地下牢から帰ってきて、宿屋の自室。
ベッドの上で槍を持ってポーズを取る薙疾を、薙影は醒めた目で見る。

その質問を受けて薙疾は槍を立て掛け、ベッドに座り話しだす。

先ほどとは理由の違う、薙影の沈黙。



自分が合流した時の第一声に対して、仲間たちが最初に見せた反応は驚愕、警戒。
そしてごく僅かな……しかし確実に混じっていた、恐怖であった。

闇・影。
そして負の感情の象徴たるシェイドである薙影には、馴染みの深い感情だ。



その合流は、現地である地下牢にて行われた。
もちろん、この一揆の最終目的である新王の城の内部なのだから、警戒するのは当然。
そしてそんなところで大声を出して近付く人間に対して驚きを見せるのは確かだろう。

しかし、恐怖に関しては──

慰めると言うわけではなく、客観的に事実を述べる。
あの三人の一揆参加者※1〜3に襲われた経験が、「また」を想起させたに過ぎない。

それは薙疾自身にもわかっている。

そう言って、槍を再び手に取る。

クリスに頼んで新しく作ったその槍の名は、《負不知》<マケシラズ>。
薙疾の覚悟、そして薙影の力。

今後の戦いにおける全てを込めた、決意の槍。

薙疾がそう言った横で、薙影も一つの決意を固めていた。

あなたの姿を見つけたグレンダが声をかける。

ファイは守るという言葉の意味が理解できず、きょとんとする。

自分の説明がわかりやすいか不安に思いつつ、ようせいは解説をした。

戦いの後、薙疾が周囲の探索を終えて戻ってくると。
今まで見たことのない光景が展開されていた。

慌てたのか、ずれた事を言い出す薙疾に、薙影が声をかける。

薙影がそこまで言った時、瑞薙の身体が青く、強く光る。
光で目が眩み、瞬きをした次の瞬間には

新しい瑞薙がそこに佇んでいた。