
【夜明けと黄昏の記録 其の四】
イバラシティにきて知り合った人たちに組織で追ってる奴についてそれっぽい情報があったら教えて欲しい、
ってお願いしてから前より大分情報が入ってくるようになった。
ホントみんなには頭が上がらねえ……ありがたいぜ。
ルキュリヤ先生に何か手当とか出してもらえないか打診してみることにしようそうしよう。
でも未だにあの廃遊園地の件から全く動きがないのは事実っぽい。けどこの前本部に戻って報告した時、日明は何か気になるようで《彩なす天照》が以前受けてた任務について調べてもらえないかって打診してた。
「――なあ、何でああ言ったんだ?」
「月夜さんはあの時"ナニカ"が言っていた時の言葉を覚えてます?」
「あー、何か人じゃねえようなノイズ混じったアレ?正直耳がキツくて言葉の内容まで入ってこなかったんだよ」
自慢じゃないけど、俺は耳がすこぶるいい。それこそ常人の何倍もなレベルで耳だけじゃなくて目も鼻も触覚も味覚も
全部そうだ。
まあ異能の副次効果というか副作用と言うかそんなんなんだけど、それでも超音波とかアホみたいに嫌な音がするだけで割とダメージ入っちまう感じで何か言ってたとしても耳が痛すぎて内容までは頭に入ってこなかった。
「記憶に間違いがなければ……"正しき白を待つ為に"と奴らは言っていたようです」
「正しき白?何だそれ」
「さあ……僕にも何のことだか。ただ、何となくですけど――彼女が人であった頃、最後に携わった任務。
それが関係している可能性が高いと思います」
「そういや何の任務で行方不明になったんだろうな……?」
《彩なす天照》終夜旭日。日明の親父さんの双子のお姉さん……つまりは伯母さんだな。
その人もかつては組織のエージェントで、任務に行って行方不明になって帰ってきたかと思ったら"境界越え"してたって話らしいんだけど、当時の任務の内容はいくら調べても出てこなかったんだよな。
……うん、確かに嫌な予感がするな。別に何でもない任務だったらこうも情報が隠蔽されてるなんてないし。
「――もしかして相当な厄案件持ってたのかな。日明の伯母さん」
「ええ、ですので聖言先生に調査をお願いしたんです。先生ならそういう奥深いところまで手を伸ばそうと思えば
伸ばせる方ですから」
「組織上層の評議員の息子さんだもんな。今は親父さんと縁切ったらしいけどそれでもその辺りに手を伸ばせる辺りは
人徳だな~~」
あ、ちなみに聖言先生っていうのは俺たちをチルドレンとして教育した教官のことな。今更だけど。
とりあえず日明がお願いした調査の結果を待つしかないかなー、今のところ全く情報ねえもんだし……
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最近あったことも書いとこ。最近外人さんに会った。
「Excuse me.」
「!?」
いやあ後ろからいきなり英語で声かけられるもんだからびっくりして振り向いたらロン毛のお兄さんがそこにいて。
「How do I get to the station from here?」
「えっあっ、えーと、あ、あい……???」
すげー、本場の英語ってすげー。何言ってるか全然わかんねえけど発音めっちゃ綺麗。
ごめん英語喋れないんだ!って言おうとしたんだけど全然出てこなくって、この時俺完璧テンパってたんだけど
日明がすぐに対応してくれた。
「I'm sorry, there is no station in Tsukuyomi.
There are stations in the neighboring Urado district and Mashika district and you can get there by bus.」
「Thank you. ……ところでもしかしてここって日本語の方が通じるのか?」
「え、あ、どうでしょう……?英語で喋る方もいるとは思いますが、日本語でだいたい話はできますね」
「わかった。ここの共通語がわかんなかったもんだからな。
そこの赤毛テンパってたみたいだし、いきなり声かけて悪かったよ」
「いやいや全然!むしろ力になれなくてすんません」
「いや、応じてくれただけで助かったぜ。それじゃ」
そう言ってお兄さんは笑顔で手をひらひら振って立ち去っていった。
左右の目の色が違うのオッドアイって言うんだっけ?実際に見るの初めてでちょっとつい凝視しちまった。
右目が薄紫で左目が朱色?橙色?まあ似たようなもんだろ。
そんでもって結構変わった服着てるし何かこう、ヤンキーかな?って一瞬思っちまったけどすごい気さくな人。
「……なあ日明。外国ってへそ出しルックがデフォルトなのかな?」
「い、いや……流石に全員が全員そうとあの方だけで決めつけるのも如何なものかと思いますが……?」
「それもそっかあ」
イバラシティって観光でも人がたくさんくるんだなーって改めて実感した。うん。そんな出来事でした。
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[進行値72+2+2+2=78]
[次回イベント発生値:80]
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