ブランチマンは低く突進の構えを見せた後、猛スピードで自分を顧みず突進する連続だった。
傷をある程度迄負わして置けば戦意を無くすと見たジェイクは、攻撃が終わった後相手の突進を受け止めた。
ドスン！と巨大な鉛を受け止めたかの様な衝撃が走るが、すかさずブランチマンの手首を掴み地面へなぎ倒す。

その後戦意を無くし、庭ガールの治療を受けるブランチマンに王の目的や居場所等訪ねたが有益な情報は皆無だった。

爪先が石畳を叩く音が響く。
乾いた、けれど小気味良く、規則正しいリズムで刻まれるその音は、結構なスピードで接近してきているようだった。

――結構な速度で角を曲がってきた『それ』は、其処に佇む存在にはまったく気がついていなかったらしく。

あからさまに吃驚した表情を浮かべては、四肢をつっぱって急ブレーキを試みた。
けれど駆けるドラゴン、急には止まれない。

バランスを崩して、それは盛大に転倒した。
転がりながらそのスピードを殺し、衝突手前、というところでようやくぴたりと停まった。

暫くちいさな青い竜は目を回していたようだったが、頭をぷるぷると振ると視線を投げた。
仮面を怪訝そうに見つめてから――その視線がいくらか逸れる。

投げられる視線は――仮面の男が纏う白にも注がれているようだった。

　
　　　　　　久々に見た竜らの姿を認めると、相変わらずの調子で話しかけた。　

　
　　　　　　手傷を負っている様子も在るが、問題はなさそうな素振りだ。
　　　　　　 幾らか刷新された装備類が、方々を回っていることを物語る。