スカリム 「はてさて、大変おかしな話だ。あちらさんのマッチングミスだろうか? 君はどう見ても一人じゃないか。こちらは二人だ。」 |
スカリム 「それとも僕たちには見えないだけだろうか?」 |
スカリム 「教えてくれるかい?ハヤミさん、君は独りなのか、それとも――」 |
伊舎那 「あっ、あの人は……」 |
伊舎那 「スカリムさん、僕あの人写真で見た覚えがあります。 イバラの知り合いの写真で隣に居た人です。」 |
伊舎那 「尤も、スカリムさんを傷つけようものなら 知り合いだろうと関係ありませんけどね。」 |
ハヤミは一人だ。 相手は二人だ。 |
ハヤミ 「……へえ。そちらさん、アンジニティ送りにされた奴にしてはまともそうだ。 それに仲も良さそうだねえ。ちゃあんと手ェ繋いどけよ、お互い生きてる間はな。」 |
ハヤミ 「一人だからって手加減は不要だ。あんまりみじめな気持ちにさせてくれるな。 『人』で数えるなら一人だけどさあ、『人』じゃないやつが周りに沢山いるんでね。」 |
《攻撃》――色褪せた現実と紙上の暴力 |
《器用》――妄想を継ぎ接ぎ、ありもしないものをかたちどった |
《活力》――欺は再び 立ち上がるちからを齎す |
《幸運》――知らしめよう 描き出せ 己はまだここにいる |
おいで―― |
甘く香る―― |
ほんの一瞬―― |
ここまで堕ちて、おいで―― |
《幸運》――色彩との出会いという至上の幸運 |
《体力》――生命の息継ぎ、肉体に残された力を見付け出した |
《活力》――美は再び 立ち上がるちからを齎す |
《回復》――知らしめよう 描き出せ 己はまだ生きている |
不意に脳裏に浮かぶ――― 疾那の下手くそな絵 そして顔を捕らえ、特徴を想い、全身を眺め、星の下描いた被写体の事も。 |
……荒れ果てた戦場には似合わない“香り”が、ひどく煩わしい。 ああ、そうだ。本当はこんなことをしている場合ではない。 |
――――アガタを探さなければ。一刻も、早く! |
彼は 1人で2人分 はたらく。 |
『沢山かけて、すごく幸せ』 |
戦いながら作品と呼べるものを描くなど、そのような芸当を一体誰ができるものか。 少なくとも、ここにいる絵描きにそれはできない。 何か描けるとすれば、線を描いただけの白いらくがきぐらいだ。 この場、描くならば速写しか許されない。 ざらりとえがいたクロッキーをちぎり取る。 |
――――“絵さえ用意できれば”、自らの異能を行使することぐらいは造作もない。 |
スカリム 「そこに僕はいないけれど、大丈夫?」 |
目標を見失った魚たちが虚空を泳いでいく。 |
「もっとちゃんと狙いなよ」と小鳥が耳元で小言を囁いた。 |
――――ありもしないものたちが、現実を上書きした。 |
咄嗟に黒塗りのキャンバスで防壁を打ち立てる。 |
――はっとした。脳裏で鮮やかに色づいた。アガタの絵画が! |
今は空を見上げて星を探している場合ではない。 |
「もっと大きく描いて当たり判定増やしたら?」と小鳥が耳元で小言を囁いた。 |
《光》 |
午前五時。 冬の残る季節では、まだあたりは暗かった。 空には遠く朝焼けがにじみ始めている。 店内にこもっていた甘い香りを散らすように、冷たい外気が吹き込んだ。 隣に座ってほしいという合図。パンプスの音。膝を抱えるように座った。ちら、と横顔見る。 そうして―― 夜明けを待つ、朝が来る。 白む空に、星が一つまた一つと見えなくなり、 夜が終わる―― |
たたかいの最中、イバラシティの夜明けの光を思い出した。 もっともその記憶は、ハザマでのあなたには不名誉なものかも解らないが。 |
『沢山かけて、すごく幸せ』 |
咄嗟に黒塗りのキャンバスで防壁を打ち立てる。 |
スカリム 「やるじゃないか!」 |
《祝福》――ハヤミはばらの湯で描かれていた アガタの絵を思い出した。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
目標を見失った魚たちが虚空を泳いでいく。 |
そこにあった仮初めが、はらりと溶けるように消えた。 |
スカリム 「右からじゃ駄目か……」 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
イマジナリ・フレンズは勝手に落ちてたカードを拾っていた。 |
アガタのカード発動! |
『私達だけの秘密よ』 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
「もっとちゃんと狙いなよ」と小鳥が耳元で小言を囁いた。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
「手癖で描いてるでしょ」と小鳥が耳元で小言を囁いた。 |
異形の魚たちがするりとくぐり抜けていく。 |
スカリム 「おっ、とぉ……よくないね、こういうの。」 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
そこにあった仮初めが、はらりと溶けるように消えた。 |
『どこへ行ってたの?』 |
異形の魚たちがするりとくぐり抜けていく。 |
スカリム 「やるじゃないか!」 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
『遊ぼう、つまり絵を描こう』 |
伊舎那のカード発動! |
「もっとちゃんと狙いなよ」と小鳥が耳元で小言を囁いた。 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
ハヤミのカード発動! |
スカリム 「ここでも絵を頼む人がいるの?」 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
イマジナリ・フレンズは勝手に落ちてたカードを拾っていた。 |
アガタのカード発動! |
キバ 「休憩は大事っすよ!」 |
『ほら、笑って』 |
スカリム 「ねえ、僕にも見せてくれないかい?」 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
スカリム 「ここでも絵を頼む人がいるの?」 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
スカリム 「誰のために描いているんだい?」 |
今頃、アガタは何をしているだろうか。こっちが必死こいて頑張ってるのに、 のんきに寝てたり遊んでたりしたらちょっとむかつくな……と思った。 |
『大丈夫だから』 |
スカリム 「誰のために描いているんだい?」 |
上空で、何かが光ったような気がした。 |
そこにあった仮初めが、はらりと溶けるように消えた。 |
「もうちょっとどうにかならないの?」と小鳥が耳元で小言を囁いた。 |
スカリム 「何を描いているんだい?」 |
スカリム 「ねえ、僕にも見せてくれないかい?」 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
スカリム 「ここでも絵を頼む人がいるの?」 |
ふと、イバラシティでの出来事を思い出す。 まだ真新しいはずのその記憶が、ひどく遠い昔のように思えた。 |
スカリム 「ねえ、僕にも見せてくれないかい?」 |
キャンバスの上に、淡い色彩を落とす。一輪、素朴な花の姿を描いた。 |
『私達だけの秘密よ』 |
スカリム 「ここでも絵を頼む人がいるの?」 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
『ずっと一緒にいましょうね』 |
目標を見失った魚たちが虚空を泳いでいく。 |
スカリム 「誰のために描いているんだい?」 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
描きたいものは何もない。 描き上げてしまえば、何ひとつ残らなかった。 それならば、夢見がちな誰かのために絵を描こう。 それでしか、えがく意味を見出せない。ここにいる意味がない。 |
スカリム 「ここでも絵を頼む人がいるの?」 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
ハヤミ 「――――…………!!」 |
強く、つよく、耳を塞ぐ。呼吸を絶ち、まなこを閉じる。 現実を蝕み、まぼろしが溢れかえっていく。そのざわめきが、誰かの罪を責め立てた。 |
伊舎那 「気を遣っていただいてありがとうございます」 |
伊舎那 「気を遣っていただいてありがとうございます」 |
『もっと絵を描こう、なんて嬉しいんだろう』 |
伊舎那のカード発動! |
伊舎那 「気を遣っていただいてありがとうございます」 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
今は空を見上げて星を探している場合ではない。 |
『 』 |
ハヤミのカード発動! |
伊舎那 「ああっ、ありがとうございますっ、スカリムさん!!」 |
一瞬、誰かが隣にいるような気がした。全部気のせいだった。 |
(どこかで嗅いだことがあるかもしれない、むせかえるほど強く甘い香り) |
《祝福》――ハヤミはイバラシティの駅で見た アガタの展覧会の広告を思い出した。 |
今は友人のことを考えている暇はない。 |
イマジナリ・フレンズは勝手に落ちてたカードを拾っていた。 |
アガタのカード発動! |
キバ 「休憩は大事っすよ!」 |
スカリム 「ねえ、僕にも見せてくれないかい?」 |
『絵を描くのってたのしいばかりだねえ』 |
『どうして?』 |
スカリム 「誰のために描いているんだい?」 |
《祝福》――ハヤミはばらの湯で描かれていた アガタの絵を思い出した。 |
今頃、アガタは何をしているだろうか。こっちが必死こいて頑張ってるのに、 のんきに寝てたり遊んでたりしたらちょっとむかつくな……と思った。 |
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スカリム 「なぁんだ、つまらないね。けれど、仕方ないか。」 |
スカリム 「ねえ、ハヤミさんはこれから何処へ行くの?彷徨うの?足掻くの?藻掻くの? ――ひとりで?」 |
スカリム 「僕たちはもう会わないかもしれない、だから、ねえ君ともっと戯れていたかったな」 |
伊舎那 「また引き分けですか。 負けるよりはいいですけれど、腑に落ちませんね」 |
ハヤミ 「ア~~~~やめやめ!! こんなん続けてたら流石に身が持たねえわ!! 一生ケリつかない試合すんなら相手が避田高の時とかにしといて!!」 |
ハヤミ 「……あっ。そういえばそっち、阿片せつせつって知ってます……? いや……知らないならいいや……それよりちょっと休ませて……。」 |