"貴方は何処に居たいですか"







『Cross+Rose』が問いかけます。







"私の意思は変わりません"







"この先に何が起ころうとも"







ハザマにおいて、少年の異能はとりとめもなく変容した。
少しの記憶を対価に、その記憶にまつわる事象を引き起こし、再現する。
イバラシティにおいて、少年の異能はとりとめのない『完全記憶』だ。
まるで、今日この日のために数多の記憶を積み重ねたのだと言わんばかりの能力だった。







そしてまた、新たな記憶を繋ぎ合わせる。

人というものは、己の姿を自らの瞳に映すことはかなわない。
ガラスの上に映し撮られた鏡像、レンズを当てはめた機械が見たその姿が己であると仮定する。

少年が異能を行使し、まず真っ先に呼び起こした事象は"暮泥 唯そのもの"だ。
一度は張り裂け溶け落ちたその身体を、その記憶だけを頼りに人のかたちに縫い合わせた。

少年が抱く膨大な記憶の中で、暮泥 唯という人間の姿を捉えた記憶はほんのわずか、
彼が人のかたちを保ち続けるには到底足りなかった。








イバラシティからハザマへと流れ着いたわずかな記憶をかき集めて、
この時間もまた、継ぎ足すように自らの姿を繕い続ける。

そしてまた、新たな記憶を繋ぎ合わせた。



























会話を続けるためには必要な嘘もあると言った。



こんな時だからこそ友人を少しでも安心させたいと言った。



イバラシティでも侵略の噂を本気で信じていると言った。



ここではどこにも居場所がないと言った。



イバラシティのために己にできることをすると言った。



ここではもう少しだけ他者に優しくできると言った。



己に心配されるだけの価値などないと言った。



始めから裏切り者になったつもりはないと言った。



嘘を吐き続けることは苦手だと言った。



どうして防衛に手を貸すのか理解できないと言った。



無力な防衛者は侵略者と同義だと言った。



他者の苦しみを理解する必要も義務もないと言った。



すべてを台無しにする足手まといどもが嫌いだと言った。



この24時間を皆に捧げると言った。



家族にアンジニティの民が混じっていたと言った。



価値のない人間は死ねと言った。






ある者にはイバラシティを守りたいと言った。
ある者にはイバラシティを壊したいと言った。
ある者にはイバラシティで生きたいと言った。
ある者にはイバラシティで死にたいと言った。





自ら塗り固めた嘘に耐えられなかった少年は、
細切れに切り刻まれた本心をひとりずつにひとつずつ明かす。

ただ、幾多の者に差し出されたそれら全てが繋ぎ合わさることはない。
少年がどのような理由でその陣営に身を置いたかなど、じつに些細な問題だからだ。


誰しもそれぞれの理由を抱え、誰も彼もが独りで戦っている。











"貴方は何処に居たいですか"

『Cross+Rose』が問いかけます。

回答は常に変更可能です。












"暮泥 唯"は、素知らぬ顔をして此処に居る。

▲	瑞稀 「本音なあ…確かに、腹割って話したいこともあるけどさ。 　イバラシティでも…そうだったら良いのにってのは、分かる気がする」

	瑞稀 「弱気じゃねーよ。 　いつも通りじゃいられないってだけ」

	瑞稀 「…まあ、そうかもな。 　でもこればっかりは仕方ねーし、諦めるつもりもねーよ」 ため息をついた。

	瑞稀 「そうかよ。まあ、暮泥が生きててよかった。 　死んじゃったら…悲しいからさ」 お前、死なないよな？という言葉は、言えなかった。言わなかった。

▲	「え、最大限愛してる……！？どきっ……」 　ふん！とベアハッグを終えて清々したとばかりに血の付いた手を拭きつつ、 　後半のチョロい部分聞いてない都合のいい耳でそこだけ聞いた。ときめいちゃった。

	「いやあ、これ素！いや本当に！ 　だって“俺”は『学校に通いたい』って夢すら叶えられなかったからさ～ 　それでもやさぐれずに健康的な性格してるのなんて根っからって事よ！にゃはは！」

	「お、お前……くれどろくん……唯ちゃん…… 　君、散々あんな振る舞いしてたのに、思った以上にえらい深刻に考えこむのね……？ 　おいおいおい性格のパフォーマンスはお前じゃん！？」

	「ま、大半のアンジ星人ですらそうだよ。イバラの記憶を完全に割り切れてる奴少ないし。 　“俺”は実は諸事情で割り切れるんだけど、逆に「周囲」が割り切ってくれて無いかな。 　そう言う意味でお前の悩み、アンジニティの奴らと近いなぁ。 　──まどろっこしいし、もう直球で聞くか。 　異能で生まれた人格とかなの？今会話している「お前」は」

▲	暫く、貴方の言葉をじっときいていた。 「……どうかな。 守りたいから、何も迷う事なんてなかった。 だって、さ、家族も友達も居るから。 ここに…ハザマに居ない人だって 巻き込まれてるのに変わりはないんだもの。 だったら ここに居るなら、立ち向かわなきゃ嘘だって思ったから」 静かなのは そこまでだった。

	ヒナ 「……待って」

	ヒナ 「今、アンジニティについたって そう言ったの！？」 急いで端末を確認する。 ―アンジニティ― Cross+Roseに表示されたそれを、目に映した。 「な、なんで…… なんでそんな事……っ」

	ヒナ 「私の心配なんてしてる場合じゃないじゃない！」

	ヒナ 「だ、だってこれっ そっちにつくって事は 暮泥くんは…」 どちらからも、非難の目に晒されるはずだ。 それは或いは、酷く苦しい物ではないのか。 「ッ… これ、途中から、変えられないの……？」 端末に指先で触れる。 何度も、何度も、何度も。 デジタルな物には、慣れている。 あるはずだ。あるなら分かるはずだ。 どこかに、どこかに 「…なんで、無いの…」

	ヒナ 「ね、ねえ今、どこにいるの。 暮泥くん、分かるんでしょ。 イバラシティと、大体同じだか……」 唇を噛みしめる。じわりと血の味が滲んだ。 聞いたとしてどうする。 そこに行くだけの力も無いのに。 行った所で何が出来る訳でもないのに。

	ヒナ 「っ……。 ごめん……」 いつもそうだ。 力になりたいのに、何が出来る訳でもない。 「……ごめん、ね。 でも私、知らなくちゃ。 ここに私達がいる意味も 誰かがここに来た理由も」 それが、存在理由。 それを証明するために、前を向きたいから。 そして 差し出したくないと、貴方は言った。 「……暮泥くんは、後悔は、して、ないのね？」

▲	「……ごめんなさい、」

	「…わたし、は… 　イバラシティに思い入れはありませんし…… 　……、あなたのように、やさしくも…ないので…」

	「………」

	「…失礼しました。忘れなきゃ、ですよね。 　　　　　　　　　　ぼうえい 　…………侵略、応援しています。それでは。」

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これだから最近の若者は ENo.60 田中田 哉太 ENo.130 齎藤 颯 ENo.261 暮泥 唯 ENo.406 濯木 龍臣

ハザマに生きるもの ホスト 大蛇 バンブーマン 風使い

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神も仏もあるもんか ENo.150 泥蘇光悪渡 ENo.388 ユイノ ENo.428 晴 ENo.526 悠吏

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これだから最近の若者は ENo.60 田中田 哉太 ENo.130 齎藤 颯 ENo.261 暮泥 唯 ENo.406 濯木 龍臣

ハザマに生きるもの 炎使い ネギさん 炎使い 炎使い

245

663

ブラッドクルス ENo.1392 クリス ENo.1399 キョウジ ENo.1418 ダグラス ENo.1434 ルキア

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326

531

ヒノデ区 M-2 周辺

ヒノデコーポレーション

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立ちはだかるもの ゾンビリーダー ゾンビ ゾンビ ゾンビ ゾンビ ゾンビ ゾンビ ゾンビ ゾンビ ゾンビ ゾンビ ゾンビ ゾンビ

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