大怪我するぞ?」 ニヤニヤと笑ったまま指摘をするのでフィーナは後ろを見ると其処には倒れてくる大木が眼前にあった 「えっ・・・・う・・・うそぉぉぉぉ!?」 更に勢いを増して迫ってくる大木を見ながらフィーナの意識は途切れてしまった・・・・・・・・・・ 「いやー、流石にビビったぞ?まさか本当に木の下敷きになるだなんてな」 「姉さん・・・・・・どうせわざとでしょ・・・」 「ははっ・・・当然だろ?アレくらいかわせなきゃ私と同じ土俵に立つことなんてとてもじゃないけど無理だぜ?」 フィーナを木の下から引きずり出して起こしてやったスティードは当然の如く睨まれながら文句を言われ、それをさらりと受け流していた。 この姉妹は信条とする戦闘理論の違いからいがみ合いながら手合わせをしてお互い凌ぎを削ってきたのだが―― 「ところでさ、お前・・・・・腕でも鈍ったか?」 「なっ!・・・・失礼ですねっ!これでも多少腕を上げたんですよ!!?」 「そうか・・・なら私の腕が伸びすぎたのか・・・なんてな」 冗談交じりにそう言いながらも家に向かう二人、途中でふと思い出したのかこう言った。 「フィーナ、お前の言ってた『戦闘は機動力』って言葉あるだろ」 「はい」 「あれな・・・・・お前の言う通りだったわ、ただ機動力だけじゃ駄目だというのもわかったがな」 「・・・・・そうですか・・・・・・・・・・理論の完成にはやはり実戦あるのみですね」 自分に欠点があるところは素直に認め、受け入れて更に事故の理論を補強する、こうしたやり取りをしながらもずっと二人は競い合っていた・・・・それはこの二人だからこその姉妹の形なのかも知れない――。 二人が理論の再構築に悩みながら館に向かうその途中、一人の男が剣を空に向かって掲げたり色々しながらその剣に魅入っていた。 「何だありゃ・・・・兄貴か?」 「・・・・・・・・・あれが兄以外の何に見えます?」 「なんつーかよ・・・・・・私が出る前より酷くなってないか?」 「・・・・やっぱり・・・そう思います?」 「あぁ・・・なんつーか・・・・・・・・・私が居ない間に調子に乗ってなかったか?」 「・・・・私は武器製造の方に関してはさっぱりですので・・・・・・・・・・多分」 などという会話をしている間にも二人は男をなるべく見ないようにしながら家へと急ぐ、それこそ早足で――だ、しかし紙は容赦なしと言うべきかその男は二人に気付き駆け寄って来た。 「おぉ、帰って来たのかスティード、所で早速だがこの剣の――」 「黙れクソ兄貴」 尚も何かを続けようかとした所を遮ってスティードが斧を一閃すると―パキィィィンッ――とやたらと軽い音を立てて剣が両断される 「生憎私は兄貴の作った見た目だけ優先した武器なんざただのゴミよりも性質が悪いね」 そうばっさりと言い切って自慢だったらしい剣を折られたスティードの兄はそのまま硬直してしまった・・・・・。 ――先述もしたが、フェイルフォードの家族はエルフなのだが集落では魔法の素質は低いとされている、その代わり武器の扱いと製造に長けており、スティードの父は武器製造に、母は戦闘に長けていて、 兄―マルカシエル・フェイルフォードは父の血が、フィーナは母の血が濃く現れており、スティードは両方の血が丁度合わさったように現れている。 ただ彼は何処をどう間違えたのか武器を機能性より見た目の優雅さ、芸術品性にのみ固執してしまっていて何時も武器を作り出してはスティードに破壊されている。 そして妹のフィーナとは戦闘に関する理論、戦い方、武器の優越などで意見が相違して実戦でどちらが強いのかを証明する日々を過ごしていた、ちなみにスティードは重武器、破壊力優先による一撃必倒を信条とし、フィーナは長剣・短剣等の速度重視による高機動・多手数を信条としている――が、お互いに理解し合える所は『下手な小細工は無用、己の誇りを持って敵を殲滅す』というおおよそ少女らしくない信条であったりする―― 二人は家の門前に着く、遠くから見るとわからないがフェイルフォード邸はかなり古く、重厚な佇まいを見せているが、所々修繕されていたり工房があったりと中々雑多な感じのする屋敷になっている。 「さて・・・・・お袋は相変わらずか?」 「そうですね・・・・・良くも悪くも・・・って所でしょうか」 「なるほど・・・・それじゃあ・・・・・・敢えて正面切っていくか」 その遣り取りの後二人は顔を見合わせてから頷くと同時に門を開ける、それと同時に地面から木の槍が数本飛び放たれて来る、二人は飛んでかわしあるいは武器で切り払いってから門から扉まで一気に駆け抜ける。 駆け抜けている最中も唐突に落とし穴(しかもご丁寧に金属の杭が設置されている物)が口を開いたり丸太が転がってきたりとなんとも物騒なトラップを満載された道を走り抜ける。 「全く・・・・・お袋にも・・・・・っ!困ったもんだ・・・・ぜッ!」 「何時もの・・・・事じゃあ・・・・無いですか・・・・っとっ!!」 「せっかく・・可愛い娘が一人帰ってきたのに・・・・・・・・よぉぉっ!!」 「帰ってくるだなんて・・・一言も・・・言ってないじゃないですかっ!!!!」 そう言うやり取りをしながら駆け抜ける二人、扉まで後半分という所で二人は唐突に左右に飛ぶ、その直後二人の居た所に矢が突き刺さる。 「こ・・・・っの馬鹿お袋!!帰ってきた娘を殺すつもりかっ!」 「今日は・・・何時になく力が入ってるようですね」 「上等だ・・・・・辿り着いたら真っ先に引っ叩いてやる!」 二人は再び走り出す、飛んでくる矢を切り払い、罠をかわしながらも扉に向かって走り込む、扉が眼前という所まで差し掛かった時、扉から横一列に、地面からは槍が突き出て来た。 「くぅっ!」 フィーナはすかさず地面に伏せ、槍のを縫うように転がりかわして行く、一方のスティードは――。 槍と矢の隙間を見切ったのか僅かに身を捩って交わし、更に藻微妙な時間差を持って放たれる矢の第2射もまた身を捩り――と、体を回転させるように回避し続ける――。 「はぁ・・・ようやく・・止みました・・・・・ね」 「ったく・・・・・・お気に入りが一着駄目になっちまった・・・」 槍が地面に戻り矢も打ち止めになったところでフィーナは立ち上がり、スティードも回転を止めて溜め息をつく、二人とも埃だらけになっていたり服がズタボロになっていたりするがこれが日常なのかそれ以上は何も言わずに扉に手をかけて屋敷へ入る―― 「「ただいま――っ!」」 二人同時に足を踏み今度直後、最後とばかりに床が開き落とし穴にハマってしまう、その姿はさすが姉妹なのかそっくりだ、ただこの落とし穴は深さは膝よりやや上の程度であるためにそんなでもない――が 「「んがっ!(ぐっ!)」」二人の頭上に落ちてきたタライに直撃してしまい気絶をしてしまったという・・・・。 目を覚ますと其処は寝室だった、出て行ったときから全く変わってない部屋、全てが昔のままだった・・・・・。 「・・・・別に掃除までしなくても良いのにさ・・・律儀な奴等」 苦笑をしてから着ている服――黒の服と穴だらけになった白衣を脱ぎ、かつて自分がこの家にいたときと同じ紅い服にスラックス、白衣は旅に出てからのトレードマークだけど敢えて着て行ってやろうと袋を漁ってもう一着・・・ヨレヨレも良い所の白衣を羽織って部屋を出る、流石に屋敷の中で暴れるつもりは無いらしく斧は机に立てかけておいた。 「さてと・・・改めてただ今・・・・っと」 「・・・・・・・・・」 談話室みたいな所へ行くと父親が不機嫌そうな表情で両手剣みたいなものを眺めていた。 「暫く見ない間に良い物作ったじゃねぇか・・・・・兄貴とは偉い違いだぜ・・・・」 「・・・・・・・・あいつの物は・・・・芸術品でしかない・・・・お前のは・・・無骨すぎるがな・・・・」 「へいへい、どうせ私のは実用性重視ですよ」 言葉少なに語る二人、元々鍛冶に没頭していた父は若い頃からもこんな性格でドワーフに親友兼師匠の下でひたすら作製をやっていてここの集落やその近辺では並ぶ者が無いとされる程にまでなっていた、だからと言って何かが変わるわけでもなくただひたすらに鍛冶に没頭を続けていてそれは今でも続いている。 どうでもいい余談ではあるが集落ではスティードの両親が一体どうして結婚する事になったのか、そしてその親たちへの説得はどうなったのかは最大の謎とされている・・・・ 「・・・・っとそうだ、お袋は何処に居るか知らないか?」 「・・・・・・・・買出しに人里だ・・・フィーナも一緒に居る」 「・・・・・・そうか・・・・それじゃあ後でで良いな」 そう言うとスティードは立ち上がり部屋を出ようとしてふと思い出して止まり 「工房借りるぞ、見たけりゃ勝手にすりゃ良いが獲物の調整程度だぞ?」 「・・・・・・・・・」 何も言わない――父は肯定する時は必ずと言って良いほど沈黙で済ませる癖がある――恐らく既に先ほど見ていた物の何処を改良するべきかを悩んでいるのだろう、スティードはそのまま何も言わずに工房へ向かった――。 斧を三振り担いで工房に入ると早速作業に取り掛かる、無造作に結ってある髪を全て後ろに流してバンダナを巻き、方眼鏡を外して丹念に武器を見る、そして僅かな狂いも見逃さずにメモに取り、道具を使って調整をして再び見る・・・・・・おおよそそれの繰り返しだ、あの孤島でも新しく作った斧には毎晩欠かさずにそれをやった、一日放置しておけば微妙な違和感があって本来の武器の威力を引き出せなくなってしまうからだ。 「・・・・左35度・・・・・四割・・・・一度だ」 唐突に後ろから父の声が聞こえてくる、何時の間にやら工房に居たらしい、調整に熱中していたせいか気付かなかったらしい――が、それはどうでも良い事、言われた通りに一度だけ木槌を振り下ろし、再び手に持って見る。 「完璧だな、一発で見抜いたってのか?」 「・・・・・・・・当然だ・・・・・お前の癖くらいそれでわかる」 「・・・・・・・・・・・・・そうかい」 振り向きもしないで刃の部分を砥石にかける、まさか癖や体格に合わせての最適な調整まで全て見抜かれているとはと内心舌を巻いたと同時にまだまだ修練する必要があると思い知らされた。 「・・・・・・・・・さて・・・・これで終わりだ。親父、此処に置かせてもらうぞ?」 「・・・・・・好きにしろ・・・・・・それとな・・・帰ってきてるぞ・・・・・・」 「あぁわかった、ちょっくら顔見せに行ってくるわ、親父は?」 「・・・・・・・・・お前の・・・見せて貰うぞ」 「はいはい、後で感想宜しくっと」 行って工房を出ると既に日は頂点より西に傾いていた、余程熱中していたらしい、そう言えば腹が減ったたなと思いながら。 「お袋ー、飯は?」 「その前に言う事があるでしょ?言ってくれないとおかーさんリスティスのご飯に悪戯しちゃうかも知れないわよ?」 「へいへい、ただ今帰りましたよ――あとご迷惑をお掛けしました」 「むぅ〜、いまいち誠意が篭ってないけど・・・・・良いわ、お帰りなさい」 館に入り食堂を覗くと昼食の準備をしている母が居た、どうやら既に出来ていたようでこのやり取りの間でもしっかりと盛り付けをしていたりしていた。 スティードの父が鍛冶の家系ならば母は武器戦闘の家系である、特に母は弓矢での超長距離からの射撃と瞬間的にトラップを張ることに長けていて、フィーナとの手合わせ中にいきなり撃ってきたりその手合わせの場所自体に罠を蜘蛛の糸のように張り巡らせていたりとかなり素敵な性格もしている、勿論直接戦闘に関しても二人が手を合わせても勝てないので迂闊に逆らえなかったりする。 「つぅか可愛い娘が帰ってきたのにあんな罠発動させるか普通?」 「あら、その罠を優雅によけたのは何処の誰だったかしら?」 「なら最後にあんな古典的な罠を仕掛けるか?」 「罠って言うのは一度嵌めるだけで良いのよ?所でマルカシエルはどうしたの?折れた剣を持って呆然としてたけど面倒だからフィーナに頼んで運んできてもらっちゃったわ」 「・・・・あ〜・・・あの馬鹿兄貴ご自慢の剣を軽くへし折ってやっただけだぜ?」 「その程度であれ?リスティスが居なくなってから余程耐性が低くなってたのね・・・・はい、召し上がれ」 「あんな武器の機能果たしてないゴミなんか壊されて何でショックなのかね・・・・・頂きます、所でフィーナは?」 「それは母さんも賛成ね、使えなかったら意味無いのにね・・・・・先に済ませて裏の方で鍛錬中じゃないかしら?」 スティードは頷きながら昼食を頬張る、その間も色々旅に出ていた時の事を母に聞かれて食事半分に話していたが鬱陶しくなったのか「夕食の後にでも皆に話すよ」と言って一度区切りをつけさせた。 「ふ〜・・・・久々の実家の味って言うのは良いもんだね、ご馳走さんっと」 「お粗末様、所でこれからどうするの?」 「あ〜・・・・そうだな、適当に街方にでも顔出しでもして来るわ、集落は明日にする」 「そう、貴方の事だから心配は無いと思うけど気を付けてね?怪我させたり怪我したら駄目よ?」 「おいおい・・・・・私が喧嘩するの前提かよ」 「勿論、うちの家族の中では貴方が一番頭に血が上りやすいわよ?」 少し遅めの昼食を済ませ、立ち上がってた時に予定を聞かれたので少し悩んだ後そう答えた、そして返された言葉に思わず苦笑してしまった―が、事実であるために反論できなかった。 スティード自身は集落には余り顔を出さない、馴染みは多いが閉塞している空気が余り好きではないらしい。寧ろ馴染みは余り居なかったり既に故人だったり年配だったりするが活気のある人里の方が好みであったりもする。 「さぁってと・・・・・・それじゃあ行って来るかね」 上着の白衣を羽織り、お金を少し持ってスティードは館を出た。 久々に出る街は活気に溢れていた、賑やかな街を見るのはやはり楽しいものだ、大道芸を横目に見ながらスティードは馴染みの武器屋に立ち寄った・・・・・。 「らっしゃい、ってスティードかっ!久しぶりだな」 扉を開けると見た目からもガタイの良さそうな男が見える、この男はスティードの昔からの友人で何度も殴り合いやらと色々とやった男女や種族を越えた仲である。 「よっ、元気そうだなっておめーちょっと老けたんじゃねぇか?」 「ったりめぇよ、こちとら人間だ、お前さんのようなエルフと違ってすぐ年をとっちまぁつーかおめー連絡もよこさねぇでいきなり旅とかに出るなよっ!少し心配したぞ!?」 「わりぃわりぃ、まぁ今日帰ってきたんだし勘弁してくれよな」 「しょうがねぇな、今夜は親御さんに悪いだろうから明日にでもまた来てくれ、皆に旅の話でも聞かせてくれや」 「おうよ、そんじゃあまたな色々顔出す所があるから大変だぜほんっと」 軽いやり取りの後店を出て同じようなやり取りを酒場とかでやり、ふと気が付いたら街も夕暮れ時になっていたのでスティードは街を後にして館に戻って行った。 夜もそろそろという所でスティードは館の近くにある湖の方へ向かった、此処では良く集落のエルフが水汲みか水浴びに来ていたりする、さっと辺りを見回すと一人のエルフの少女が居た。 「よぉ、久しぶり・・・・・・かね?、向こうは今でも辛気臭いかい?」 「そうね――あんたが居なくなってから辛気臭さは一層強くなったわね・・・・・祭りの時くらいしか騒げないもの」 「だったら明日にでも街に行くか?旅の話もしてやるぜ?」 桶を手にこちらを振り向く少女は言うならば「スティードの服の色や服装を正反対にして中身はそのまま」という少女だった。 「スティード・・・・・5年ぶりね」 「あー・・・・・そん位だったか――まぁ久しぶりだな、リィス」 リィス、それが少女の名前である、数少ないスティードのエルフの親友である。集落の外れに在り、たまにしか顔を出さないフェイルフォード邸に良く遊びに来てたお節介焼きなエルフでもある。 「皆心配してたわよ?あんた見たいな偏屈でも心配くらいはしてもらえるというのは良くわかったわ」 「うっさい、もうちょっとましな会話にゃならんのか、褒めてるのか貶してるのかまるっきりわからねーぞ?」 「あんたはどう思ってる?」 「勿論褒めてるンだろ?」 リィスはお節介焼きではある・・・・・・ではあるのだがこの毒舌と言うか余計な一言がそれを全て台無しにしていた。 「まぁ、明日ね・・・・・・街の何処でやるの?」 二人は良く街へ出かけてたので街の住人とは結構仲が良かったりもする。 「あっこの酒場、結構大勢来るみたいだぜ?」 「何時もの所ね・・・・・わかったわ、それじゃ明日ね」 そう言って二人は同時に背を向けて湖を去る、館と彼女の住んでいるところは正反対なのだ・・・・。 スティードはふと館の横手にある集落と街を見渡せる丘に足を運ぶ、一本だけ咲いている桜の木が咲いているだけの何も無い丘、夜は星が良く見え、春には桜が狂おしいまでに舞い散る・・・・・ただそれだけの丘である。 桜の木に寄り掛かり、ただ何をするでもなく佇む、本当にただそれだけを暫くしてスティードは立ち上がって館へ向かった。 ただ、何時までも変わりの無い集落と栄え、衰え、そしてまた栄える街の景色を楽しんだのかも知れない――いや、あるとするならばもう一つ、あの孤島で会った沢山の人、一緒に旅をした仲間達に思いを馳せたいたのかも・・・・・特に、ずっと一緒に居たあの憑依精霊の少女はどうしたのだろうと考えてもいたのかも―――と。 そして夜はささやかながらに豪勢な夕食が並んでいた、兄も復帰していたのか実に久しぶりの家族との会話。旅に出ていた時のキャンプやキャラバンで過ごす一夜とはまた違う雰囲気、スティードはそれを噛み締め心地良く感じていた・・・・・・。 スティードの今回の旅はこれで終わった、また唐突に旅に出るまでの間を妹と手を合わせ、父や母から学び、街や集落の仲間達と笑い、やがて訪れる死に涙を流し、時には怒り、悲しんだりをしながらも長い時を過ごして行き、そして今度は最初から道連れを連れて旅に出ようと考え、暫しの休息を楽しむ、やがて訪れるであろう・・・・・・・最期の時に決して後悔しない様に、笑って、胸を張って自分に誇らしく逝ける様に・・・・。 Fin
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最後に、島内トーナメントおよびキャラクターランキングを実施します。 それらの詳細は 島内トーナメントは こちら キャラクターランキングは こちら を参照してください。
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