誕生日は、その年で一番いいことがあった日にすることに決めていた
だから本当の誕生日がわからなくても、困る事は無かった。


綺麗な雪の降り始めを見た。
積もったもので遊ぶことは出来なかったから、窓から手を出して
落ちてくるのを受け止めた。
ひんやりしていて　すぐに溶けて、とっても綺麗だった。
――そうして、またひとつ


歩いていたら、風に乗った花弁が一枚飛んできて、僕の肩に止まった。
汚いからと、すぐに叩き落とされてしまったけど
なんだか嬉しくなって、花が好きになった。
――そうして、またひとつ


窓枠に鳥がとまっていた。
近づいても逃げなくて、手を差し出したら、僕の指にとまってくれた。
小さいその体を撫でても、囀りをまねして歌っても　鳥は一緒に居てくれて
僕は、鳥が好きになった。
お父様が赤い　小さい何かを捨てている所なんて　僕は見ていない
―――そうして、またひとつ


初めて、いや　久しぶりにクラスメイトから声をかけられた。
本当に久しぶりで、両親以外との話し方を 忘れてしまっていて
返事の声が裏返ってしまった僕にくすりと笑った、転校生の彼女は
そうやって一日　僕と過ごしてくれた。
友達になれるかもしれないって、夢を見た
――例えその夜、これまでに無いくらい叱られても
痛くて体が動かせなくなるくらい叱られても

………その日の彼女もそれ以来、見かけることが無くなったとしても。
それは　幸せな、出来事　だった。
――――そうして、またひとつ




毎年ひとつは　ひとつくらいは
ちゃんと良いことがあったから。
ほんの少しの輝かしいものを、見つけては拾い集めて
僕はひとつずつ、歳を重ねていくことが出来た。





――――だから家を出た今は、とても困っている




だって、良い日が多すぎるのだ。
以前なら迷わず誕生日にしていたような、そんな輝かしい日が
輝かしい日々が溢れていて

これじゃ、どの日を誕生日にしたらいいのかわからない。






あの日から



「ニコラくんおはよ」　　　

　　　　「僕と話さないかい？」

「気にすんなよ、ニコラ」　　　　


普通に話しかけてくれるクラスメイトに囲まれて



「Hi! ニコラ、ただいま！」　　　　　

　　　　　「おかえりニコラ」

「ニコラくんお弁当忘れてったでしょーっ！」　　　　　

　　　　　　「寝坊しないよう気をつけてくださいね」


優しくしてくれる同居人がいて




「ニコラが弾くピアノ、キレイだから好きなんだよな。」


――ああ、こんなに


「――――誕生日、おめでとう。
　二コラ君！」


……こんなに、幸せになれるなんて





本当に毎日、楽しくて　幸せで

いっそここで時間を止めてしまいたい、なんて

思うくらい　それなのに



………e7q@

e7q@、

e7q@ e7q@ e7q@

byuk e7q@


-ymki duha7

▲	ミツフネ 「よう、聞こえるか。 　俺だ。ミツフネだ」 ミツフネ 「お前に限らず、級友を『向こう側』だとは思いたくねえが…… 　念のため確認させてくれ。お前は、『どっち側』だ？」

▲	天使様 「むむ…！天使の波動を感知――！！ しかし、貴方はたしか……。」

▲	ヒビキ 「……。おい」 （――――大丈夫。 　僕が話す。――――そうするべきだ） 「……そうか。無理はするなよ」

	ヒビキ 「……や、二コラくん。大分見た目が派手になってたもんで 　大分びっくりしちゃったけど……間違いない、二コラくんだ。 　――――気にする事はないさ。 　君にはやるべき事があって、そのために僕らと 　衝突しなくちゃならなくなった。それだけの事さ。 　友人だからって、争っちゃ駄目なわけじゃない。 　――――だから、僕は……。」

	ヒビキ 「だから……僕はこの街を守る者として、 　君達を止める。――――止めて見せる。 　謝罪はしない。……だから、君も謝るな。 　細かい事は気にせず、正々堂々と殴り合おう。 　それで負けても……大丈夫、僕らはずっと友達さ。例え敵同士でも。 　ま、僕らは負けないけどね」

	ヒビキ 「戦いが終わったら……できれば、 　また一緒にどこかに遊びに行ければいいな」

▲	貴登子 「(メッセージが届く) スファイラル……だよな？　そっちの状況まだ見えないけど……もし間違いならごめんなさい。忘れて。 とにかく、安否確認だ。スファイラルだったら返信頼む。 それと、念の為言っておくけどマジで気を付けろよ。　藪をつつこうもんなら蛇どころじゃないやつが出そうだからな、ここ……」

▲	さび 「あ、べにこ。 今度こそ、べにこだな。ちょっと連絡遅れたがその……。 あ、さびです。くらすめいとのさびです。 無事かどうか確認のれんらくだ。もしよかったら返信もらえるとボクは嬉しい。」

▲	鐵 (──ニコラ様── いや、何かが違う…？ですが……) 鐵 「……其方の言葉は大体把握しました。 此方の言葉が理解できるのなら、返信お願いいたします。」 鐵 「──貴方は、私の知るニコラ・スファイラル様ですか？」

▲	「くるる……」 あなたにすり寄って、ふるふると首を振った。 もう検査をする者たちはいないから。 「わぅ」 その翼にてしてしと触れる。じゃれているつもりなのだろう。

▲	『Hi. ニコラ、僕の体の具合は今は大丈夫。ニコラこそどうかな？どうか、無理しないでね。検査はきっとすぐ終わるさ。明日の事とか、やりたい事を考えていれば……そう、すぐに』

▲	声が聞こえた。擦り寄る。 おたんじょうび、おいわいしてくれた。 ぷれぜんと、うれしかったな。かわいくてきれいなぶろーち。 あれ、でもここにきてあんまりじかんたってない。 けんさって、いつだっけ？ ぶろーち、もらったっけ？ それに、ない、ないの。どこにもないの。ぶろーちがない。 とりもどしにいかなきゃ、だいじなものだから。 おにいちゃんにもらった、だいじなものだから。 声は出さない。出せない。言葉が言語になっていないのは、知っている。

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