『Stay tuned for the FOXNET RADIO coming up next!!』
『──続いてのおたよりはラジオネーム【こっくり】さん』
『【くzuコさn、こんバンは。】こんばんはーなのじゃー!』
『【キkiたiこ10ガあRI〼。】おお、なんじゃなんじゃ? なんでも訊くとよい!
そのためのおたよりコーナーなのじゃからな!』
『【
ガ RA んとハ、なん
デス K a?】』
『──。』
■ラジオノイズ。
『Stay tuned for the FOXNET RADIO coming up next!!』
『──続いてのおたよりはラジオネーム【きんこぎんこ】さん』
『【くずこさん、こんばんは。】こんばんはーなのじゃー』
『【“伽藍”とは、もともと仏教において僧の修行場のこと。くずこさんに縁深い場所ではありません。】』
『【けれど、あなたにはこの言葉が付き纏います。がらんどうのラジオ局。“虚狐”と銘を変えた神刀。身にまとうもまた、伽藍。
くずこさん。“伽藍”とは何ですか? 玉藻だけが知っていて、我らが知らないものとは、何ですか?
あなたは、我らは。
イバラシティで目覚めるまで、一体どこにいたのですか?】』
『──。』
■ラジオノイズ。
『Stay tuned for the FOXNET RADIO coming up next!!』
『──続いてのおたよりはラジオネーム【せいめい】さん』
『【くずこさん、こんばんは。】こんばんは、なのじゃ』
『【母上。“伽藍”とは、アンジニティなる異界のことですか?】』
『……。』
『【父上はともかくとして、私はそも地獄にしか行き場の無い身。いかなる場所とて、喜んでお供する覚悟でありました。
もとより、母上を御守りするための陰陽術。
あなたの為に使われねば、意味が無かった。神代終わりしその後に、なぜお一人で消えてしまわれたのですか。】』
『違う……』
『【母上は、あの戦のあとで世界に否定されたのですか。アンジニティへと、流されていたのですか。】』
『違う!伽藍はアンジニティなどではない。伽藍は……!』
■ラジオノイズ。
『Stay tuned for the FOXNET RADIO coming up next!!』
『──続いてのおたよりはラジオネーム【さとり】さん』
『【くずこさん、こんばんは。】こんばんはーなのじゃ!』
『【アンジニティの者です。ハザマにいる間の人恋しさを、ラジオから聞こえてくる声に癒して頂いています。いつもありがとうございます。】ふふ。何よりじゃ!』
『【今回おたより差し上げたのは、他でもありません。
イバラシティ。あの土地を、私たちにお譲りいただけないでしょうか?
そうはいかぬ、というのが当然かと思います。当然のことをお聞きしてしまい、申し訳ございません。
くずこさんにこの場で頷いて頂いたとしても、意味なきことなのは理解しています。
ただ、風の噂に聞きました。
夫と息子をヒトに奪われ、その恨みつらみは他の妖の比ではない。
それでもなお、ヒトのためヒトのためと彼らを見守り続ける、そんな奇特な狐がいると。
くずこさんはそも、此方の側なのではないですか?
その、此の世もかの世も灼き尽くさんばかりの怨みの毒を、私たちと共に晴らすことはできませんか?】』
『【あなたの在り方を、私は心配しています。良いお返事をお待ちします。】とのことじゃ。【さとり】さん、ありがとー!』
『はっはっは! なんと、へっどはんてぃんぐされてしもうた!
ありがとう【さとり】殿。そなたの気持ちはようく分かった。その上で、先ずは結論から応えよう。
わしはな、そちらには行かぬ。』
『わしはヒトを恨んでなぞおらん。正確に言うなら恨んでおったが、今この時はもうよいのじゃ
。遠い先祖の所業なぞ、今を生きる子らには関係の無いことじゃ。そうであろう?』
『それに……護りたい者がおる。健やかであれと、わしでも願えるほどの善人じゃ。こんなわしに、事情は知らぬとはいえ良くしてくれる者じゃ。
ゆえ、わしはヒトの味方じゃ。新たな世を担うものたちを見送る、一人のイバラシティ住民じゃ。
そうありたい。せめてそれくらいは……。
そういうわけじゃ。気持ちに答えられず、すまぬな【さとり】殿!』
『おおっと、いつの間にかこんな時間になってしもうた!
今日の“今宵も朝まで寝tonight!”はここまで! 最後にお便り募集のおしらせじゃー!』
『当番組では、様々なお悩みを持った方からのお便りを募集しておるぞ! イバラシティ、アンジニティと、どんな方でも大歓迎!』
『“Cross Rose”のチャット機能にて、どしどし応募しておくれ! 私安倍葛子が、ゆるーくお答えするゆえな!』
『それでは皆、佳いハザマライフを。ではの!』
(荒廃した街中のスピーカーから。Cross Roseの仮想回線から。テレパス系異能の通信パルスの中から。どこからともなく、ラジオが聞こえている。)