ユウ 「――――あった。あれだ。」 |
ハヤミ 「よくそんなすぐ分かるな。」 |
ユウ 「オレね、毎晩あれを探すのが日課だから。 寝る前にあの星がまだあるのを確かめて、今日も世界は平和だったなって実感するの。」 |
ハヤミ 「勝手に他人の異能に世界の平和を委ねてんじゃねえよ。」 |
ユウ 「歩きながら考え事ができなくなってきたら、ボケが進行してるんだってさあ!」 |
ハヤミ 「うっせえクソガキ!!」 |
ハヤミ 「つか、あれについて妙に詳しいじゃん。お前にあの星のこと話したことあったっけ。」 |
ユウ 「ん。聞いたから知ってるんでしょ。 大丈夫、オレは誰にも言ってないよ。そういうのは弁えてる。 オレがせっかく黙ってるのに、アガタが自分でベラベラ喋ってたら笑えるけど。」 |
ハヤミ 「アガタ さん 」 |
ユウ 「アガタさん」 |
ユウ 「おっさん、そういうとこうるさいよな。」 |
ハヤミ 「 おにいさん 」 |
ユウ 「ウケる。」 |
ハヤミ 「ウケてんじゃねーよ!!」 |
ハヤミ 「お前さあ。よく俺にアガタさんの話するけど、何なの? 量産型の売れない絵描きに対する当てつけか?」 |
ユウ 「べつに、それでもいいけど。嫌ならやめるよ。」 |
ハヤミ 「あ、そう……。じゃ、お前はそんな喋りたいほど好きなのかよ。 そんなら、今ちょうどチナミ芸術館で展覧会やってるぞ。エフェメラルってやつ。」 |
ハヤミ 「……今度、一緒に行くか。俺もまだちゃんと見に行ってないから。」 |
ユウ 「行かない。」 |
ユウ 「聞いたよ。展覧会やってるあいだ、アガタもこの辺に滞在してるらしいね。 チナミ芸術館でアガタ本人を見かけたっていう人の話も聞いた。 オレね。アガタの絵は好きだけど、アガタには絶対会いたくないんだよ。」 |
ユウ 「直接話しかけたりとかじゃなくても、近づきたくない。」 |
ユウ 「……ほら、アレ。声優とか漫画家が顔出しするとガッカリする奴あるじゃん。 流石に顔ぐらいは知ってるけど、実際の声とか、動きとか、あと身長とか。 アガタが、イメージと違ったらツラいじゃん。綺麗なままで置いておきたいの。」 |
ハヤミ 「…………。」 |
ハヤミ 「ハ~~~~~~~~~~~~~~~ッ、なんだ、そんなことかよ……。」 |
ユウ 「そんなことって。大事なことだよ、オレにとっては。 でもオレが直接会いたくないってだけだから、もし会ったら教えてよね。」 |
ハヤミ 「それぐらいなら、やっぱ行くか。エフェメラル。 画家様だってそう自分の展覧会に入り浸ったりしねーよ。握手会じゃあるまいし。 本当に好きで来てる客は喜ぶかもしれないけど、なんとなく来た客が萎縮するじゃん。」 |
ハヤミ 「絵だけは好きなんだろ? 絵だけ見に行くつもりで行けばいいんだよ。 …………それにたぶん、展覧会にしか並んでない新作とかもあるだろうし。」 |
ユウ 「……あの人の絵さあ、ヒーリングアートとかって祀り上げられてるじゃん。 オレ、あれ自体はあんまり好きじゃないのね。ダメとまでは言わないけどさあ。」 「ああいう風になってくると、画家としてはそのうち身動き取れなくなると思うんだよね。 過激派が勝手なイメージ抱いて、美化しまくって、今までどおりの作品を期待して、 ちょっと作風が変わっただけで『こんなのは○○の作品じゃない』とか言い出すんだよ。」 |
ユウ 「そうすると、イメージを崩さない絵ばかり表に出てくるだろ。 死んだ後で未発表の作品がいくつも発見されて、遺族が高値つけて売り飛ばしたりする。」 「オレがアガタの絵を好きだと思ってるのは幻想で、 本当は誰かに描かされてる絵だとしたら、ちょっとキツいんだよね。 そんなの、絵を見たって分かんないことなんだけどさあ。」 |
ユウ 「アガタって、今もまだちゃんと描きたい絵を描いてるのかねえ。」 |
――――ハザマの地でもすこしずつ、細切れの時間が進んでいく。 傍らの友人以外とは誰とも言葉を交わすことなく、今もまた、星を探す。 |
ふと、イバラシティでの従弟の存在を思い出した。 Cross+Roseを使って、相手の無事を確認する簡潔なメッセージを送ってみる。 ――――…… ……しばらくして、送ったメッセージがそのまま戻ってきた。 どうやら、彼はこの戦いには参加していないようだった。 |
ベルナルディタ 「…………。」 |
ベルナルディタ 「……イフ、本当に大丈夫なの? お前はもともと戦うほうじゃないはずでしょ。私も、お前には戦力として期待してない。 ただ退屈しのぎの話し相手になってくれれば良かっただけで……。」 |
ハヤミ 「大丈夫だよ。まだ大丈夫。全然大丈夫だから。 逃げて隠れるだけじゃあ、行きたい方向にも行けないからさ。 それに、敵がいるからって避けて通ったところにアガタがいたら困るだろ。」 |
ベルナルディタ 「そう。大丈夫じゃなさそうなのは分かったよ。」 |
ハヤミ 「…………。」 |
ハヤミ 「――――本当のところはさ。」 「ここハザマで戦うよりも、アンジニティでの暮らしよりも、 イバラシティで日常を過ごすほうが怖いよ。なんか、なんかさ。 アガタのことを知るたびにさ、子供の頃のこと思い出すんだよ。忘れてたのに。」 |
ハヤミ 「そしたら、笑いをこらえるのに精一杯でさ、ほんと、面白いんだよ。 母さんの顔がちゃんと思い出せたらもっと良かったんだけどさあ、 俺本当にそれだけが心残りだよ。どうして描けないんだろうな。変だよなあ。 あいつの肖像画を描きあげたらさ、実家に帰ってさ、母さんの絵が描けたよって、 クソジジイとクソババアの目の前で燃やしてやることだけを楽しみに生きてるのにさあ。」 |
ハヤミ 「は、はは。俺が子供のうちに母さんが死んでくれて良かった。 誰が生き返らせてやるもんか、あんな女。ふっ、あはははは!! ああ、でも、交通事故じゃなくて、自分で死なせてあげられたらもっと良かったけど!!」 |
ベルナルディタ 「イフ。」 |
ハヤミ 「そんで、あいつの死体をどっかに隠して、あいつが俺にやったみたいに、毎日スケッチしてやるんだ、全裸にして、その死体が腐っていくさまを、毎日、毎日!! 重ねた紙めくったらパラパラ漫画みたいに動くんだろうなあ! それ絶対楽しいじゃん! あっでも腐臭に耐えきれる自信ねえわ! 圧縮袋とかに入れても多分無理だわ! でも腐ってくのを描きたいんだよね、そういう問題とどうやって両立すればいいかな!? 別に腐ってくのじゃなくてもいいけど、こう、何でもいいからさ、少しずつ変化していくさまをさあ、描きたいの! 母さんが俺にしたことやり返すの! 燃やすでもいいけど、それだとちょっと変わってくペース早すぎて描ききれないからさ、アッ犬とか一緒に置いておけば毎日ちょっとずつ食べてくれるかな!? ほら、孤独死した人間を飼い犬が食べちゃう話とかよくあるじゃん! ね!」 |
ベルナルディタ 「イフ。」 |
ハヤミ 「ああ、でもそれならやっぱり大人になってから死んでくれたほうが良かったな。子供じゃ死体をどうにもできないもんな。実際何もできなかったもんな。だから、ちゃんと死体を保管するための準備をして、それから死んでもらうんだ。大人だったらそれができたかもしれないのに。勿体無いよな。ほんと勿体無いよ。でも母さんもう死んじゃってるからさあ、もしものこと考えたって意味ないんだけどさ、母さんが生きてた時は早く大人になりたいってあんなに思ってたのにね、これじゃ俺なんのために大人になったのかわかんねえや、俺何でまだ生きてんだろ、なんのためにここにいるんだろ、意味ないよな、ふふ、」 |
ハヤミ 「仮にもし今母さんを死なせてあげられるとしたらさ、やっぱ首絞めるほうが綺麗かな、痕が残るから溺れさせるのがいいかな、でも首吊りとかひどい顔で死ぬらしいじゃん! 外傷なくてもそんな顔で死なれたらちょっと嫌じゃない? あんま綺麗じゃないし! でも刃物で刺したり鈍器で殴ったりするのも美しくないっていうかさ、あの女のことは嫌いだけどさあ、脳みそ以外の肉体そのものに罪はないっていうかね、やっぱ見苦しい感じになっちゃうとかわいそうじゃない? もう変わらないわけだし。生きてるうちはどんどん変わってくものだからさ、死んだ瞬間が完成品みたいな? それならちゃんと綺麗に化粧してる時に死なせてあげないといけないよねえ、死化粧とか俺そういうのよくわかんないし! ちゃんと綺麗にしてあげられる自信ないし! まあでも死体なんて葬式しないなら見た目とか気にするところじゃないんだろうけどさあ!」 |
ハヤミ 「ああでもそもそもべつに死体にしてあげる必要ないのかな、そっくりそのままやり返すかたちだったら生かしたまま閉じ込めたほうが俺がやられたのと近いよね、そのほうがいいかもな、でも生きてるとなんか不安じゃん、またやり返されるなんて絶対嫌だからさ、死んでてくれたほうが安心なんだよね。とにかくね、何か作るんだったらね、その時の全力を注いでおいたほうが俺的にはあとで後悔しないで済むと思うんだよね、『でもあの時は全力で頑張ったからこれ以上良いものは作れなかったんだ』って許せるじゃん! ねえベルナはどうするのが一番良いと思う? とりあえずベルナが言った通りにしてみるよ、お前が決めたことならなんかうまく行かなくても全然大丈夫だし! 俺たちなんだかんだいってうまくやってきたもんな、そういうことは信頼してるんだよ、だから」 |
ベルナルディタ 「イフ!!!!」 |
ハヤミ 「――――ッ!! な、なに!?」 |
ベルナルディタ 「落ち着いて。落ち着いてよ。それはお前じゃない。ハヤミはお前じゃない。 お前は世界に否定されて、アンジニティ送りにされた罪人。逃げるな。」 |
ハヤミ 「は、」 「…………、」 |
ベルナルディタ 「お前は罪人だよ。お前に母はいないよ。お前が幼い子供だったこともない。 お前は誰かに捨てられた想像上の友人。そうだったはずでしょ? それを私が拾って、ここに存在できるように書き換えてあげただけ。 でも、イバラシティに行ってから、お前は急に別人になった。子供みたいになった。」 「……それは、ハヤミの記憶のせいなの?」 |
ベルナルディタ 「ねえ、イフ。私に話をしてよ。何でもいいから。何でも聞く。 余計なことは考えずに、ずっと話をしていて。そうしていて。 そうしないと、お前がおかしくなりそうだから。」 |
ベルナルディタ 「……イバラシティでの生活、楽しい?」 |
ハヤミ 「…………。」 |
ハヤミ 「…………うん。楽しいよ。アガタと居る時だけは。 安心するんだ。あいつ、別に俺のこと自体はどうでもいいと思ってるだろうから。」 |
(心に光。) |
――――また、空を見上げている。 このとき、探しているものは星ではない。友人の名だ。 Cross+Roseにある参加者名簿からその名を一通り探して、探して、もう一度探し直す。 |
見知った名前はいくつか見つけられたのに、探し人の名前は見つからない。 自分自身の名前も、見つからない。『阿片せつせつ』も、『速水徹也』も、どちらもない。 いや、そもそもの話。『速水徹也』は居ないのだから当然だ。 ――――では、『阿片せつせつ』は? |
……これ以上は無駄だ。再び、星を探して空を見上げた。 |
頭にありもしない記憶がよみがえる。 コヌマキャンプ場。 ザリガニは何で釣れるのかとどっちかが聞いた。ちくわでいいはずとどっちかが言った。 コンビニでふたりしてちくわを買った。 そのまま渡されそうになったちくわに…ちくわに割りばしをつけてくれと店員に頼んだのはたしかハヤミだった。 割りばしを小さくして釣り具にした。 コンビニでもらった割りばしの中にはつまようじが同封されていた。 そういえば、つまようじをペンタブの芯にする人もいるらしいじゃないか。 緑に覆われた林の中、沢の縁に腰掛けていた。 釣りあげたザリガニを、落としそうになる彼のために、咄嗟に手でザリガニを受けた。 その時なんというか、ぬるっというか、ねばっというか、 したことを思い出した。 |
『気色わるくないですか、アガタって。』 |
榊 「・・・おや?何だか良い香りが。」 |
榊 「香りまで再現、高機能な代物ですねぇ。」 |
榊 「しかし香るのは、花の匂いだけではないような・・・」 |
榊 「ごきげんよう。それは・・・・・団子、ですか?」 |
カグハ 「団子いっちょーう。180円。カオリちゃん、具。」 |
カオリ 「はいはいカグハちゃん。はいアンコ奮発しちゃうよー!!」 |
榊 「おお・・・これはこれは美味しそうな!ありがとうございます。」 |
カオリ 「・・・・・って、チャットでやってもねー。無意味だねぇ!無意味っ!!」 |
カグハ 「ホンモノ食べたきゃおいでませ梅楽園。」 |
カオリ 「いやまだお店準備中だから!来てもやってないよー!! 材料創りはカグハちゃんなんだから自分で知ってるでしょ!!」 |
榊 「いただいた団子は・・・・・これは無味ッ!!味の再現は難しいのですかね。」 |
榊 「まだ準備中のようですが、こんな世界の中でも美味しいものをいただけるとは。 いつか立ち寄ってみるとしましょう。」 |
No | アイテム名 | 種類 | 強さ | 効果1 | 効果2 | 効果3 | (素材・食材・消耗の場合は詳細等) |
1 | 不思議な武器 | 武器 | 10 | - | - | - | 【射程1】 |
2 | 不思議な防具 | 防具 | 10 | - | - | - | |
3 | 不思議な装飾 | 装飾 | 10 | - | - | - | |
4 | ペンタブの替芯 | 武器 | 15 | 攻撃10 | 攻撃10 | - | 【射程2】 |
5 | 不思議な石 | 素材 | 10 | [武器]回復10(LV5)[防具]敏捷10(LV5)[装飾]幸運10(LV5) | |||
6 | 人の心 | 料理 | 36 | 防御10 | 治癒10 | - | |
7 | 藍鉄鉱 | 素材 | 20 | [武器]器用15(LV25)[防具]防御15(LV25)[装飾]活力10(LV10) | |||
8 | |||||||
9 | 毛 | 素材 | 10 | [武器]束縛10(LV25)[防具]加速10(LV25)[装飾]敏捷10(LV10) | |||
10 | 羽 | 素材 | 10 | [武器]敏捷10(LV15)[防具]加速10(LV15)[装飾]貫撃10(LV15) | |||
11 | 吸い殻 | 素材 | 10 | [武器]炎上10(LV25)[防具]道連10(LV20)[装飾]火纏10(LV25) |
名称 | LV | 説明 |
呪術 | 10 | 呪詛/邪気/闇 |
具現 | 10 | 創造/召喚 |
変化 | 5 | 強化/弱化/変身 |
料理 | 26 | 料理に影響 |
被研究 | スキル名/元スキル | LV | EP | SP | 説明 |
ブレイク | 6 | 0 | 20 | 敵:攻撃 | |
ピンポイント | 5 | 0 | 20 | 敵:痛撃 | |
クイック | 5 | 0 | 20 | 敵2:攻撃 | |
ブラスト | 5 | 0 | 20 | 敵全:攻撃 | |
ヒール | 5 | 0 | 20 | 味傷:HP増 | |
ダークネス | 6 | 0 | 60 | 敵:闇撃&盲目 | |
クリエイト:タライ | 6 | 0 | 40 | 敵:攻撃&朦朧・混乱 | |
ストレングス | 5 | 0 | 100 | 自:AT増 | |
クリエイト:ファントム | 6 | 0 | 140 | 自:衰弱LV増 | |
アウトレイジ | 5 | 0 | 90 | 自:AT・闇特性増 | |
キーンフォーム | 5 | 0 | 80 | 自:DX・貫通LV増 | |
エナジードレイン | 6 | 0 | 160 | 敵:闇撃&DF奪取 | |
サモン:レッサーデーモン | 5 | 0 | 400 | 自:レッサーデーモン召喚+HP減 |
被研究 | スキル名/元スキル | LV | EP | SP | 説明 |
攻撃 | 6 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:AT増 | |
防御 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:DF増 | |
器用 | 6 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:DX増 | |
敏捷 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:AG増 | |
回復 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:HL増 | |
活力 | 6 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:MHP増 | |
体力 | 5 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:MSP増 | |
治癒 | 5 | 5 | 0 | 【自分行動前】自:HP増 | |
鎮痛 | 5 | 5 | 0 | 【被攻撃命中後】自:HP増 | |
幸運 | 6 | 5 | 0 | 【戦闘開始時】自:LK増 | |
召喚強化 | 5 | 2 | 0 | 【常時】異能『具現』のLVに応じて、自身の召喚するNPCが強化 |
[深度]スキル名 | [深度]スキル名 | [深度]スキル名 |
[ 3 ]エキサイト | [ 3 ]ティンダー | [ 3 ]イレイザー |