今回のことは、報告しないことにする。
単純な記録、もしくはそれ以下の、ただの日記として、私の思い出の中に残しておく。

幾度かエンブリオとの交友を図ろうと思ってはいたが、エンブリオに対して私自身から話しかける、私自身についてを伝える気が全く無かった。
機械や魔法のように、単純に「求めれば答えてくれるモノ」ではない、生物なのだ。

これまでも、これからも、ずっと忘れるつもりなど無かった。
それでも、こうして予期せぬ再会を果たすと、やはり受け入れられるものではない。

早く気持ちの整理をしなければ……

戦いの後、薙疾が周囲の探索を終えて戻ってくると。
今まで見たことのない光景が展開されていた。

慌てたのか、ずれた事を言い出す薙疾に、薙影が声をかける。

薙影がそこまで言った時、瑞薙の身体が青く、強く光る。
光で目が眩み、瞬きをした次の瞬間には

新しい瑞薙がそこに佇んでいた。