「仇」

仇。かたき。
なんだったろうか、仇。敵？

私は、当たり前に○○するようになった、ずっと昔。
ずっと昔に生まれた。

その時は私は赤ん坊だったらしい。
当時、私たちは何にも捕らわれず、好き勝手に、幸せな世界で暮らしていた。
花が溢れ、力に満ち溢れる世界。
それが私たちの元の世界。

しかしいつ頃だったか。
異世界の門が現れ、世界がつながった。

その時、花は奪われ、世界は止まろうとしていた。
時間軸が異世界と同調し、悠久の刻を歩み始めた。

私たちにとって、長い長い時間。
その中で力は衰退し、良いように使われた。

――門さえ開かれなければ

当時の私たちはそう思った。
力を得るために門をくぐり、僅かな花を食む。
そのような貧しい世界と成り果てた。

その中で、私は……

きっと、仇というのは。もうこの世に居ないのだろうと思う。
門を出現させたからではない。
元から門はあった、ただ、開かれていなかっただけだ。
開いたからおかしなことになった。
一つの秘術、禁忌。犯してしまったのは誰だったのか。

今では知る由もない。

分かったところで。
何かできるわけでもないのだろう。
そんな事よりも、花を、命を、力を。集めなければ。


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空ろなる過去の断片：１つ
「仇」


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※今回からメッセ上の少しずつ性格が変わります。ご注意を。

ひとつまみ、花の蔓を指に絡めて、つと渡す。

シャリン――、シャリン――
　どこからともなく音がする。

　　　シャリン――、シャリン――
　　　　それは、だんだん近づいてきている、そんな気がする。

シャリン――、シャリン――
　どこからともなく音がする。

　　　シャリン――、シャリン――
　　　　それは、だんだん近づいてきている、そんな気がする。

すぅ、と小さく息を吸う

首を傾げる。