
•.¸¸☆アンジニティの住人は既にこの街に紛れ込んでいます。
この街の一部を改変し、辻褄を合わせ、ごく自然に、巧妙に、だそうで。✩.*˚
「へぇ…」
そんな声が聞こえる。
記憶の一部が改変とは大層なものだ。
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[改変が行われます。この対象への改竄を実行しますか?]
Yes
➥ Go!イバラシティ!
No
⤵ Mediocre everyday…
11/8
桜の木の葉が散っていた。今度写真でも撮ろう。
11/9
進路が決まらない。母さんから叱咤の電話が来た。
…少し辛い。
11/10
憂鬱だけど、学校には行った。頑張った。
11/11
ポッキーの日と言うやつらしいけど、バイトしてたら日をまたいでた。ちょっと寂しい。
11/12
なんというか…いつも通りだった。明日は有意義に時間を使いたい。
11/13
今日は、何をしたっけか…覚えてない。
普通に過ごして、普通に帰ってきた。
11/14
部活が最近活発らしい。
まあ…バイトで行けないけれど。話題を聞いて、少し羨ましく思う。
11/15
急に寒くなってきた。母さんは大丈夫だろうかと、電話をかけた。
…2度ほどかけたが折り返しはなかった。
11/16
今日の昼ごはんを思い出せない。
ボケたかと、1人で笑う。…なんだったっけな。
11/17
母さんから電話が来た。
…つまらないことで電話はかけないようにする。
11/18
テストが近い。
勉強…しないと。
11/19
2週間もあるという人の神経を疑う。
決して、言葉には出来ないが…。凡才は今からやるのに必死だ。
11/20
バイトのシフトを見る。
店長に伝えたはずだが…いっぱいまで仕事が入ってるのが見えた。
…言い出せなかった。
11/21
眠い。勉強する時間どうしよ。
11/22
最近、殺人事件だとか物騒らしい。
スマホも見る余裕が無いのはなんとかしたい。
11/23
眠い……。
11/24
店長から怒られた。
もっと、しっかりしないと。
11/25
テストが近い。今回はいい点取らないと。
頑張らないと。
11/26
バイト、休みの日だけど勉強する。
平均以上じゃだめだ…もっと勉強する。
11/27
時間が足りるか分からなくて吐きそう。
ただの期末なのに。
11/28
──忙しかったのか書かれていない。
11/29
昨日は気付けば死んだように眠ってて危なかった。
ちゃんと寝るようにしたい。
11/30
日が迫るごとに胃が痛くなる。
12/1
母から電話が来た。
いつもの愚痴だ。仕送りが少ないらしい。
そう…。
12/2
テストが始まった。
胃が痛いけど、頑張ろう。
12/3
得意な数学からしてあまり自信が無い。
もっとやってればよかった。
12/4
英語はなんとか目標点に行けるだけの手応えは感じた。
ほんの少し嬉しい。
明日も頑張ろう。
12/5
なんとも言えない感じだった。
満点ではないだろう…自信がなくなって来た。
12/6
テスト終わり。
満点はなさそうで憂鬱。
そうなってはいられない季節だけれど。
12/7
年明けまでのスケジュール整理。
ほとんどバイトで埋まってるけど…去年のそうだったし問題ない。
12/8
寒くなってきた。
そろそろ暖かくしていきたいが、お金の余裕が無い。
我慢。
12/9
誕生日だかの話を小耳に挟んだ。
誕生日…11/24だったか。
祝われた思い出なんて、片手ほどしかないけれど。
12/10
近々、誕生日パーティをするらしい。
もっとも、私には無縁そうなものだが。
12/11
何も無い1日だ。
早く帰って、眠って、終わった。
12/12
時々、生きてるのが虚しくなる。
けども、死ぬのは何か違う気がして。
…ニュースでそういうのを見ると、途端に竦んでしまう。
12/13
明日は休みと言い聞かせて、何とか乗り越えた1日だった。
気持ちが負けてる時は、何をするにもしんどい。
12/14
今日は…誕生日会だったか。
もっとも、バイトの私には縁遠いものだが。
楽しかったんだろうか…
12/15
現状から逃げるように1日バイトにのめり込む形になった日だった。
もっとも、得たものは金以外ないのだけれど。
12/16
疲労が残るまま、学校へ。
けれど、ちゃん起きれてた。頑張った。
12/17
気を取り直していこう。
変なミスをする前に、前向いてればこんな生活でもきっと楽しい。
12/18
──この日の日記は綴られていない。
12/19
また、昨夜の記憶が無い。
嗚呼…しっかりとしないと。
12/20
────ハザマにて────
思い出した。
私の人生は、なんにも、なかったじゃないか。
幼馴染も、心許せる友達もできない。
気まぐれに菓子屋にも行かない。
聖堂に引っ越したりしない。守護騎士だなんてものにならない。
ただ、習慣のように学校に行き、バイトに向かい、終わったら眠る。
何の生産性もない、ただなんとなく生きる無個性で無色な日々。
……なんで、生きているんだ?
偽りであろうと、あの彩りがある人生を送れたのは、何が違いだ?
こんなにも、幸せに過ごせたのは何のおかげだ…?
平凡なだけな私でも、毎日が楽しかったのは…何でだ…?
どれだけ抜け出そうとしても抜け出せなかった、平凡[じごく]から容易く抜け出せたのは何故!?
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シエル 「ああ…うん……… きっと……分かってる………わかってるよ………」 |
大事な人も、友達も…普通の人が持ってるものを、やっと…手に入れれたからで……
胸が、苦しい。
涙が、止まらない。
偽りであってもいい。
確かに『私』が"好き"になったものを…消さないで……奪わないで……。
私を、平凡に…戻さないで………。
嗚呼──
こんなにも、苦しくて、悲しくても…どちらが勝っても私が終わりなら…
せめて、この命は好きなもののために使おう。
届かぬ愛だとしても、叶わぬ恋だとしても…好きになってしまった女の子と共にあるためにこの命を使おう。
これが、これからの神宮シエルの生き方だから。