この頃、ヴォルカンの姿を目にすることが多くなった。
どうやらこの前見た竜のようなものは、ヴォルカンだったらしい。
今も俺の頭上で、翼を持った小さなトカゲのような姿で舞っている。
ずっとこの姿をしているわけではないようだが。


なんというか、思っていた通りだったというか。
いや、俺がコイツのこの姿を見るのは初めてではあるのだけれども。
なんというか、「あぁ、ヴォルカンはこういうヤツだよな」っていう感じ。
ずっと前からコイツの姿を知っていたような感覚だ。
きっと契約を結んだ時から、俺は心の底ではコイツの姿を知っていたのかもしれない。


とにかく、姿が見れるようになった分、こいつの存在を今までよりも、より身近に感じられるようになったのはちょっとうれしい。




・・・そういえば、この前契約したマーメイドのリュイソーは、はじめから目に見える姿をとってたな。引っ込み思案なタイプなのか、あまり姿を見せることは無いけれど。

見つめられている視線に気が付いたようだ。首をかしげてこちらを見つめ返す。

突然、脳内に言葉が響いてきた。
・・・どうやらこのスズメが話しかけて来ているようだ。

どうやら、一揆をお祭りだと思っているようだ。　

露骨に動揺して、数歩後ずさった。

にょろり、と、小型のつやっとしたサラマンダーが、
彼女の胸元から這い出てきた。

いきなり掛けられた声に少し驚いて、近づいてきた相手を見。
どなたでしょう、と問いを投げる前に身元を明かされれば、少し力を抜き。

声を掛けてきた理由であろう言葉に、ああ、と得心したように頷いて。

そういう意味では異質かもしれない、とほんの少し苦く笑い。

ミハウの肩の上に登り、興味深そうにじいっと眺めている。

こちらに向かって手を振りながら歩いてくる青年に気付き視線を青年へと向けた。

ヴァルと名乗った青年が差し出した右手を握り返し、視線を合わせる。

そう言うとチラリと視線だけでヴァルの容姿を窺う。