とある少女の古惚けた日記
幼かった頃
病気で外へ出れなかった私は、日がな一日を本を読むかゲームをするか
それかお母さんの家事手伝いをする日々を過ごしていました。
本を読んだりゲームをするのは楽しかったけど、いつも一人でつまらなかった。
だからこそ、お母さんとお話しながら家事を手伝う方がとても嬉しかったのを今も覚えている。
そんなある日
いつも通り 野菜の皮むきをしていた時についつい母との会話に夢中になってしまっていた私は
手元が疎かになり、刃物で指を切ってしまいました。
一瞬、指先に熱をじんわりと感じて指先を見ると
じわじわと赤い液体が染み出てくる。
そんな姿を見た母は慌てて駆け寄り、指の処置をしようと水で傷口を洗い流しました
…すると、そこにあったはずの傷口は綺麗に無くなっていた。
この時は何が起きたのか、私も母も分からず お互いに顔を見合わせていただけだったが
父にその事を離したら、少し複雑そうな顔をしながら藤実の家の話をしだした。
当時 幼かった私は全ての話を理解は出来なかったが
藤実の先祖には稀に回復の異能に目覚める人がいる、と
傷口が無くなっていたのも、もしかしたら私に異能が目覚めたのかもしれない、と
異能 本やゲーム、テレビに出てくるような凄い力
子供だった私は自分にも同じような力があるかもしれないと言われて無邪気に喜んだ
心配そうに見つめる父の視線に気が付く事もなく。
その後、異能検査を受けた私は 父が言った通りの異能があると判明した。
この異能のお陰で私は初めて暑くて苦しくて面倒臭い紫外線対策をする事も無く
外へと遊びに行けるようになりました。
まだ慣れないのか、少し外にいると疲れてきて眠くなってしまうが
それでも私には新鮮で それ以上に嬉しい事だった。
雨戸が締め切られ、昼でも電気を消せば真っ暗になってしまう部屋で
閉じられた窓を見ては、いつも恋焦がれていたお日様の光を目一杯浴びられる
ただ外にいられる、それだけで嬉しい
そう言って笑う私を見て母は泣きそうになりながらも嬉しそうに笑っていたのを覚えている。
一頻り家の外を堪能した所で「日が傾いてきたから、そろそろ帰ろう」という母は
いつも通り、私へと手を差し出す。
幼かった私も嬉しそうに母の手を握ろうと―――
文字がぽつり、ぽつりと滲んでいる。
――――ハザマ滞在4時間目
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メイル 「―――いつも通り!
ハザマに住まう馬鹿共を!!
ぶっ飛ばした!!!
終わり!!!!」 |
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メイル 「いや、まぁそんな都合よく重要な情報を得られる訳も無いしね? とりあえず『あの子』は恋に進級に大忙しで楽しくしてるようだし何よりだと思いました マル」 |
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メイル 「あと最近やたらと寝直したり夢を見ている人多くないか? 沢山寝るのはボクの専売特許だぞ」 |
―――何やら不思議な事を言いながら化物はそのまま去っていった。