しくじった、とはこの事か。
・・・久々に手痛い失敗をしてしまった。
転進、しばし休息の後に再度挑戦せねばならない。

瞳の色を言い当てられて、
思わず驚いた表情をする。

興味津々といった瞳で、あなたの目元を覗きこんだ。

言われたことの真意が読み取れず、
きょとんとした表情をしている。

（『出来るのかしら？』――その問いに青年は、即答出来なかった。
単に答えられなかっただけではない、言葉に詰まったのだ。はいともいいえとも、割り切れない言葉ですら口をつくことはなかった。）

（“レンツ”はたとえ出来る理由が無くとも、出来ない理由が無ければ『出来る』と答える人間だ。
目の前の女性が言うありふれたそれは、青年にとっても確かにそうであると認識出来る。また、そのことを理性的に考えて『まっとうな人生』と答えた自分に出来ない理由は、無い。

しかし『出来る』と、答えられなかった。
　　　　記憶　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　フェイカー
まるで本能が『出来ない』と撥無しているように。――『模倣犯』。自ら背負ったその名が、意味もなく胸に刺さる。）

（話を終え、肩を竦めるあなたに問いかける。）

（『俺はアーシェのこと、何も知らねェのに。』――そう呟き、向けられた瞳は紅く澄んでいて。
今更助けてもらう理由がない、などと言うつもりではない。きっとこれはあなた自身のことへの問いかけなのだろう。）

　
　　　　　　右手に、魔術力場を形成した。

　
　　　　　　興味深そうに手に取った。

　
　　　　　　静かに笑って、右手に魔術力場を形成した。