気が付くと、そこは荒れ果てた地。
いつのまに自分はここにたどり着いたのだろうと考える。
目立った外傷は無し、転移術の一つだろうか。
まずはあいつがいないか周りを見渡す。
だがいくら見回してもそこに目当ての人物は居ない。
別のところに飛ばされたか、あるいはこの場に来ていないか。
いずれにせよ今は一人で行動せねばならない。
舌打ちを鳴らして先に進む。
幸いいつも持っている魔術書はその手にある。
荒事にはある程度対応できるだろう。
………
少し、これまでの事を思い返してみる。
数日前に突如として頭に流れた映像。
それはアンジニティがイバラシティを侵略をするという趣旨の話。
なんでもワールドスワップとやらでイバラシティには違和感なくアンジニティの住民が溶け込んでいると。
噂には聞いていたがまさか事実だとは。
とすればこの場所はいわゆる戦場なのだろうか。
となると今までかかわってきた誰かがアンジニティ側である可能性は捨てられない。
少なくとも今アンジニティへ落とされるのは勘弁願いたい。
向こうで出会ってきた強い相手がアンジニティ側だったら嫌だなぁ、なんて思いながらまだ進む
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… |
そういえば先ほどから身体が軽い。
まるでイバラシティで魔力が枯渇していたのが嘘のようだ。
どうやらこのハザマという場所は魔力の濃度が高いのだろう。
ならば今まで通りの魔術の行使も可能か。
ためしに本を開いて自分を包み込めるほどの水泡を作り出す。
水泡は自身の身体を包み込み、次第に服の形となる様に変化していく。
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…へぇ |
ああ、やっぱりこの服がばっちり合う。
そんなことを思いながらも、魔術行使は向こうよりはるかに楽だと実感する。
ならば戦闘になったとしてもある程度楽に進められるだろう。
少し気分よくなりながらも先に進む。
………
またしばらく歩いて、気になるものを発見する。
それは戦闘の跡、少し前の物だ。
あらゆる異能がぶつかり合ったような光景。
それはここが戦争の舞台であることを決定づけるには充分であった。
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…くく |
軽く笑みがこぼれる。
どうやら自分はゲームに招待されてしまったようだ。
だからどうした? 勝てばいいだけの話だ。
アンジニティなんかにイバラシティを明け渡してなるものか。
あの異能の街は
自分が手に入れる。
王はただ一人、自分だけでいい。
だからこそ、今はイバラシティ側へ付かせてもらおう。
…本を開く、ただ背後に蠢く気配を感じたからだ。
人間でないような気配、なら殺したって問題ないさ。
本からこぼれた水は地面を伝わせながら気配へと速く移動させる。
それが気配へとたどり着いたとき、水の槍へと変化させ、容赦無く気配を貫いた。
背後では、赤黒い何かが貫かれて、弾けとんだのみ。
にたりと笑いながら、本を閉じた。
「さて、国盗り合戦といこうじゃないか」
カルム・レスカホリック
群青たる悪魔
イバラシティの支配を目論む侵略者
(ノットアンジニティ)

[822 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[375 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[396 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[117 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[185 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
アンドリュウ
紫の瞳、金髪ドレッドヘア。
体格の良い気さくなお兄さん。
料理好き、エプロン姿が何か似合っている。
ロジエッタ
水色の瞳、菫色の長髪。
大人しそうな小さな女の子。
黒いドレスを身につけ、男の子の人形を大事そうに抱えている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
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アンドリュウ 「ヘーイ!皆さんオゲンキですかー!!」 |
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ロジエッタ 「チャット・・・・・できた。・・・ん、あれ・・・?」 |
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エディアン 「あらあら賑やかですねぇ!!」 |
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白南海 「・・・ンだこりゃ。既に退室してぇんだが、おい。」 |
チャット画面に映る、4人の姿。
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ロジエッタ 「ぁ・・・ぅ・・・・・初めまして。」 |
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アンドリュウ 「はーじめまして!!アンドウリュウいいまーすっ!!」 |
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エディアン 「はーじめまして!エディアンカーグいいまーすっ!!」 |
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白南海 「ロストのおふたりですか。いきなり何用です?」 |
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アンドリュウ 「用・・・用・・・・・そうですねー・・・」 |
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アンドリュウ 「・・・特にないでーす!!」 |
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ロジエッタ 「私も別に・・・・・ ・・・ ・・・暇だったから。」 |
少しの間、無音となる。
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エディアン 「えぇえぇ!暇ですよねー!!いいんですよーそれでー。」 |
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ロジエッタ 「・・・・・なんか、いい匂いする。」 |
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エディアン 「ん・・・?そういえばほんのりと甘い香りがしますねぇ。」 |
くんくんと匂いを嗅ぐふたり。
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アンドリュウ 「それはわたくしでございますなぁ! さっきまで少しCookingしていたのです!」 |
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エディアン 「・・・!!もしかして甘いものですかーっ!!?」 |
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アンドリュウ 「Yes!ほおぼねとろけるスイーツ!!」 |
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ロジエッタ 「貴方が・・・?美味しく作れるのかしら。」 |
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アンドリュウ 「自信はございまーす!お店、出したいくらいですよー?」 |
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ロジエッタ 「プロじゃないのね・・・素人の作るものなんて自己満足レベルでしょう?」 |
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アンドリュウ 「ムムム・・・・・厳しいおじょーさん。」 |
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アンドリュウ 「でしたら勝負でーすっ!! わたくしのスイーツ、食べ残せるものなら食べ残してごらんなさーい!」 |
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エディアン 「・・・・・!!」 |
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エディアン 「た、確かに疑わしい!素人ですものね!!!! それは私も審査しますよぉー!!・・・審査しないとですよッ!!」 |
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アンドリュウ 「かかってこいでーす! ・・・ともあれ材料集まんないとでーすねー!!」 |
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ロジエッタ 「大した自信ですね。私の舌を満足させるのは難しいですわよ。 何せ私の家で出されるデザートといえば――」 |
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エディアン 「皆さん急務ですよこれは!急務ですッ!! ハザマはスイーツ提供がやたらと期待できちゃいますねぇ!!」 |
3人の様子を遠目に眺める白南海。
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白南海 「まぁ甘いもんの話ばっか、飽きないっすねぇ。 ・・・そもそも毎時強制のわりに、案内することなんてそんな無ぇっつぅ・・・な。」 |
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白南海 「・・・・・物騒な情報はノーセンキューですがね。ほんと。」 |
チャットが閉じられる――