______________________
腹が減った
目覚めた直後に思ったのはそんなこと、と言っても生まれてこの方、自我を持って久しく
空腹が満たされたことなど一度だってありはしないのだが
それにしても良い夢を見た、夢…というには少し違うのだけろうけど
それはとっても素敵な夢だった
泣いて、笑って、怒って、悲しんで、嬉しがって、そうして日々を過ごしていく様々な人たち
誰も彼もが宝物のように輝いていて、そんな日々に紛れた自分も、せわしなく日々を送っていて
なんて素敵な夢だろう!あぁ、誰も彼もが太陽のように眩い宝石の如く!
あぁ……
あぁ………
______________
なんて美味しそうなんだろう
想い想われ請い焦がれ、誰かが誰かの大事な人
こんないい場所、自分のいた世界にはなかった、裏切りと侮蔑、憎悪と闘争の渦中にあった我が世界には…
今度こそきっと、自分は生まれて初めて、心の底から満腹になれる
そんな予感があった
心が踊った、自分たちの大切な世界を、大切な人たちを、大切なものを守るために立ち上がる協奏のセカイの住民たち
彼らの心に煌めく大切なもの、あぁ……
一体どんな味がするんだろう
砂糖なんて比じゃないくらいあまいあま~い味だろうか?舌の上でとろける上質な肉のように甘美な舌触りだろうか?ヴィンテージもののワインのように芳醇な香り?新鮮な果実のような爽やかな甘酸っぱさ?
思わず舌なめずりをしてしまった、口周りの皮膚に着いていた瓦礫や血液、食べ残した人体等が舌に引っかかる
……不味い
不味い、不味い、不味い
不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い
不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い!!!!!!
金切り声にも似た咆哮を上げ、樹木を薙ぎ倒した
私はお腹が減っている、食べたくてしかたない…しかしだ
美味しいものに手間暇はつきものだと、可笑しなメガネの女が語る
…それなら過程も楽しんでしまおうと決めた。
つまり、そう
侵略を、心から
あぁ……私の大事な
食料/人たち
まっていて、今いくから
出会ったらきっとたくさんおしゃべりしましょう、たくさん沢山、あなたの大事な人のことを教えてほしい
そうしたら
そうしたらきっと
その時が一番
貴方が美味しくなる時だから