
気が付けば知らない世界。
頭にあるのはあのアナウンス。なんだこれ?
俺は何に巻き込まれたんだ?頭の中に記憶が流れ込んでくる。
あっちの世界での楽しい記憶。そうだ、俺は伊藤晴。
相良伊橋高校に通う高校二年生。
後輩に恋する普通の高校生・・・のはずだ。
こっちでも何も変わらないしそれは間違ってないはず。
周りを見れば友達が一人とクラスメイトが一人。
二人も同様なのか・・・。みんなで一緒に生き残ろう。このわけのわからない世界を。
侵略なんてわからないし俺には関係ないと思ってた。でも聞こえた次の記憶はここだ。
いや、正確には現実世界(で、いいのか?)の記憶もあるからまた違うんだけど
絶対に死んでなんてやらない。俺は生き残る。・・・だからってさ
まさか、あんな化物と戦わされるなんて思わないじゃないか。
嫌だ。無理だよ俺には。なんであんなのと戦わないといけないんだ・・・。
仲間ができた。だったら・・・せめて。汚いのはわかってるけどみんなに戦ってもらおう。
俺は自分じゃ何もやれない。やらない。みんなを・・・友達を利用させてもらう。俺は援護する形で、自分の手を汚さない。
こんなこと絶対みんなには言えないけど。隠して、平気な顔をしてみんなに頼るんだ。
仲間も死なせないけど・・・俺は絶対に死なない。だって、まだ現実でやりたいことを何もやれていないのだから。
童貞のまま死ぬなんて絶対に嫌だ。
思いを遂げないままで死ぬなんて絶対に嫌だ
親を残して死ぬなんて絶対に嫌だ
侵略者のために死ぬなんて絶対に嫌だ
生き残る為にやれることをやろう。やれないことはやらないけれど。
俺には戦って自分の手を汚すなんて絶対にやれないことだ。
そのために誰かを守りに行くなんてことも・・・きっと俺はできない。わかるんだ。
俺は主人公じゃないし、こんな状況でも弱いままだ。きっとこれがアニメなら俺は3話には死ぬ立場なんだろう。
そんなことは嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだイヤダ嫌だ
とりとめのないことが頭によぎる。
・・・クラスメイトのみんなも元気かな。無事に終わったらみんなとまた馬鹿な話をしたいな。今もしてるのだろうけどさ。
あいつとおにぎり食べて、あいつとアニメの話しして。あいつと机の上で寝て。
クラスにいるウニなんかはもうわけがわからないけれど。無事に帰れたら餌をあげてみてもいいかもしれない
・・・あいつらがアンジニティだったらどうしよう。考えないほうがいい。全員きっと無事だ。
全員俺と同じイバラシティの住人だ。連絡を飛ばしてみよう。そうしたら、安心できるだろう。
あいつらがアンジニティだったら絶交だ絶交。・・・やめてくれよ本当に。
頭にノイズのようなものが走る。デジャヴュだろうか。同じ風景が重なる。
俺がどこかの隅っこでうずくまって泣いているのが頭に浮かぶ。なんだ・・・この風景は