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暗獄★魔法少女 ノアリープルム
地獄の底から這いあがってきた、闇の魔法少女!
力無き者の為、黒の業火で悪を焼き尽くし!
死神の大鎌で絶望を刈り取る!
マスコットはカラスのオバケ!
さあ、断罪の時は来た!今こそ、この世に迫る混沌を
暗獄の底へ叩き落せ!!
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………。
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クロハ 「……小さい頃の、ラクガキ帳の中でだけの妄想のつもり、だったんだけどなぁ。 まさか自分がなっちゃうとは…。」 |
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クロハ 「――えっと、多分『何言ってんだコイツ』って思うかもしれないけど。 マジで言います。」 |
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ノアリープルム 「魔法少女、始めました。」 |
魔法少女ノアリープルム
悪魔にその身を捧げて力を得た、闇の魔法少女。
本人は隠したがるがぶっちゃけその正体は鹿驚田黒羽である。
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ノアリープルム 「みんなには内緒ダヨ!!」 |
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くろ 「……いや、顔合わせてる連中には大体バレると思うけど?」 |
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ノアリープルム 「……知ってたよチクショウ。」 |
――急に姿変わったら皆ビックリするかもしれないけど…。
とりあえずは、こっちの姿の方が力が暴走しにくいし、こっちで頑張ろう…。
それにしても。
屋敷のことは、本当に良かった。
教団の皆も、先輩たちも、屋敷の二人も。
誰一人欠けることなく、変える事ができて。
きっと問題は色々山積みなんだろうけど。
一先ずは良かったと、心の底から、そう思いたい。
浸食率:[ 《何ラカノ介入ニヨリ、測定不能。》 ]
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◇ある少女の記憶②
あの事故の日から、皆のうちを見る目が変わった。
誰かは神に祟られたと言った。誰かはうちをバケモノと呼んだ。
わけが分からなかった。うちは瀕死の状態から立ち直れただけだったのに。
でも、すぐにその変化に気付く事になる。
怪我をした。ちょっと転んで、擦りむいただけの軽い怪我。
だけど明らかにおかしかった。傷はその場で異様なほど早く塞がるし。
傷口から出るはずの血は赤くなく、闇の様な濁った黒色。
怖くなった。
怖くて怖くて……気が付いたらその怖さを紛らわすように、異常なほど自分を傷付ける行動に走るようになってた。
ある日は、手首を■りつけた。
やっぱり、血の代わりに真っ黒なものが流れ出た。
ある日は、腕を■■■とした。
気が狂うほど痛くて苦しかったけど、腕はすぐにくっ付いた。
別の日は、川に■び込んだ。
溺れて苦しかったけど、気が付いたら下の方まで流されて、生きてた。
色んなところに打ち付けて折れてたはずの骨も、何故か動いた。
さらに違う日には、高い所から■■■■た。
頭が■れて凄く痛かったけど、それだけ。死ななかった。
滅茶苦茶やってる内に、自分でもバケモノになってしまったんだと理解した。
……理解せざるを得なかった。人間の友達はもういない。皆、不気味に思って離れていった。
信用できるのは、両親と、あの日からついて回ってる、やたら態度のデカい喋る死神カラスと、何故か意思疎通ができる様になった野生のカラス達だけ。
人間は、怖くて一緒にいられない。
―――。
あれから、人とはほとんど接していない。
事故のあった日から10年くらいになる頃。
ある日、〝異能〟っていう不思議な力を持った人が多く住む島の事を知った。
……そこなら、死神の憑りついたバケモノみたいなうちでも、普通に接してくれる人がいるのかな。
……父ちゃんと母ちゃんに相談してみよう。高校は、この島の学校に進学してみたい、って。