日記一覧(E-No301〜400)

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E-No302 白榴石


「キミは、今何を考えているのかな……?
 ちょっとだけ今の気持ちを知りたくなってきたわ」


 やわらかい メゾソプラノが おりてくる。
 おかぁさん は そういうと 小さな何かを取り出して
 じゃくろ の まえに ならべている。
 ならべられたのは 鳥の尾羽 と 小さな インク。
 そして おかぁさんの膝の上に 白い紙。


 やわらかくて 温かい熱が 傍に在って
 方舟の灯火の様な、紅い瞳が覗きこんでくる。


 うんしょ、うんしょ。
 ――よいしょっ!


 腕の中から 抜け出して
 くろいあくまの両の手で 羽根を担ぐようにもちかかえて
 えっちら おっちら よたよたと
 白い紙 に かいていく。



【≪考えて いた こと≫】

【おかぁさんが いろいろ あったように
 じゃくろも この 魔界で いろいろ あった】

【そして
 そのうちに “もとのせかい”に 帰るのだろう 考えた】

【でも
 じゃくろは“もとのせかい”に 今は 帰りたくは ない】

【じゃくろが“もとのせかい”に帰る ということは
 “もとのせかい” に あってしまう】


 ……

 …………

 …………えーっと



 ぱたり
 尾羽が とまる。
 白い紙にかいていった 文章が とまって しまう。


 低い声の言っていたことが じゃくろ には よく 判らない。
 じゃくろの なにかが いいたかったこと が 判らない。


 じゃくろには
 どう表現していいか 判らない。

 うーん、うーん

 鳥の尾羽を抱え込んで 。
 どうしていいか うんうん なやむ。


 すると
 横でゴリゴリと 音が なりだす。


【自分は 元の世界――現世に 帰りたいとは思わない】


 みると
 おかぁさんが命を込めた黒い槍 
 くろのししゃ
 それが 暗くて冷たい魔界の地べた に がりがり と 描きだして いた。



【自分は 死者。
 あのメガネの女と同じよう、自分は 既に死んでいて身体はない。
 メガネ女との違いは
 ・自分の現世での役割は終わっていて、戻る理由と居場所はないこと
 ・自分はその役割以外ではもはや現世にあるべきではない
  ――俗に言う“クズヤロウ”であること】



 見たことがあるようなないような、そんな筆記。
 おせじにもうまくない、いびつなアルファベットが地面につづられて いく。

 
【自分は既に終わった存在、それらが混ざった云わば“星屑”
 混沌としたそれらの中で
 利用できそうな残滓の多めに集まるところを見つくろってひと掬い
 掬いあげて、魔界で利用しているに過ぎない】



 へえ……そうなんだ。
 たしかにじゃくろも“英雄の力”りようしてるし ね?


 そう思うと、槍がぴた。
 書くのをやめて 止まってしまった。

 あれ?
 機嫌 わるくしたのかな?


 ――別に?
 ――どんなもんも利用して利用される、そんなもんだろう?
 ――使えると見たらな使やイイ
 ――相手がどうとか後悔するとか、ンなもんは関係ネェ。



 ……?
 えーっと

 そういうわけじゃない。
 そういいたいのかな?
 こたえ の かわり に とまった槍は
 また地べた に ごりごり つづりはじめる。


【自分は “輪廻”という概念は お伽話位にしか知らないし信じてはいない。
 だが、万一に
 自分が 輪廻――生まれ変わる――というのであるのならば】



 あ、そうか。
 “輪廻する”って、うまれかわる、ってことなんだ。
 ここからなら じゃくろ も かけるぞ。


 かりかり、かりかり。
 白い紙に じゃくろは 尾羽で 書いていく。


【銀色はね いったんだ。
 じゃくろの“したい” 現実に するには 魔石はぜんぜん 足りないって。
 もっとたくさんの 魔石も ちからも ひつようだ って】


 ごりごり、ごりごり。
 暗い地べたに くろのししゃが 描いていく。


【具体的に“何か”を伝え起こすのは、やめておく。
 星屑が抱える残滓にも 小さな望みはある程度に受け取ってくれれば良い。
 そして それが今は現実とはなりえないなら
 叶えることは可能でも、その為の布石が足りないなら
 別に今すぐ現世に回帰して、どうこうしようなどとは思わない】



 暗い地べたに黒い槍
 それにつづられていく文は しっかりしてるけど いびつな 文字。
 白い紙に鳥の羽
 それにつづられていく文は よたよたした ふあんていな 文字


 白と黒、空と大地、天使と悪魔
 相反する 2つ の もの で つくら れた 2つの 文章

 その さいご の だんらく

 それは
 表現 は ちがうけれど 同じきもち が かかれてた。


【今 もとのせかいに 帰っても “したい” 叶えられない。
 じゃくろは ね ここにのこるよ】
 
【自分は 戻らず ここに在る。
 いつか 願いを叶える その日まで 虎視眈々と ここに在る】


 じゃくろの けつい かかれてた


「キミは、今何を考えているのかな……?
 ちょっとだけ今の気持ちを知りたくなってきたわ」


 やわらかい メゾソプラノが おりてくる。
 おかぁさん は…

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E-No304 SXL-014 LoSa
【Return】





「帰るのね」



召喚士の最終確認に、ロザは頷いた。



「どうやら元の世界でやり残したことがあるようね。
まぁ、詳しいことは聞かないけど・・・がんばって」

召喚士が転移魔法を起動させる。
ブォン―――と起動音が鳴り、魔法陣が展開されるとロザはゆっくりとその中に入る。



「ひょっとしたらなんかのきっかけで、あるいは私によって・・・
またここにきちゃうかもしれないから・・・さよならとは言わない。



・・・また会いましょう、Love=Saver」



ふっと小さく笑みを見せる召喚士。
パチンっと指を鳴らすと、ロザの姿はまばゆい光とともに・・・消え去った。



















すべてを片付けたら・・・必ず・・・必ず・・・・・・!
【Return】





「帰るのね」



召喚士の最終確認に、ロザは頷いた。



「どうやら元の世界でやり残…

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E-No314 ヒーロー・オブ・ユナイテッドステイツ
(古ぼけた日記帳がある)
(裏表紙のようだ)



   わた−のだいじな−−−−のにっき
E-No316 ココミミ・エアーラット
――娘は幸せでした。

戦乱の時代に生まれ、
苦難を乗り越えるため若くして立ち上がった彼女は、
最後の肉親である兄の下で、一匹の馬と共に戦場を駆け、
異民族に苦しめられていた人々の希望となり、
しかし最後にはその兄に裏切られ、
希望だった息子とも引き離され…

一族を追放された彼女は、
唯一そばに残った愛馬を糧に生き残り、
最期には、独り荒野で永い眠りにつきました。


――しかし、彼女はもう一度生きるチャンスを得ました。
それは、たった一時の、夢のような誘いでしたが、
彼女は多くの願いを叶えてもらう代わりに、戦うことを選びました。

幸せだったあの頃のような子供で、
過ちを犯さないように男の体で、
苦しかった記憶は夢となるように…。



――彼女は幸せになりました。
――そして、それはこれからもです。
――娘は幸せでした。

戦乱の時代に生まれ、
苦難を乗り越えるため若くして立ち上がった彼女は、
最後の肉親である兄の下で、一匹の馬と共に戦場を駆け、
異民族に苦しめられて…

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E-No319 劉 壬月
最終結果
・殺戮王(総撃破数)<1位>
・INT(ステータスランキング)<1位>

我ながら素晴らしい成果だ。
大幻斧、大幻槌、大幻輪も覚えたかったのだが、この状況では仕方ない。
元の世界で修行を続けるとしよう。

いつの日か、再び……
最終結果
・殺戮王(総撃破数)<1位>
・INT(ステータスランキング)<1位>

我ながら素晴らしい成果だ。
大幻斧、大幻槌、大幻輪も覚えたかっ…

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E-No341 ユラ
おつかれさんかくまたきてしかく
E-No364 フェルテン・ウェーバー
ざっと11ヶ月弱か。
この身体ともお別れとなると勿体無い気も今になるとするが、
やることはやったんだ帰ろう。呼ばれるまでは。

絶対、帰ったら光に目が慣れるまで時間が掛かるに決まっている。
はぁ……
ざっと11ヶ月弱か。
この身体ともお別れとなると勿体無い気も今になるとするが、
やることはやったんだ帰ろう。呼ばれるまでは。

絶対、帰ったら光に目が慣れるまで時間が掛かるに決…

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E-No367 遠野 奈美
元々元の世界に戻るために手を貸してただけだしね
やっぱり英雄なんて柄でもないし、帰らせて貰うわ

…ま、それなりに楽しませて貰ったわ
また会うかどうか知らないけど…じゃあね
E-No373 ラヴィーナ・ヴォセムナッツァチ
夢の終わりでござる。
いや、途中で目覚めただけ。またすぐ二度寝する作業が始まる。
終焉が結末ではない。
今度はこの終焉を背負って生きるのだ。
だから私は最後にこう叫ぶ。消え去れ悪鬼。


本国への報告書
革命は終わった。
潮時であると判断したため撤退。

本国からこの世界に来たのは私だけ。
私一人が世界を代表してこの常闇を楽しめだ。
ざまあ見ろ。
あと給料もください。
夢の終わりでござる。
いや、途中で目覚めただけ。またすぐ二度寝する作業が始まる。
終焉が結末ではない。
今度はこの終焉を背負って生きるのだ。
だから私は最後にこう叫ぶ。消え去れ…

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E-No379 くるま えびこ
今日が家に帰るラストチャンス!
グズグズしてられないわ。いってきます。
E-No382 コーネリア・ブラウ


戦いは終わり剣は眠る。


E-No398 レンフィールド
夢の終わり。
 戦いの夢は、辛く、悲しい夢だと思う。
 その中であっても、色々な人と出会った事によって自分にとっては幸せな夢となった。

 だから、この夢の世界を救いたいという想いよりも、出合った人々を護りたいという想いが強くなっていった。
 傍に居る人達、大事な人達を護りたいからこそ戦った日々だった。

 この世界にぼくを呼んでくれた召喚師さんにはとても申し訳ないけれど、ぼくはこの想いと戦いの日々の夢の記憶を大事にしたいと思う。

 きっと忘れない。
 そしてまたいつか、再会して、この夢の事を語り合いたい。

 きっと、また…。



 眠り続けるルドを見守るように、白い青年が傍に佇んでいる。
「……願いは受諾した」
 すっと目を閉じ、そして次の瞬間には開いた瞳が金色に染まり。
「ここからは、オレがキミに出会う事が無い『もしも』の世界。
 無限に存在し、平行する世界の一つ。
 コーラルとしては存在はしないけど、フィーとしてキミの傍に居るよ…そして、願いを叶えてあげる…。
 キミが望むままに。またこの世界へと――」
夢の終わり。
 戦いの夢は、辛く、悲しい夢だと思う。
 その中であっても、色々な人と出会った事によって自分にとっては幸せな夢となった。

 だから、この夢の世界を救いたいという…

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