
―― 2020.1.10
■検体Cの波長について
この場合の波長とは、個人的情報を示すもの。本人の存在を、音として定義したものである。
波長を読み取れば、その人の出身世界や物語の出所、種族、身体情報等あらゆる情報を調べることができる。同時にこの情報は、精神干渉を負担なく仕掛けるために必要な情報でもある。
検体Cの波長は自分たちの波長と近しい。よって、こちらの世界群の出身、あるいは近しい物語の存在と言える。これは非常に都合がいい。これが遠ければ遠いほど、精神干渉の難易度は上がる。ここまで類似していれば、比較的容易に検体Cに精神干渉を仕掛けることができるだろう。
■検体Cの精神について
検体Cには3つの精神が宿っている。
・自身の精神(イバラシティ/アンジニティでの検体C自身の精神)
・『本音』の精神(押し込んだ、本来の自分自身の精神)
・かつて喰らった人間の精神(アンジニティに堕ちる前に関係のある人物)
故に、精神干渉がひどく難解である。また、歪で不安定な精神をしているせいか、精神干渉に対しての抵抗力が著しく弱い。
一つ、実験を行う。検体Cに時限式の精神干渉を行う。ハザマに移行したタイミングで発動し、ある者にメッセージを投げかけさせる。うまくいけば、ハザマの者にこちらの声を届けさせることができるかもしれない。
■検体Cの精神異常
2019.12.22頃
公園にて、検体Cの精神異常を感知。異世界に拉致された際の、歪んだ精神部分の異常が暴走し、本体に牙を剥いたと思われる。
これを、『鳴海』として処置。自身には心を落ち着かせる異能があると説明。以降、鳴海として精神安定の精神干渉を行うことは隠さなくてよいだろう。
イバラシティの者か、アンジニティの者か。幻想の力をもってすれば、それを覗き見ることができる。
ハザマに向かうことはできないが、何が起きているかを覗き見ることはできる。あくまでも、自分たちは外側の人間。
―― 嘘をつく 何も知らない一般人として偽りで固める
―― 心を弄ぶ 侵略も防衛も知った上で目的のために利用する
偽れ 誤魔化せ やり過ごせ
手段を選んではいられない 選んでいる暇なんてない
いくら美学を並べたところで、目的が果たされなければただの愚論になる
そう、何度も何度も、自分自身に言い聞かせる。
「―― なずみさんは、イバラシティの人だった?それともアンジニティ?」
「……お前の、一番望まない形だった。それでも、聞くか?」
「……。
知らぬが仏。それは、真実から目を背け、最善を見誤ること。
そう、翼は言った。だからボクも、真実を知る。」
「……そうか。それならば、話しておこう。」
存在自体はイバラシティの者だ
されど、中にアンジニティの気配がある……つまり
お前が最も嫌う、「意図せぬ精神干渉」を行われている可能性がある
大丈夫。
大丈夫。先に分かっただけ。その分覚悟ができる。
だから。大丈夫。何でもない。ただ、また、傍に何も残らない。それだけ。
それだけなんだ。
だから。
だから、いつも通り。
いつも、通りに。
何も、変わらず、自分 らし く
かつて双つ花の島で、2人親友ができた。
そのうち1人の親友はきっと、破滅の道を辿る。
そのすぐ後に大切な人ができた。
されどこの記憶は消されてなかったことになっている。
海の世界で、信仰していた神様と親友になった。
その親友は、人間と契りを結び幸せになった。
けれど声が聞こえない。探しても見つからない。
もう一人、そこで親友と呼べる人ができた。
その人は主人と共に行く。その主人はもう止められないらしい。つまりは。
夢の世界で、犬猿の親友が人間と契りを結び幸せになった。
自分の傍に居ないけれど、幸せそうでよかった。
他にも、とある恋仲の2人を手伝ったり、ある者の支えになったり。
今頃彼女らはどうしているのだろう。幸せであることを願いたい。
この世界で、この世界の初めての友達ができた。
せめて、侵略が終わるそのときまでは幸せでありますように。
あと、どれだけ、嘘をつけばいい。
あと、どれだけ、偽りを重ねればいい。
あとどれだけ嘘を重ねればいい
あとどれだけ偽りを重ねればいい
あとどれだけ、何度、何度言葉を騙ればいい
イバラシティの人の心も弄んで アンジニティの人の心も弄んで そうして親友を探して 嘘偽りで固めたボクがどれだけ真を知ったところで何も変えられない 侵略には参加できない そういう存在だから だからあの人のことだって知りながら知らないフリをして そうしていつかいなくなる日を あるいは取り変わるその日を待ち続けることになって せめて知り合った人の幸せくらいは なんて夢も儚く海に還って
どうして神様 応えて なんで 応えて くれないの なんで ねぇ どうしたらいいの どうして いつも傍には 何もいないの 誰も 皆 みんな みんな 裏切るの 傍にいなくてもいい なのに なのに 幸せすら かなえてくれない なんで キミも あの人も 誰も なんで どうして ねぇ どうして なんで なんで なんで
どうしていつも ボクの傍には誰も何も残らないんだ 畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生くそおおおおおおおああああああああああaaaaaaaaaaaaaaaaa
―― 夜な夜な心を殺しては
この身を海へと散らし逝く
―― 『とある海巫女の手帳』より
著 ツワォツ・エトパァイエ
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ちわわ 「くっそ鳴海って女出てこいあいつだろぜってーあいつの声だったあたしに変な暗示かけたろこれじゃアンジニティならぬ暗示に態だわくっそ出てこい喰い殺してやるふざけんなまじふざけんなくそがぁぁぁぁあああああああ!!」 |
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おいなり 「あーっあーっ、ちわわ様お気を確かに!!きゃんきゃん吠えたところでチワワでございます!ちわわからチワワへとランクダウンマジックしてしまいます!!」 |
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ちわわ 「だぁぁああああああ離せおいなり!!あたしはあいつを喰いちぎってやんねぇと気がすまねぇ!!あたしを!!いいように!!利用してあんの屑くそ目つき悪ぼっちロリ狡猾女が!!我慢なんねぇ!!」 |
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おいなり 「そもそもどこにいらっしゃるのかさえ分からないでしょーが!そもそもここにやって来ているのかさえも分かりませんから!純粋なイバラの者でございましたら全くもって無意味!いや実際本当に許してはおけない悪の所業でございますが!」 |
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ちわわ 「離せ離せよはーなーせーーー!!んなもん探してりゃいつか見つかっだろ!!あれか、敵として出てくるタイプのやつか!そこか!あそこか!うおおぉおおあぁぁああああああああどこだほんとにどこにいんだあいつはよぉ!!」 |
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おいなり 「落ち着いて、おーちーつーいーてー!!というか本当に先ほどからきゃんきゃんきゃんきゃん喧しいですよちわわ様!本当にチワワになってしまいますよ、イバラでもアンジでもなく敵側として登場することになってしまいますよ!!」 |
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ちわわ 「ところでおいなり。このスカーフ決まってるだろ。」 |
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おいなり 「は?え?え、あぁ、それはもう、お美しいですが。」 |
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ちわわ 「だろ。めっちゃいい感じになってっだろ。最高だろ。」 |
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おいなり 「え、えぇ、それはもう。」 |
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ちわわ 「よし。満足。」 |
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おいなり 「え、よし?え、何がですか?何がでございますか?きゃんきゃん叫んで、スタイリッシュに決めて……」 |
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おいなり 「―― はっ」 |
C〇nCamの……スタイ、リスト……!!