回りに散らばる無数のガラクタの残骸
紅玉さんとはぐれて遭遇した敵は本当に数えるのも億劫になるほどだった。
だからこそ集めたガラクタがこうして壊れてしまうのも当然で……
ガラクタが壊れたことによっての痛覚フィールドを受けて怪我もないのに
激痛が身体全体を駆け巡るのも、頭がガンガンと締め付けるような痛みが走るのも
また当然の流れであった
そして……
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東堂 「……ゴフ」 |
思わず咳き込んだ時に、身体の内から生み出された血が口の方へと逆流し零れだすのも当然の摂理だといえるだろう
咳き込む時に口を押さえた掌には、血がべっとりと掌全体に広がっていた。
血のついた掌を握り締めて、袖で口を拭えばやはり袖にもべっとり血がついていて
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東堂 「……許容オーバーか」 |
苦笑いがもれる
何時も通りだ、あぁもう何十何百回何千回何万回繰り返して来たことだ
今更ながら驚くことに値しない
でも今回のでまた一つ削れたという実感だけは未だにガンガンと締め付けるような痛みが続く頭でも理解ができる
それでも締め付けるような痛みが走る頭に―――
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??? 「■■を殺した罪を忘れるな、お前は許されないお前は許されないお前は許されないオマエハユルサレナイユルサレナイユルサレナイユルサレナイ!ゼッタイニ!」 |
そんな声が何度も頭の中に響き渡る
あぁこれは俺の許されぬ、許してはいけない罪なのだ
だから俺は救わねばならない、人のために命を賭けなければならない
自分の手で奪った何十何百何千何万倍の何かを救わねば、成さなければ俺は今現在存在する意味さえもない
自分の身体はどうでもいい、自分の命もどうでもいい、精神が軋み壊れるのもどうでもいい
今も自分の心に焼け付き掻き毟る様に責め続ける罪悪感の熱がほんの少しでも癒せるなら
自分の好きな人達が幸せになるなら、
俺のすべてが壊れ去り崩れ去ってもどうでもいい
もうそんな覚悟は十年以上前からずっと抱き続けてきたのだから
『■が望まなくても、■■■が望むから
嫌がっても、離そうとしても、■んでるから』
脳裏に痛みによって欠けながらも確かにかけられた言葉が過ぎる
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東堂 「アァァァァァァァァ!!!!!!!」 |
頭が割れるように痛くて頭がまわなくて近くにあった岩に頭打ち付ける
あぁ分かっている、俺は誰にも救われてはいけない!誰にも助けてもらってはいけない
誰にも……誰にも……手間をかけては……
とうとう立っていられなくなってその場に座り込む。
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東堂 「すまない雪那、やはり俺は無理そうだ……如月、結城、すまないな不甲斐無い先輩で…… あぁ浅木……すまない俺はお前が思っているほどまっすぐでもないんだ」 |
漏れ出すの贖罪の言葉、脳裏に浮かぶのは今まで知り合い交流してきたクラスメイト、友人、部活のメンバー、その他様々
浮かべるほどに意識が遠のいて行くのがわかる
そしてかすかに残った意識の中で最後に浮かぶのは明るく悪戯好きでありながら心優しいドラ猫の顔だった