
…
……
………
「……ワールドスワップの能力者さんですよね。
機会を与えてくれて、感謝していますよ?」

「お姿は拝めないんですかねぇ。私は興味津々桃色片想いなのですが。」

「……仕切り直し、世界線を変更する、と能力が言ってきます。
貴方が案内役にならない世界線。イバラシティも、アンジニティも、新たなものになる……と。」
「これは能力ではなく、……呪い。呪いという言葉が合う。
今まで勝手に発動した数度、自分への利はない。制御下にない、把握できない、呪い。」
「ハザマへの次の転送時間に、ハザマに転送される代わりに、世界線が変更される。
そして、案内役も、転送対象も、変わる。」
「変わるものは、多いだろう。しかし変わらぬものも、あるだろう。」
「連絡は終わり。さようなら。」
……一瞬意識が途切れるような感覚に襲われ目の前が暗転する。
見慣れた
……その後でゆっくりと目を開け、視界一杯に
《初めて見る》景色に小さく溜息をつき、少しづつ思考を纏める。
もうこれも何度目だろう?と数える事も放棄してしまったけど━━━
イバラシティ
私はアンジニティの人間で……"向こう側"では"冬鐘 夏海"と名乗ってたけどそれは違う、改竄された記憶。
……"冬鐘 夏海"なんて人間は本当は居なくて…そう……私の本当の名前は
"雪瀬 夏鈴"
イバラシティ アンジニティ
■■■■■■■■で起きた侵略戦争で…"響奏の世界"の味方をした"否定された者"
━━━ゆっくりとだが色々と思い出し━━怒りにも虚無感にも似た感情が沸き上がる。
幾度と無く繰り返しても━━"私"が向こう側に居る限り敗北か中断の結果にしか行き着けなくて、だったらもう……
きっとこうするしかないんだ、と自分に言い聞かせる。
そもそも"第三者"が■■■■■■■■を起こしてる以上この勝敗にきっと意味なんてない…
例え勝てても今度は攻守が入れ替わるだけだ、それを私は別の世界線で知っている、だから━━━
そんな決意と共に自身の白い翼が━━━心と共に昏く染まる気がした━━それでも━━━
━━━この侵略戦争の裏にいるやつを今度こそ葬って全て終わらせてやる……。
例えアンジニティとして振舞って……大事だった友達を騙して……例え"冬鐘 夏海"の時に知り合った人間を利用して……"雪瀬 夏鈴"を覚えている人と敵対する事になっても。
もう自分の味方が誰も居なくなったとしても━━━。
それが私の━━━"今の雪瀬 夏鈴"の目的だから。
………でも、全て思い出したはずなのに……この僅かに引っかかる違和感はなんだろう……?
それに……『Cross+Rose』に"貴方は何処に居たいですか"なんて表示……今までの世界線であったっけ……?
ハザマの記憶
━━━7時間目(1時間目)
決着の刻まで後
━━━36時間