一揆に参加する理由。
それは、人それぞれ、様々にある
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「はい、焼けたよ、お肉」

例えばアムルイ。
彼女は山の民として、一族を代表して一揆に参加している。
エンブリオを神として崇め、それ故にネクターを独占するパラダイス王を許せない。
彼女のように、それまでの生活を破壊されたが故に一揆に参加するというのが、大多数の一揆参加者の動機であろう。

「ねえ、ここ水辺だよね。なんで魚じゃなくて肉が出てくるのさ！？」

例えばリアス。
傭兵としてこの世界に呼ばれた彼女は、ごく自然に生活の糧として一揆に参加している。
他にも誰かを助ける為、パラダイス王の討伐を使命とする為、あるいは戦いを好む為。多くの理由で、異世界の傭兵が参加している。

「まぁ、今更だけどね……」

例えば蛍。
その動機は不明。そう、何故か分からないが一揆に参加する者も居るのだ。

では、アイサ・ビント・マーシャルの動機とは？



アイサにとって、パラダイス王によるネクターの独占、それ自体に興味はない。
それで何千の人間の生活が破壊されようと、何万の人間の生命が危機に瀕しようとも
砂漠の占星術師にとって、それがどれほどの事であろうか。

悠久の時の流れの中で、そのような事は幾度もあった。
王による独占、軍による虐殺、民による蜂起と荒廃。
人間は過去から学ばず、それを繰り返している。
パラダイス王のネクター独占も、そんな歴史の一事象に過ぎない。

ならば、アイサの気になる事とは――

父のことを話す様子は少し誇らしげに見える。
アイサの態度に動揺などはしていないようだ。

勢い良く話した所で、最後に少し恥ずかしそうに付け加えた。