賑やかに喜怒哀楽を表現して騒ぐ少女たちを見るたびに、いつも思う。
　己の不甲斐なさで、『そう』なる機会を奪われてしまった自分と、もうひとりを。
　ゆるりと腹に手を当てるが、そこには他に、何もない。
　精々腸と糞尿が詰まっているだけの汚物入れだ。
　かつて切り裂かれたはずの傷跡すら、そこには跡形もなく。
　だからこそ、――己は『自分』なのかどうか、時折、わからなくなる。



　それほど遠い昔ではない過去、己はただの童だった。
　あまり程度のよくない娼館の女郎の子供に生まれ、だが見世の皆に可愛がられて育った、とびきり恵まれていただけの、何の変哲もない子供。
　たとえ、その先には彼女らと同じ立場、見世に出て客を取る未来が約束されていたとしても、それを不幸と思わない程度には、優しい世界で生きてきたのだと思う。
　それが変わったのは、きっと一つの間違った出会いのせいで。
　本当に大事なものを、選べなかったのは。
　きっと、その幸福の本当の意味を、知らなかったから、なのだ。



　ただの子供であった、小さな童は。
　恋も知らず、愛も知らず、若さゆえの無知を背負って。
　親にもなれず、一足飛びに、ここにいる。

System Message : M.E.E.駆動...出力...30%...40%...50%...M.E.E.戦闘出力確保......

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