
―― 2019.12.20
■検体C(彼女に情が移らないよう、こう名義する)について
検体Cは神である。イバラシティでは検体Cに設けられた封印が人型となり、ハザマ、あるいは本来の姿とは別の形で本来の姿を封印しているといえる。イバラシティでの検体Cは『現人神』と定義付けるのが最も適しているが、こちらの最終目的である存在とは異なる。
検体Cは人の器に神が降りている状態である。例えるなら、人形に魂が宿った状態だ。
欲するは人であり神である状態。例えるなら、人形の神様。
これは大きく違う。この違いは大きいため、どうにかする必要がある。
……最も、その算段は立っている。
■検体Cの食事について
検体Cの食事は人としての食事と神としての食事の2つの意味がある。
人としての健康状態を確保するための食事。
神として霊力を確保するための食事。
検体Cはどこまでも食物を食べることが可能。これは本来の種族、狗神の暴食性が成すものだろう。
霊力の込められた、つまり人が彼女を想って作った料理を彼女に振舞えば、彼女は人と同じ食量で満足できる。悪食も暴食もなくなるであろう。
逆に言えば、霊力面で満たされなければいくら食べても満足できない。特に今は、彼女に対する信仰の確保が難しいため飢餓状態も悪化していると思われる。
―― この世界は、ボクにとって夢である。
故にこの世界でボクの時間は進まない。一つの夢として、一夜ばかりの儚き幻想として。
17歳になった。
もうボクには時間がない。肉体と精神の齟齬なんて言っている場合じゃない。
そんなもの、些細な齟齬だ。そんなもの、いくらだってくれてやる。
あとボクは何度夢を見ることができるだろうか。
あとボクは何度朝を迎えることができるだろうか。
せめて。
せめてもう一度だけ、キミに会いたい。
しきたりとか、巫女の末裔とか、血筋とか、残り時間とか、そんなものは関係なくて。
ただボクは。
サヨナラすら言えないお別れが、嫌なんだ。
だから絶対に、見つけてみせる。
絶対に、キミを見つけてみせる。
フタバ・オメゥゥョョ。
ボクたちエトパァイエ家がかつて信仰してきた海竜様。
ボクにとっては最初の親友。
絶対に弱音なんて吐かない。
何が何でも見つけてやる。
そのためなら……そのため、なら。
ボクは、手段を選ばない。
―― 『とある海巫女の手帳』より
著 ツワォツ・エトパァイエ
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ちわわ 「もうやだぁぁぁあああああああああ!!!!キモいいいいいいいい!!!!イバラシティのあたしの発言も性格も何もかもが気持ち悪くてキモくてキモくてほんともういっそ殺してくれぐわぁぁあああああああああああああああああああ!!!!!!」 |
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おいなり 「あぁっ、お気を確かに!!ちわわ様お気を確かに!!いやでもその気持ちわたくしめははちゃめちゃ分かりますわたくしだってぶち殺してほしいですもん!!どうしてあんな気持ち悪いストーカーサイコパスでなければならないのですかやだぁぁぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!」 |
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ちわわ 「な……ほんっと、あたしらひっでぇ扱いだよな……はーーーまじふざけんな、まっじふざけんな何であたしがあんな人間に対して頭へこへこ下げて自己犠牲働いて幸せを願わなきゃなんねぇんだ。なーーーにが「誰かの幸せがあたしの幸せ」だ、あたしに害加えるやつなんざ皆殺しで喰い殺しゃいーのになんだあの気持ち悪い博愛精神脳内お花畑はぐわぁぁああああああああ鳥肌が、鳥肌があーーーーーーー痒い痒い痒い痒いちょっと見てくれよおいなりこの鳥肌の立ちぷり見て酷くねアトピーかよ」 |
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おいなり 「真に申し訳ございませんが毛でさっぱり見えませぬ。 ……それはさておき、いや置いておけない問題なのですが。貴方様はやはり、『あの術』をお使いで?」 |
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ちわわ 「……あぁ。あたしゃ、覚悟を決めてる。この身の終着点も決めてる。だから、あたしは抗って、最期は……あたしが成ったものになる。つっても、まずはイバラシティを救うこと、その目的が達成されなきゃ終わるに終われねぇよ。」 |
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ちわわ 「本音言やあの世界の人間共にあたしの力使いたくねぇや。つーかこの辺の土まっじぃな(もぐもぐ)」 |
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おいなり 「ごもっともです。というか本当にこの辺りの土美味しくないですね(もぐもぐ)」 |
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ちわわ 「土の味は公園の方が美味ぇよなー。まーあたしが住んでんだから不味くなるわけねぇんだけどなー。あ、あっちのあたしゃあたしがとことん嫌いだから不味いって思うか。わはは(もぐもぐ)」 |
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おいなり 「……ですが、平気そうに食べておられましたよね(もぐもぐ)」 |
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ちわわ 「あれじゃね?あたしみてぇに力を把握してねぇとこがあっし、そもそも自覚あって使ってるわけじゃねぇしというか日々生きる霊力が毎日ギリギリだしで天照の力の一つである『国土安泰』の作用がねぇんじゃね?(もぐもぐ)」 |
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おいなり 「はーなるほどでございます。……。難儀ですねぇ。」 |
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ちわわ 「これだからイバラシティは。やっぱり滅ぼすべきだぜあそこ。つーかアンジに来んな。」 |
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おいなり 「……何故わたくしたち、彼らに助力するんでしたっけ?」 |
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ちわわ 「え?花梨の守りたかったもんを守るためだぜ?あたしとしては花梨以外どーでもいいし仲良しこよしもする気ねぇから最低限の力添え以外来ねぇでほしい。」 |
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おいなり 「…………。もうめちゃくちゃでございますね……」 |