貴婦人は、屋敷にひとりで住んでいるようだった。
ヒトらしい形をした、
ドレスやタキシードが治療と脱衣を手伝ってくれた。
服を着た透明人間……というわけでもなく、中身はカラッポで握っても手ごたえはなかった。
グローブが手、ソックスとブーツが足の役割を果たしているようだった。
彼女ら――性別は無さそうだけれども、形から女物の衣服だった――は、
貴婦人の召使いとして使われていた。
いったいどのように動いているのか
貴婦人の異能か魔法か、
あるいは呪いで姿を変えられた存在なのか。
それらは最後まで教えてもらえなかった。
彼女らは、話す口を持っていなかったが、
今はその沈黙がありがたく感じた。
白い石造りの水槽で身を清めた後、
空飛ぶタオルに包まれたのには声をあげてしまった。
ここに来てから、不思議なことに驚かされてばかりだ。
裸のまま貴婦人の前に立たされ、ドレスの召使いたちに身体のあちこちの寸法を調べられた。
貴婦人はそれらを書き留めると、しばらく考えた後に口を開いた。
それは一種の契約文だった。
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貴婦人 「呼ばれたらこの作業部屋に来ること。 言うことに黙って従うこと。 呼ばれていないときには作業部屋に来ないこと。 仕事の邪魔をしたら罰を与えるよ。」 |
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貴婦人 「寝床はあとで案内させる。そこがお前の部屋だよ。」 |
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貴婦人 「一日二回、柱時計が鳴ったら食事の時間だ。 こいつらが食事を届ける。出されたものは全部食うこと。」 |
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貴婦人 「質問は一日に一度。 それ以上は答えないよ。時間の無駄だからね。」 |
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貴婦人 「嫌だったらさっさと出ていくんだね。 野垂れ死ぬのは勝手だがね。」 |
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貴婦人 「ふん、逃げないのかい。なら早速従ってもらうよ。」 |
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貴婦人 「こいつを着てそこにまっすぐ立ちな。 違う、もっと自然にだ。力を抜きな。」 |
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貴婦人 「…………まぁまぁだね。 多少は見えるようになったじゃないか。 思った通り、素材は悪くないね。」 |
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貴婦人 「飯の前に軽く10着ほど試してもらうよ。」 |
■7:00
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チトセ 「……やった。 まさか、本当に貸してもらえるなんて……。」 |
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チトセ 「出店の申し込みも済ませたし……。 品物も、メニューも、準備して……。 ああ、カートも引っ張り出さなきゃね。 がんばらないとっ!」 |
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チトセ 「でもでも……その前に、 ちょっと、 試しに着てみてもいいよね?」 |
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チトセ 「お、おお……着れてしまった。 ……なんだかスースーするけど、会場はもっと熱いのよね? なら大丈夫かしら……。」 |
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チトセ 「チアの子ってこういうの来て、いつも応援してるんだぁ。 な、なんか……ドキドキするけど、 がんばるひとを応援するのって、……ちょっと、いいなぁ。えへへ。」 |
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チトセ 「……よぉーっし!なんだかやる気がいっぱい出てきた! これで会場のみんなに甘いものお届けして、 バリバリ応援しちゃうぞー!がおーっ!」 |
鏡の前で一人、ポーズをとったり踊ったり、
パフォーマンスの練習に没頭していく……。
……記憶の奔流が流れ込む……。
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サクマ 「待って待って待って待って。」 |
……記憶の奔流が流れ込む……。
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サクマ 「 歳考えなさい、歳!」 |
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サクマ 「アナタ、もうどっちかっていうと観客席に座って のほほーんとお茶しばきながら拍手とかしてる側でしょ!? スマホでこねこちゃんやアミナちゃんのチア姿録画して あとでホームビデオ作ったりとか……、とにかく! そーゆー保護者っぽいポジションでしょ!?
「ノリノリでそんな破廉恥なチア服着ちゃって、もう、何考えてるのよー!!」 |
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サクマ 「やだー!恥ずかしいー!! 次もっと恥ずかしい記憶流れてくるの確定してんじゃん!!
やああぁぁぁーーーーーー!!!」 |
……Cross+RoseのVR空間に、空しく喚き声が響き渡る……。
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サクマ 「…………でも……ちょっといいなぁ。」 |
■時計
時は変わって。
チトセ サクマ
飴を操る異能を持つ咎人。
常に新しい味覚に飢えている。
桃色の髪で、赤と黒の帽子をかぶっている。
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サクマ 「……もぐもぐもぐもぐ。」 ←憂さ晴らしにお団子を食べている。 |
画面にはエディアンと語らう梅楽園の団子屋姉妹。
彼女たちの作ったお団子は本当に美味しい。
嫌なことも忘れられるくらいに美味しい。
ああ美味しい。
彼女たちの話題は異能に関するものへ移っていく。
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サクマ 「へー、あの子たちも食べ物系なんだ。 ふたりでひとつを完成させるタイプは珍しいなぁ……。 双子だからそういうふうになったのかな。」 |
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サクマ 「食べ物系ってイバラシティでも結構見かけたし…… コメットちゃんも飴関連だし……飴宮ちゃんもそうなのかな? わりとポピュラーなのかな。身近なものだし。」 |
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サクマ 「…………。」 |
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サクマ 「でもわたしは作るだけじゃないもんね……。」 |
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サクマ 「形も味も固さもぜーんぶ自由だし……。 ほら、今じゃ作った飴の操作だってできちゃうし……。 ほらほら、効果付きだって頑張ればイケるようになったしさ……。」 |
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サクマ 「うん……自信を持っていいんだよわたし。ね?」 |
■草原→山岳
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サクマ 「さて。こっちに行けば山の上に神社があるんだけど……。」 |
目の前の丘陵を睨みつける。
睨んでも睨んでもその傾斜が平らになることはない。
主要な道路というのは、大抵の場合、
このような山岳を避けるようにして平地に、まっすぐ敷かれるものである。
だから、つまり、山の中の道というのは、平坦なものではなく、
等高線にあわせて曲がりくねるように切り開かれているのだ。
そのようなことを、イバラシティの道路網を思い出しながら再確認している。
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サクマ 「……これ登るのか~。」 |
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サクマ 「時間は有限で遠回りしてる暇はないし? 仕方ないけど気が滅入っちゃうよねぇ。」 |
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サクマ 「でもま、一番乗りは見逃せないし。 がんばろっかぁ。」 |
軽く準備運動をしてから、テクテクのしのしと坂道を登り始めた。
あなた(425) に
60 PS 送付しました。
アンジー(1223) に
30 PS 送付しました。
Mater(1084) に
30 PS 送付しました。
プテラ(561) に
25 PS 送付しました。
雫玖(210) に
ItemNo.6 黒猫ジャケット を送付しました。
エリカ(649) に
ItemNo.9 たけのこ を送付しました。
エリカ(649) に
ItemNo.10 羽 を送付しました。
雫玖(210) から
もこもこ毛皮ローブ を受け取りました。
エリカ(649) から
古雑誌 を受け取りました。
エリカ(649) から
毛皮 を受け取りました。
エリカ(649) から
山査子 を受け取りました。
Mater(1084) から
吸い殻 を受け取りました。
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マーテル 「あーあー。きこえますかー。まーてるだよー。 これあげるから うまくつかってくれると うれしいなー。」 |
アンジー(1223) から
吸い殻 を受け取りました。
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アンジー 「ほらよ。こんなモン欲しがるなんて、アンタも物好きだな。」 |
武術LV を
3 DOWN。(LV20⇒
17、+3CP、-3FP)
具現LV を
5 DOWN。(LV20⇒
15、+5CP、-5FP)
響鳴LV を
15 UP!(LV0⇒
15、-15CP)
装飾LV を
7 UP!(LV50⇒
57、-7CP)
ItemNo.9 古雑誌 から装飾『
第■■回多元宇宙飴細工展覧会図録』を作製しました!
⇒ 第■■回多元宇宙飴細工展覧会図録/装飾:強さ134/[効果1]耐狂10 [効果2]- [効果3]-
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サクマ 「……この雑誌…… おお、まじか………… よく見たらレアものじゃん……? 状態もキレイだし……。」 |
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サクマ 「……今度コメットちゃんに自慢しちゃお♪」 |
ペーター(557) の持つ
ItemNo.1 桜 から装飾『
永久桜花』を作製しました!
悪意の魔女(103) の持つ
ItemNo.11 ラベンダー から装飾『
マジックポット』を作製しました!
雫玖(210) により
ItemNo.11 山査子 から射程1の武器『
飴細工の短刀』を作製してもらいました!
⇒ 飴細工の短刀/武器:強さ100/[効果1]防疫15 [効果2]- [効果3]-【射程1】
プテラ(561) により
ItemNo.10 毛皮 から装飾『
ガーリーファーブーツ』を作製してもらいました!
⇒ ガーリーファーブーツ/装飾:強さ100/[効果1]耐災10 [効果2]- [効果3]-
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プテラ 「これ、あたしも履きたい!」 |
あなた(425) により
ItemNo.9 第■■回多元宇宙飴細工展覧会図録 に
ItemNo.2 駄物 を付加してもらいました!
⇒ 第■■回多元宇宙飴細工展覧会図録/装飾:強さ134/[効果1]耐狂10 [効果2]体力10 [効果3]-
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「対価は笑顔と金でよろしくな。」 |
ヤナギ(1169) とカードを交換しました!
ストーンブラスト
(ストーンブラスト)
ダウンフォール を研究しました!(深度0⇒
1)
ケイオティックチェイス を研究しました!(深度0⇒
1)
ワールウィンド を研究しました!(深度0⇒
1)
マーチ を習得!
コールドウェイブ を習得!
クリエイト:パワードスピーカー を習得!
ビブラート を習得!
ブレイブハート を習得!
フリーズノート を習得!
コントラクト を習得!
ヒーリングソング を習得!
チェインリアクト を習得!
サモン:ハーピー を習得!
◇通常獲得:各CP・FPが5増加した!

[787 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[347 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[301 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[75 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
ザザッ――
画面の情報が揺らぎ消えたかと思うと突然チャットが開かれ、
時計台の前にいるドライバーさんが映し出された。
ドライバーさん
次元タクシーの運転手。
イメージされる「タクシー運転手」を合わせて整えたような容姿。初老くらいに見える。
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ドライバーさん 「・・・こんにちは皆さん。ハザマでの暮らしは充実していますか?」 |
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ドライバーさん 「私も今回の試合には大変愉しませていただいております。 こうして様子を見に来るくらいに・・・ですね。ありがとうございます。」 |
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ドライバーさん 「さて、皆さんに今後についてお伝えすることがございまして。 あとで驚かれてもと思い、参りました。」 |
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ドライバーさん 「まず、影響力の低い方々に向けて。 影響力が低い状態が続きますと、皆さんの形状に徐々に変化が現れます。」 |
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ドライバーさん 「ナレハテ――最初に皆さんが戦った相手ですね。 多くは最終的にはあのように、または別の形に変化する者もいるでしょう。」 |
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ドライバーさん 「そして試合に関しまして。 ある条件を満たすことで、決闘を避ける手段が一斉に失われます。避けている皆さんは、ご注意を。」 |
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ドライバーさん 「手短に、用件だけで申し訳ありませんが。皆さんに幸あらんことを――」 |
チャットが閉じられる――