別の世界 殺されて
実の両親が事故で亡くなって私だけが生き残り、天使の力と言える異能に目覚めてから私の肩書は
当主次席候補から次代退魔部の長筆頭候補に変わりました
戦う事だけを求められる集団の長……だからこそ私は本来学校も初等部で退学し、戦闘技術と本家からの教育を受け続けるはずでした
お祖母様がその決定に異を唱えなければ……
お祖母様には本当に感謝しております
武術を習うという建前で今の家族に会わせて下さりましたし、
そして高等部を卒業するまでの十二年という条件で自由に振る舞える時間を下さりましたから
もちろん武術の鍛錬し、実際に定期的に退魔の活動する条件付きでしたが
恐らくこの十二年だけが私に与えられた一生の中で唯一、私がただの少女、そして一人の人間として過ごすことが赦される時間でしょう
……だからこそ私は共に過ごしてくれる皆さんにその時間を捧げて尽くしたい
私の意思で人に尽くせるのもこの機会を逃したら一生与えられないのですから
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雪月結華 「……自分の意思で確かなものを掴めた……その実感だけあれば私は………」 |
あれば私はその先の未来、ただの一度も恋することも女性としての幸せを掴むことが出来なくても……
個人としての自由も時間も許されなくても構わないのだから
もう一生分の幸せは、頂けたのです……一生戦いの場でしか生きる事を存在する事を許されなくても構わないんです
私は報われました……報われたのです
それ以上は………
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雪月結華 「望んではいけない、望まないんです……」 |
少女の言い聞かせるような嘆きは誰にも聞かれることなく空へと消えていく
聞かれないように、悟らせないように、何度も繰り返した行いだからこそ
その想いは誰にも気づかせず、幸せな夢が終わるまで少女はただ進み続ける
報酬はもうもらったのだと言い聞かせながら

[787 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[347 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[301 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[75 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
ザザッ――
画面の情報が揺らぎ消えたかと思うと突然チャットが開かれ、
時計台の前にいるドライバーさんが映し出された。
ドライバーさん
次元タクシーの運転手。
イメージされる「タクシー運転手」を合わせて整えたような容姿。初老くらいに見える。
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ドライバーさん 「・・・こんにちは皆さん。ハザマでの暮らしは充実していますか?」 |
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ドライバーさん 「私も今回の試合には大変愉しませていただいております。 こうして様子を見に来るくらいに・・・ですね。ありがとうございます。」 |
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ドライバーさん 「さて、皆さんに今後についてお伝えすることがございまして。 あとで驚かれてもと思い、参りました。」 |
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ドライバーさん 「まず、影響力の低い方々に向けて。 影響力が低い状態が続きますと、皆さんの形状に徐々に変化が現れます。」 |
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ドライバーさん 「ナレハテ――最初に皆さんが戦った相手ですね。 多くは最終的にはあのように、または別の形に変化する者もいるでしょう。」 |
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ドライバーさん 「そして試合に関しまして。 ある条件を満たすことで、決闘を避ける手段が一斉に失われます。避けている皆さんは、ご注意を。」 |
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ドライバーさん 「手短に、用件だけで申し訳ありませんが。皆さんに幸あらんことを――」 |
チャットが閉じられる――