茶飲み話の中、何かそういう流れになった。
メルンテーゼではネクターを対価にエンブリオと契約する事がごく当たり前に行われているが、当たり前すぎて現地の住人達は特に疑問には思わない。
いざ理由を聞かれても、そういうものだ、と返すのみである。
それが、他の分割世界から来た者達には不思議に思えるらしい。

かくいう私も、ネクターはエンブリオたちにとってとても価値が高いのだろう、くらいの認識でした。
最初の契約のネクターのみでは、以降こき使うのにエンブリオには得るものが少ないのではないか、と言われる。
けれど、エンブリオ側は「技術」を貸してはいても、「エネルギー」は契約者本人からの供出で、召喚したときもその体を形作るのは契約者の魔力。
エンブリオ自体が継続的に労力を払うのは、契約者の強化くらいである。
つまり、リスク自他がきわめて小さい。
軽く拘束はされても、危険はなく、場合によっては成長のチャンスもある。
生き急ぐのであれば悠長すぎるが、時間を気にしないなら必ずしも悪くはないのではないか。

ふー長くしゃべった、と緑茶のカップを抱え込むようにしてのどを潤すエリス。
どうやら、思っていたよりもエンブリオ側にもメリットがあったようだ。



それにしても、今の話を聞く限りでは契約したエンブリオは契約者から変化因子と言うものを貰っているらしいが、果たして私から何を貰ってこの姿になったのだろうか？
全く似ても似つかないですよね、と首を傾げる限りである。

うんうん、とひとり心地である。