…
……
………
………この世界に来てから1時間ちょっと経った。
相変わらず廃墟のような世界を宛ても無く彷徨っているが気づいた事がある。
一つは思ってた以上に『ハザマ』に招かれた人間が多いという事。
もう一つは……この侵略戦争はどこか違和感があるという事。
榊という人物がこの戦争のルールを説明した時に確かに、
『お相手のナビゲーターさんともコンタクトを取ったのですが、与えられた情報は同一の様子。』
そう言った。
………ワールドスワップを発動させたのはアンジニティのエディアンだと『思い込んでた』が……それならエディアンがこの侵略戦争の中心で侵略戦争のルールを把握してる事自体は別におかしくない、だが━━━
……それならこちら側にルールを教えたのはなぜ?という疑問が残る。……単なる狂人かそれとも別の目的があるなら考えられなくも無いけど、それ以上に━━━━
………二人に『この世界でのルール』を教えた第三者が居るのかもしれない。
……突拍子もない過程だが、万が一この予想が当たるような事があれば……私達はその第三者に踊らされてる事になる、そうなれば……真の敵はソイツだ。
………単純にアンジニティの友人と戦いたくない気持ちがどこかにあって無理やりこじつけた無理のある予想なのかもしれないけど……忘れる事も出来ず、頭の片隅に置く。
正直、あの頃を思い出せる殺気に満ちてるこの場が心地良くもあり怖くもある。
……少し前の記録も記しておこう。
……ナレハテ…何かの成れの果てを消した後で私は七夏ちゃんと会って…全てを話した。
それでも自分を守ってくれる、と言ってくれた相手にロクに言葉も返せず、偽物の笑顔を作る事しかできなかった。
……私の為に、と言ってくれても本当は『雪瀬かりん』の為に戦いたい、と言いたかったんだろう…と、でもその機会は私が奪ってしまって永久に来ない。
……自分がアンジニティに墜ちた原因の一つを理解した気がした。
私にはまだ七夏ちゃんにしか言ってない事がある。
恐らく『イバラシティ』の私が誰かと話した結果なのかもしれないが……1時間前に誓った事がとても薄っぺらく、どうでも良い事に感じた。
みんな私を『心配するだけ』で『必要』とはしてくれない。
でも━━それが『当たり前』だったのを思い出した、だから━━━
みんなが私の心配をしてくれるなら私もみんなを心配しよう
━━━違う、そんな事しなくてもみんなはきっと━━━
そしてこの『侵略行為』を止めてみんなを助けよう
━━━違う、そんなの自惚れだ━━━
その後で━━私は私の目的を果たそう━━━
━━━違う、そんな事私は望んでない、みんなを敵になんて回したくない
どこまでも昏く紅い瞳が暗闇で揺らぐ。
混ざった思考が確かに自分にそう告げる。
立ち位置が変わっても……
私は『アンジニティ』だ……と。
混濁した意識と吐き気でその場に膝を付く。
私は一体誰を守って誰を助ければいいんだろう?誰か教えてよ……。
向こうでもこっちでも…ここじゃない場所でも、誰も……何も教えてくれない……。
誰に言うでもない小さな嘆きが昏い風にかき消された。
『ハザ£』のЯ録:2時к目
『決*の刻』までаり━━━ **π間