■ 3月某日 ハレ高の学年末試験の結果が出た後の事――
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竜次楼 「ん」 |
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紅鱗 「……む」 |
家の中で、その親子がちょうど鉢合あわせとなった。
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竜次楼 「……」 |
竜次楼は何も言うことなくそのまますれ違おうとした。しかし――
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紅鱗 「竜次楼、待ちなさい」 |
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竜次楼 「んあ?」 |
そこで彼は父に呼び止められ、不愛想な返事とともに立ち止まった。
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紅鱗 「試験の結果を聞いたよ……赤点を取ったらしいね?」 |
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竜次楼 「ああそうだが――それがどうかしたのか」 |
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紅鱗 「いや、どうかって……流石に不味いよ??」 |
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竜次楼 「補習とやらを受けるとは聞いたが、それが不味いのか?」 |
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紅鱗 「違うそうじゃない。幾ら何でもこのご時世に赤点を出されては家の名誉にも――」 |
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竜次楼 「そんな話……俺は聞いてないぞ」 |
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紅鱗 「…………」 |
父は『はぁ~』っと大きくため息をついた。
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紅鱗 「……わかった。前もって伝えなかった事については悪かった。 なので次からとりあえず赤点だけは避けるようにすること。いいかね?」 |
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竜次楼 「…………」 |
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紅鱗 「……竜次楼、頼むよ。君は只でさえ事情がある事をご理解して頂いて 先方に色々と譲歩してもらっている立場なんだ。それを忘れることの無いように」 |
竜次楼の口からも溜息が一つこぼれた。
そして――
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竜次楼 「……わかったよ」 |
と、答えると彼は歩きだそうとした。
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紅鱗 「…………竜次楼」 |
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竜次楼 「なんだよ」 |
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紅鱗 「学校は……楽しくないのか? お前が自分で行きたいと、そういった高校じゃないか――」 |
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竜次楼 「……」 |
……少しの沈黙。それから
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竜次楼 「……そうではない。ただ……」 |
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紅鱗 「ただ?」 |
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竜次楼 「……学校に居ても――自分が其処には居ないような感じがする。ことがある」 |
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紅鱗 「…………」 |
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竜次楼 「無性に街の様子が気になって仕方なかったり、襲撃があった時の事を考えていたり―― それと活動が激しかった翌日はやはり休めと身体が訴えてくる……」 |
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竜次楼 「あとは純粋にかったるい」 |
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紅鱗 「…………」 |
父は再び溜息をついた。
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紅鱗 「……すまんな。。。君の立場に立って考えてやることは、僕には難しい。 僕の父さんならあるいは――」 |
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竜次楼 「…………いや、あのジジィはダメだろ」 |
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紅鱗 「そっかぁ」 |
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竜次楼 「まぁ、でも言われたからには気を付けはしよう。それでいいだろ?」 |
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紅鱗 「竜次楼、ひとりで勉強出来るのかい?」 |
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竜次楼 「……あまり自信ないな」 |
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紅鱗 「よし素直でよろしい。実はお父さん。 君の為に勉強を教えてくれる人材を前もって確保しておきました。感謝してね」 |
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竜次楼 「? そうだったのか。 いわゆる家庭教師ってやつか……俺の知ってる人物か?」 |
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紅鱗 「ああ、とてもよく知ってるんじゃないかなぁ? 身近な人ですよ」 |
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竜次楼 「誰だ? 黒渓――は、ないよな? 母さんは忙しいだろ。 まさか入学試験終わった後だし姉さ――」 |
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紅鱗 「七草君だよ」 |
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竜次楼 「へ?」 |
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紅鱗 「だから、七草くん」 |
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竜次楼 「――おいっ待てよ! 何でよりによってアイツが――!!」 |
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紅鱗 「いやぁ今回君赤点取ったの英語でしょ? 彼ああ見えても外世界出身で語学に長けてるからね? でもってちょっと話を振ってみたら向こうから喜んでもう是非にと言ってくれたんで――」 |
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竜次楼 「……あの野郎!」 |
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紅鱗 「不満なら家庭教師が必要無いような結果を出して見せなさい。 来年1学期の中間試験の結果次第で考えさせてもらうからね」 |
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紅鱗 「勉強なんて集中さえすればどうとでもなりますよ! というわけで一先ず七草君と頑張って!!」 |
そこまで言い終えると、父親は去っていく――
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竜次楼 「こ、この……」 |
そして――
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竜次楼 「このクソ親父め――!!」 |
息子は去っていく父の背中に向かって空しく吠えたのであった。
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■ 4月某日 とある朝の白崎邸にて――
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蒼歌 「それじゃあ、今日も行ってまいりますわね」 |
朝早くから、ジャージに運動靴の姿に着替えた蒼歌が担当の付き添いとともに
開始地点に向けて出立しようとしていた。その時――
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竜次楼 「姉さん!」 |
と、それを竜次楼が呼び止めた。
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モブSP 「坊ちゃま?」 |
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蒼歌 「まあ、りゅうちゃんどうしたの? まだ学校に出る時間には早いわよ??」 |
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竜次楼 「…………」 |
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竜次楼 「……姉さん……一体どうしたんだ。 急にこんな事を始めだすなんて――」 |
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蒼歌 「…………」 |
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蒼歌 「りゅうちゃん、私が変だと思う……?」 |
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竜次楼 「いや、そうじゃあないけど――でもどうして……」 |
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蒼歌 「あら、それなら前にもお話したでしょう?」 |
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竜次楼 「それは聞いた、色んな場所に行くだとか会うだとか――そうじゃなくって――」 |
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蒼歌 「……それじゃあ、どうしたの?」 |
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竜次楼 「……」 |
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竜次楼 「……姉さんは、今。もしかして、何かに困っているのか……?」 |
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蒼歌 「…………そんな風に、見えるのかしら?」 |
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竜次楼 「それは――……」 |
少しの沈黙。それから――
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蒼歌 「ふふ、私の事を心配してくれるのね? ありがとう」 |
蒼歌は、弟に一歩近づきその頭を撫でた。
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竜次楼 「なっ……」 |
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蒼歌 「うん…… 確かにここのところ、私はちょっと悩んでじゃっているわ――」 |
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蒼歌 「でもね? それは、これから自分で考えて答えを見つけなきゃいけないことだから―― だから、りゅうちゃんは心配しないで。いつも通りにしていて大丈夫なのよ?」 |
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竜次楼 「姉さん……」 |
彼女はそれから弟をぎゅっと抱きしめた。
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蒼歌 「りゅうちゃん、大丈夫よ。。。 ありがとう。。。」 |
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竜次楼 「――――」 |
それから少しの間、二人はそのままだった。
そして、やがて離れると竜次楼は彼女に対し背中を向ける。
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竜次楼 「……姉さん。御付きが居るから大丈夫だと思うけど、 特に知らない場所に行くときには周りには十分に注意してくれ」 |
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竜次楼 「それと――いってらっしゃい」 |
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蒼歌 「えぇ……! りゅうちゃんもこのあと学校行ってらっしゃいね?」 |
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竜次楼 「……あぁ」 |
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■ 5月某日 ハレ高構内にて――
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結美 「失礼します……」 |
その声とともに、宗像先生との面談を終えた結美は相談室を後にした。
それから――
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結美 「はぁ。。。」 |
と、彼女は大きなため息と共に一人静かな廊下の壁にもたれかかった。
調査票を提出し、
その内容について先生からの提言をもらい、
それに対する自分の回答・考えを伝える――
進路相談は至極無難な結果に終わったと言えるだろう。
……否、
無難な話しか彼女には出来なかったのだった。
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結美 「…………」 |
出来る筈が無かった――
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結美 「(本当は……この先なんてわからないのに――)」 |
わからない――本当に、ありとあらゆる意味で。
彼女にとっては、わからなかった。
自分がこの先どうなっていくのか。。。
果たしてこのまま自分が大人になる事が出来るのかどうか。それすらも――
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結美 「(結局、あれから何か月経った事になるんだっけ。。。)」 |
それはあの辛い事件からというだけの事ではなく。
むしろ、自分自身の身に起こった出来事の――
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結美 「(結局まだ、誰にも言えていない……)」 |
不用意に"その事"を話しては、自分が。話した相手が。
そして何よりあの場所がどうにかなってしまうかもしれないという不安もそこにはあって――
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結美 「(……それでももし話をするのなら。彼ならあるいはと、そう思っていたけど。。。)」 |
それから、彼女は"以前"に出会っていた人物の事を思い出した。
彼は……"あの頃"自分の知り得ない多くの事象を把握しているようだっだ。
そんな彼になら。少しだけなら、
今の自分の話をしてみてもよいかもしれないと。そう思っていて――
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結美 「(本当に……居なくなってしまったのだろうか?)」 |
しかし……"此処"においてその彼とは未だに再開することが叶わないままでいた。
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結美 「(此ノ花さんとは、一緒に居れたのに――)」 |
そうして、彼女はそのまましばらく物思いに耽り――
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結美 「…………」 |
それからふと、無言のまま自分の左手を目の前にかざしてみた。
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すると。彼女の左手の薬指の爪には淡い水色の紋様が浮かび上がっていて―― |
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結美 「…………」 |
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結美 「(これは……やっぱり私にとっては助かる出来事だったし、チャンスなのだと思う。。。 それに、このお陰で私は卯月とだって――)」 |
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結美 「……そうだ」 |
そして、そこで彼女は一人思いついたように呟いた。
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結美 「(彼を……灯星クンの事を、もう一度ちゃんと捜してみよう)」 |
もたれ掛かっていた身体を起こす。
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結美 「(ソラコーから騎士会が無くなっていたというだけで諦めかけてたけど。 きっと、それが間違いだったんだ――だって)」 |
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それから……彼女はふと、懐から一つのヌイグルミを取り出す。 |
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結美 「(そうだ……此ノ花さんとのやり取りの痕跡が"此処"でもちゃんと残っていたように―― 彼との痕跡は、今でも"此処"にちゃんとあるんだもの。。。)」 |
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結美 「(編美のように、彼だって―― きっと、居なくなってしまったなんてことはない筈なんだ――)」 |
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結美 「(妹と同じで――"必ず何処かに居る"って信じていれば、あるいはきっと――)」 |
叶鈴(486) から
何か固い物体 を受け取りました。
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叶鈴 「はい、こちらがご注文の何やら固い物体でございます…」 |
命術LV を
15 DOWN。(LV15⇒
0、+15CP、-15FP)
変化LV を
5 DOWN。(LV5⇒
0、+5CP、-5FP)
制約LV を
15 UP!(LV0⇒
15、-15CP)
使役LV を
5 UP!(LV0⇒
5、-5CP)
領域LV を
5 UP!(LV0⇒
5、-5CP)
合成LV を
5 UP!(LV0⇒
5、-5CP)
叶鈴(486) により
ItemNo.19 何か固い物体 から射程2の武器『
ボロボロの包帯』を作製してもらいました!
⇒ ボロボロの包帯/武器:強さ97/[効果1]攻撃10 [効果2]- [効果3]-【射程2】
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叶鈴 「触れたもを皆傷つける…。そんな気持ちになってしまうかもしれない包帯です」 |
スズ(485) により
ItemNo.15 お肉 から料理『
レアステーキ』をつくってもらいました!
⇒ 技巧料理![ 1 3 3 = 7 ]成功!料理の強さが増加!
⇒ レアステーキ/料理:強さ78/[効果1]攻撃10 [効果2]防御10 [効果3]増幅10
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スズ 「やっぱり竜次楼様に似合うお料理は血も滴るレアステーキ…ごほん、いえもちろん滴ってなんかいませんよ?安心安全おいし~いステーキなので御安心くださいませ♥️」 |
叶鈴(486) の持つ
ItemNo.17 HOT☆LIMIT に
ItemNo.1 駄物 を付加しました!
スズ(485) の持つ
ItemNo.11 超フィット防弾チョッキ に
ItemNo.1 駄物 を付加しました!
ItemNo.14 青いピアス に
ItemNo.18 木瓜 を付加しました!
⇒ 青いピアス/装飾:強さ180/[効果1]幸運20 [効果2]器用10 [効果3]-
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蒼歌 「七草さんにちゃんとお礼言った?」 |
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竜次楼 「一応言ったぞ」 |
みどり(1472) とカードを交換しました!
おいしい水(500ml)
(アクアヒール)
集気 を研究しました!(深度0⇒
1)
集気 を研究しました!(深度1⇒
2)
集気 を研究しました!(深度2⇒
3)
アサルト を習得!
サステイン を習得!
リフレクション を習得!
デアデビル を習得!
ヴィジランス を習得!
コンテイン を習得!
クリエイト:チェーン を習得!
ハントトラップ を習得!
カプリシャスナイト を習得!
アシスト を習得!
クリエイト:ウィング を習得!
クレイジーチューン を習得!
ペナルティ を習得!
スピアトラップ を習得!
サモン:レッサーデーモン を習得!
ピットトラップ を習得!
阿修羅 を習得!
クリエイト:ワイヤートラップ を習得!
◇通常獲得:各CP・FPが5増加した!

[787 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[347 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[301 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[75 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
ザザッ――
画面の情報が揺らぎ消えたかと思うと突然チャットが開かれ、
時計台の前にいるドライバーさんが映し出された。
ドライバーさん
次元タクシーの運転手。
イメージされる「タクシー運転手」を合わせて整えたような容姿。初老くらいに見える。
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ドライバーさん 「・・・こんにちは皆さん。ハザマでの暮らしは充実していますか?」 |
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ドライバーさん 「私も今回の試合には大変愉しませていただいております。 こうして様子を見に来るくらいに・・・ですね。ありがとうございます。」 |
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ドライバーさん 「さて、皆さんに今後についてお伝えすることがございまして。 あとで驚かれてもと思い、参りました。」 |
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ドライバーさん 「まず、影響力の低い方々に向けて。 影響力が低い状態が続きますと、皆さんの形状に徐々に変化が現れます。」 |
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ドライバーさん 「ナレハテ――最初に皆さんが戦った相手ですね。 多くは最終的にはあのように、または別の形に変化する者もいるでしょう。」 |
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ドライバーさん 「そして試合に関しまして。 ある条件を満たすことで、決闘を避ける手段が一斉に失われます。避けている皆さんは、ご注意を。」 |
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ドライバーさん 「手短に、用件だけで申し訳ありませんが。皆さんに幸あらんことを――」 |
チャットが閉じられる――