得体の知れない『呪い』を背負った男を前に、恐怖を覚える。
足が竦んでしまいそうになった。これだけ恐ろしいものを背負っているのに、
どうして傍らのエンブリオたちは平然としていられるのだろうか。

そう言った男の表情は、フードに隠れてよく見えない。
男の背負った呪いがどういうものであるかを、俺は知らなかった。
けれど、不意に――

今まで、メルンテーゼの冒険で出会ってきた人々の言葉が、思い出されて。

俺の相手をエンブリオに任せたきり、男はどかりと岩に座り込んで、剣の手入れを始めてしまった。
……この男の言葉のすべてが真実だとは思わないし、思いたくない。
けれど、何故か。

そのすべてを無視することも、出来なくて。

2013/0X/XX 13:27
差出人:柊魔異
宛先:有城冬花

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今は、自分の為すべきことを、するしかない。

良かった。

目の前に立つ彼は、柔らかい微笑みをその表情に取り戻していた。
大事な何かをその手から零す前に、しっかりとつかむ事ができた。
あまつさえ、そうするための力に、私の言葉がなったと言ってくれた。

それは、誰かの『友人』としては、この上の無い喜びであり。
同時に、誰かの『道具』としては、出過ぎた行為でもある。

胸が締め付けられるように痛む。胸が詰まっているようだ。
だんだんと遠くなっていく。意識が。呼吸が。私の中の『私』が。

ああ、そうか。
誰かを救うための『仮面』は、今の私には息苦しすぎたんだ。
それも、たやすく私を窒息させられるくらいに。

細い息の中で、私はなんとかそう言い放った。
私を苛む『仮面』を取って。事実をただ告げる。

――本を開ける君と、開けない私は違うのだ。

　

　
もし自分以外の『同じもの』が、向かい合わないといけない存在だったら。
学院のすべてと戦えと言われたら？
それはきっと、とても

　

金の鎧から発せられる言葉はその固い装甲のように揺らぎを持たない。

ふと思い出したように、

突然気の抜けるような自己紹介を始めた。

にわかには信じられない、といったような顔で、ミルフィーユは貴方を見つめていたが。
その目は、ウソをついていないと納得したのか、
ぽつりと小さく呟いた。

しかし、貴族の道楽という言葉を聞いて、ミルフィーユはむっと頬を膨らませる。

ふふん、と胸を張るミルフィーユ。
しかし、一体何の材料を探しているのかと問われて、しどろもどろになった。

ミルフィーユがわたわたとしている最中に合成という言葉を聞き、
そちらに話題を移した。

それこそ、破壊兵器すら生み出せる可能性を秘めていますわ…と、呟いた。
そして、青年の『世界を渡るための道具』という言葉を聞いて、
ミルフィーユは考え込む。

異世界へ行く、という言葉にシロは興奮して尻尾をぶんぶんと振っている。

おそるおそるスマートフォンに手をのばす。

かがくの　ちからって　すげー！

様々な異世界から呼ばれ、一揆に参加している者は多い。
その学生服と呼ばれるものを知っているということは、比較的似たような世界からきたと思えるが…。

言われた言葉には素直に頷く。残念ながら自分の過ごした環境は、
少年の考え通り先輩後輩という概念は存在しなかったから。
同時に名乗り、深々と頭を下げる。続く言葉にはくすくすと笑って

思い返すのは、己の仲間の少年の事。
――『…『マコト』を、『怨まないで』居てあげて、くれるかい？』
全て見透かしていたのだろうか彼は。そんなことさえ一瞬思って。

相手の『会えない』と漏らした時の言葉に、表情に、目を細め。
続く言葉には、『マコトさんのせいではない』と思いながらも、黙って言葉に耳を傾ける。真摯な様子に言葉を聞き洩らさないようにと。言葉が終わり、少しの間の後

その節は有難う御座いましたと、頭を下げ。
内緒にという言葉には言葉は何も返さず。続く言葉には柔らかな笑顔を浮かべ。

会えない理由も、思いも全て推測でしか無い。
けれど、きっと彼女の笑顔には彼も。彼が必要だと、分かるから。
少しだけ悪戯っぽく笑って。

柊　魔異はいわゆる邪気眼使いであった！
厨二病やハッタリなのではない……本当に呪われた右眼を持っているのである！
故に、邪気眼使いなのであった！
同じ邪気眼を持った悪の組織《カノッサ機関》と戦う彼は、メルンテーゼの世界でも機関の構成員の存在を知る。
戦う世界は違えど、彼らの悪行を許す訳にはいかない！
悠然と飛び込んだアジトと思しき場所は、足の踏み場も無いような四畳半。
構成員が住むには窮屈すぎるその家は、聞けば母屋に水場が無く、生活に必要な水回りがすべて離れに集約されていて、
水回りを使う際は母屋と離れを行き来しなければならないという。

この問題を抱えた物件に、立ち上がった「匠」とその技

大改造！カゼヨミビフォーアフター　第２８話『吹き抜けになった２階』





（この練習試合はフィクションです）

~前回のあらすじ~
世界に絶望したねこちゃん、はるくん、じんくん、きこちゃん、そしてホントウのおっさん（まだ若い）はメルンテーゼ風スパゲティにちくわの佃煮を混ぜ込む悪徳業者に資金援助をすることで再更新を引き起こす魔術を計画していた。間抜けなこの企みは、じつはホントウのおっさん（自称二十代）による洗脳作戦の一部であることに人々は気づいていなかったのだ‼︎ 消化されかけの魚で作ったちくわの佃煮にはなんかヤバイ成分がめちゃくちゃに含まれていた。ヤバイ成分で老若男女の需要を満たし、みんな幸せハピハピハッピー天国の建国を目指していたのであった‼︎
そんな極悪に気づいた男が1人。愛と勇気とさくらもちのために戦う正義のヒーロー、柊魔異だ！ 彼はホントウのカラフルな抜け毛から一行のアジトを突き止め、悪事の一部始終をガジェットのカメラ機能で記録した。だが、シャッター音を消し損なっていたのが運の尽き。じんくんのカボチャに羽交い締めにされ、ねこちゃんにやりで突つかれ、きこちゃんに鞭で叩かれ、はるくんに詰られた。残るはホントウのおっさん（筋肉痛が二日後に来るようになった）のちょっかいだ！
どうなる、魔異！

時は明治……幕末の騒乱は鳴りを潜め、庶民の暮らしは慎ましくも暖かくあるその裏で、密かに暗躍する者達があった。名を加納査（かのつさ）機関。
彼らは歴史の裏で暗躍し、闇夜に紛れて暗躍し、立ち葉の陰で暗躍し、暗躍し暗躍し暗躍する政府の特務機関である。
今日も遠く国土を離れ、ここ芽瑠ン輝是にて政府の為に暗躍する一人の公査官がいた!

（舞台の幕が上がり、黒尽くめの人物が魔異の立つ舞台中央に歩み寄る）