
かわはるちゃんに先導してもらって、4人の仲間と一緒に荒れた道を進んでいく。
途中、見ず知らずの人物達と戦闘になったりもしたが、今のところは4人とも無事だった。
気がつくと、目の前には2時間前には遠くに見えていた山がそびえ立っている…
 |
タマキ 「これを越えれば…ヒノデ区」 |
険しい道のりになるだろうけれど…東に向かうにはこの山を越えるしかない。
次の時間からは、山登りなるだろうなぁ…と思いながら、歩を進める。
そしてまた、時間が来る…時が進む…
 |
タマキ 「そろそろ来ますね…記憶の上書き… 1時間毎にこれじゃ、ホントに頭が保たな…」 |
諦めかけてる調子のまま、そう思ったと同時…頭の中に記憶が流れ込んできた。
ここ数十日、『現実』のイバラシティで経験した…色々な…色々…な…
 |
タマキ 「………あれ?私、もしかして… 正月過ぎてからここ数日で……家族以外で話したのって、葵さんと東堂さんの2人だけ?」 |
えっ…?いやいやそんなまさか…
(超亀ロールだからって…100件以上はお返事書いてるのにそんな筈が…)
ホンマや
(※ほぼ全てのロールがお正月時空でお送りしております。関係各位、申し訳ありません!)
 |
タマキ 「…い、いや、大丈夫、まだ引きこもりって訳じゃないはず…お散歩とかしてるし… バイトにはちょくちょく出てたし…あれが夢じゃなかったら、不思議空間でお菓子作りもやってるし… ………不思議空間って自分で言ってて、なんか自信なくなってくる!」 |
頭を抱えてうあああああああああああと喚く…
あとは、今ちょうど占いのお店に行っているけれど…残念ながら、結果が出る直前で記憶が途切れていた。
 |
タマキ 「…地味に結果が気になるじゃ無いですか!! 続きは1時間後って…また日ドラみたいな切れ方をぉぉぉ!!」 |
なんで私は、自分自身の記憶に対して悶えているのだろう…?
いや、なんで悶えなければならないのだろう?どうしてこうなった?
一緒に行動しているパーティーメンバーからも、なんか変な目で見られている気が…
 |
タマキ 「こ…の…!この状況を作った黒幕!絶対許しませんからね…!! ……あとでまた九郎の所に行こうかな…」 |
ワールドスワップの能力保持者に対して八つ当たりにヘイトを上げなければ、やってられなかった…
そして、前回と同じく…記憶の中には自分のものでは無い、
誰かの記憶も含まれていた。
『おい、アンタ誰だ?見かけない姿だが、どこの者だ。』
山桜が咲き誇る山中で、その男は私に声をかけてきた。
その男は、山を昇るには軽装だった。
おそらくは、この斜面から見える集落の住民だろうか…
 |
??? 「私は旅の者です…ここより南の地から…」 |
そう言いかけた私の前で、男は呆れたように首を横に振った。
『取り繕う必要は無い。汚れてない真っ白な旅装束で、女1人…
護衛も無しで、こんな山中に居る。そんなの、人間では無いだろ?』
男に言われて、自分自身の姿を今一度見る…
…なるほど、言われてみれば確かにそうだ。女の一人旅と言う時点で異常なのに、自分は汚れ1つない。
『そんな旅が出来るのは、怪異の類か…どこかの神さんぐらいだ。そうだろう?
で、改めてアンタは何者だ?』
男は遠慮なく、私の正体を問うてきた。
人間ではなく超常の存在だと推理しているのに、怯えもしなければ竦みもしない…
あまりにも図太いその問いかけに、私は遂に吹き出してしまった。
 |
??? 「あはっ…くふふ……人間のくせに、生意気が過ぎるではないですか。 私が人を食うような類だったらどうするのです?正体を知ったら、生かしてはおきませんよ?」 |
脅かすように、精一杯冷酷そうな笑みを浮かべてみせる。
……それなりに迫力はあると思うのだが…
…私の顔を見た男は、溜め息を吐くだけだった。
『そんな風に頑張られても、悪いが全く怖くないぞ…少なくとも、害を及ぼすような存在には見えない。
それに、この集落の周囲は空から神様が見守っておられる。アンタが悪意有るものだったら、近づくことすら出来んだろうよ。』
…呆れるように言われて、少しだけムッとする。
だが、男の言う通り、私の目的は人間を襲うことなどではない。
話に出てきた神様とやらに、話をしに来たのだ。
この様な所で揉めても仕方がないだろう。
 |
??? 「なるほど…貴方は随分と堅物なようですね… …改めまして、私は『静』の地より参りました。『建葉槌』と申します。…この地を守護する御柱の方に逢うため、罷り越しました。」 |
今度はこちらから呆れた視線を男に向けつつ、男に向き直って目的を告げる。
とても失礼な相手ではあるが、集落の住民に会えたのは幸先が良かった。
今はこの男を頼りにさせてもらうのが最善だろう。
 |
??? 「どうか、私を貴方の集落まで案内してください…えっと…」 |
そこで、相手の名前を聞くのを忘れていることに気がついた。
この男…自分は名乗りもせずに、私にだけ名乗らせている…
その事は怒りを通り越して、男に呆れるほどだった……が、失念していた私も悪い。
…男からは、苦虫を噛んだような表情に見えたのだろう。
男は私の顔を見て、口に手を当てて吹き出すのを堪えているようだった。
『クッ…存じ上げないとはいえ、失礼致しました。『建葉槌』様…
俺は『香々背男(カガセオ)』と申します。どうぞ、お見知りおきを』
笑いを堪えたまま、男は名乗った…
そこでまた、記憶は途切れていた…
 |
タマキ 「……これは…この記憶の持ち主は…」 |
新たに出てきた2つの名前、それは環にとって、よく知ってる物だった。
 |
タマキ 「………どういうことなんだろう…また次の時間に、分かるのかな…」 |
とにかく今は、進むしか無い。
目の前にある山まで、あと少しだ。