ヨドは浮かれていた。
行動には出さない様必死に押し隠しつつ、内心では小躍りしたい気分で満たされていた。

カッパが来てから、ヨドは心休まらぬ日々が続いていた。
カッパの相手をしているティムラハは楽しそうで(あくまでヨドの主観では)、
言葉に表し難いもやもやとした息苦しさを常に感じていた。
カッパの魔の手から守ろうと神経を尖らせていたものの、
当のティムラハは短い言葉を交わしただけで許してしまったし、
べたべたと身体(特におしり)を触るカッパに対し、律儀に反応を返していた。
ヨドが触っても特に何も言わないのにだ。
(それ以前に何度か注意はされていたが、口調は穏やかなものだった)
ティムラハの関心はカッパに向かってしまっており、
カッパに比べ、地味で会話が苦手な自分はもう、彼にとってどうでもいい存在になってしまったのではないか。
そんな不安を感じていた。

しかし、どうもティムラハは本気でカッパの存在を疎ましく思っていたと分かった。
ティムラハは最初からそういう態度を取っていたのだが、
「ああいうやり取り」を羨ましいと感じる感性を持っていたヨドには理解し難かったのだ。
カッパに対し強硬な対応に出なかったのは、カッパに好意を持っていたからではなく、別の理由があるとも分かった。
その事実はヨドに大きな安心感をもたらした。
それに加えて――

外見をコンプレックスにしていたヨドにとってこの上なく嬉しいことだった。
ティムラハに薄気味悪がられる、それに類する態度を示されたことはなかったが、
言葉として明確に表してもらえたのはこれが初めてだった。
長くはないが短くもない時を経てようやく、
ティムラハが自分のことを好意的に捉えてくれていたのだと実感したヨドの身体は、無意識に、小刻みに震えていた。

※ヨドの発音だと瓶と聞こえる。カッパの発音もヨドに合わせているので瓶と聞こえる。
カッパの体型は水瓶のような形にも見えるので、瓶でもいいかもしれないが、彼女らのいうカメは亀である。

でもまぁ、ぶっちゃけどうでもいい。

＞ティム

＞トモ

言いながらも、突き出された胸をおずおずと撫でた。もふもふ。

＞カッパ

＞ヨド

河童とノームと楽しげなやり取りをしている青年へと確認する様に声をかける。
それからふわりと柔らかく笑って。

やり取りを見て、どこをど思ったのかにこにこと楽しげに言った。