5月24日、荊闘乱祭当日。
月末にマシカスタジアムで行われたそれは、ひどく騒がしいものだった。
ハチマキを締めた学生選手たち、チアガールの衣装を身にまとった華々しい女子。
応援席ではそれらがひしめきあって、この屋台スペースでも絶え間なく行き来を繰り返している。
晴天の空の下、競技場には生徒会長が務める司会の言葉や、応援団長の選手宣誓が響き渡った。
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暮泥 倖子 「…………来てたんだ。」 |
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暮泥 唯 「うん。」 |
屋台から離れた隅っこで座り込んでいたそれに気付いた少女が声をかける。
少年は顔を上げることもなく返事と共に頷いて、ペットボトルの水を口に含んだ。
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暮泥 倖子 「今日は調子良いの?」 |
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暮泥 唯 「……まあ。」 |
賑やかな会場のざわめきに埋もれて、一組の兄妹が話をしている。
隣り合って座り込んで、お互いの頭を寄せ合うようにして喋っていた。
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暮泥 倖子 「アニキ?」 |
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暮泥 唯 「……うん?」 |
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暮泥 倖子 「正気?」 |
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暮泥 唯 「思い浮かべてるやつの名前当ててくれる魔神みたいな聞き方しないでほしいんだけど。 今日は前会った時よりはまともだよ……いや分かんね。狂ってるかも。 高校の知り合い多いし……ボケたフリすんのバチクソしんどいわ。羞恥プレイかよ。」 |
返事はない。妙な間が開く。
手持ち無沙汰に、中身がほとんどなくなったペットボトルを手で握ってへこませて遊び始める。
ベコ、ベコベコとしつこく鳴らしていると、少女がそれを止めるようにその手を軽く叩いた。
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暮泥 唯 「…………つい。ごめん。」 |
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暮泥 倖子 「いい。謝ってほしいわけじゃない。」 |
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暮泥 唯 「……今日はさ。意識がハッキリしてるうちに、お前と話しておこうと思って。 今日、ここに来たのはそれだけだよ。普段のオレ、こういうことするキャラじゃねえし。」 |
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暮泥 唯 「こっこに恥かかせに来たわけじゃないから。オレもう帰っとくな。 種目出るんだろ。それともチアのほう? 想像するだけで絶対似合わねえって分かるわ。」 |
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暮泥 倖子 「うっせえなクルクルパー。いっぺん借り物競走で脳みそと目ン玉借りてこいよ。 アタシの凄まじい美少女っぷりに度肝抜かしてくれたって構わないぜ。あ?」 |
ぴったりと寄り添っていた身体を手で押しのけるように離して、少女が立ち上がる。
そこに座り込んだままの兄の姿を見下ろして、眉をひそめる。目を細めた。
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暮泥 倖子 「勝手に来て、勝手に帰るんじゃねえよ。残れ。競技出ろ。」 |
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暮泥 唯 「…………。」 |
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暮泥 倖子 「アタシら家族にちょっとでも悪いって思ってるなら、 元気なところ、たまには見せてくれよ。アニキがまだ生きてて良かったなって思わせてくれよ。」 |
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暮泥 倖子 「……アニキを生かす甲斐を、くれよ。」 |
離れたぶん声量を少し大きくして、少女は言う。
少年は地面を見つめたまま、手の内にあるペットボトルを弄っている。
しばらくそうしたあとで、やっと顔を上げて、見下ろす少女の瞳を見上げた。
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暮泥 唯 「…………そう。こっこはそういうとこ卑怯だねえ。 そうやって言えば、オレが何も反論できないことを知ってて言ってるんでしょ。」 |
立ち上がる。今度はそこにいる妹の姿を見下ろして、くしゃくしゃと頭を撫でた。
最後に軽く叩いて、下ろした手を差し出す。
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暮泥 唯 「……はあ、分かりました。それじゃ、今日だけはちゃあんと安心させてあげますよ。 それじゃあ、今から組分けしてくるから……赤組だったら一緒に二人三脚組んでくれる?」 |
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暮泥 倖子 「は?」 |
ぺし、と差し出された手をはたき落とした。
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暮泥 倖子 「組まねえけど。部活の後輩と約束してるし。」 |
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暮泥 唯 「(え? さっきの、お誘いの前フリじゃなくて?)」 |
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暮泥 倖子 「そんじゃ、楽しみにしとくわ。頑張れよ。」 |
少女は立ち去ろうとして、数歩離れてから立ち止まる。
人混みに飲まれそうになりながら、振り返った。
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暮泥 倖子 「…………アタシね。アニキのこと、好きだよ。 だから、アニキを汚すお前のことが死ぬほど嫌いだ。」 |
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暮泥 倖子 「アタシも、そろそろ……アニキのことを忘れてあげなきゃな。 そしたら、お前のこともちょっとは愛してやれるかもしれない。」 |
そう言って、容赦なく叩いたその手をひらりと振ってみせる。
少女は顔をそむけると、屋台に並ぶ行列をかき分けるように、人の壁の向こうへ消えていった。
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暮泥 唯 「…………」 |
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暮泥 唯 「そう。」 |
帽子を目深に被り直す。
少女のあとを追うことはせず、受付へと向かう。
【開会式】
◆雑談 http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=99&dt_s=74&dt_sno=16872021&dt_jn=1&dt_kz=50
◆受付 http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=4960&dt_s=74&dt_sno=23657021&dt_jn=1&dt_kz=50
【借り物競走】
◆競技 http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=5047&dt_s=74&dt_sno=25325021&dt_jn=1&dt_kz=50
【ちょっと休憩】
◆雑談 http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=5051&dt_s=74&dt_sno=29989021&dt_jn=1&dt_kz=50
【玉入れ】
◆競技 http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=5047&dt_s=74&dt_sno=33751021&dt_jn=1&dt_kz=50
【障害物走】
◆競技 http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=5047&dt_s=74&dt_sno=4474022&dt_jn=1&dt_kz=50
◆雑談 http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=5067&dt_s=74&dt_sno=5225022&dt_jn=1&dt_kz=50
【二人三脚】
◆相談 http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=5067&dt_s=74&dt_sno=5531022&dt_jn=1&dt_kz=50
◆競技 http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=5047&dt_s=74&dt_sno=8573022&dt_jn=1&dt_kz=50
【リレー】
◆相談 http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=5067&dt_s=74&dt_sno=12966022&dt_jn=1&dt_kz=50
◆競技 http://lisge.com/ib/talk.php?dt_p=5047&dt_s=74&dt_sno=14873022&dt_jn=1&dt_kz=50
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暮泥 唯は 何一つも忘れることができない。
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マシカスタジアム。
集計を待つ今は、フォークダンスを披露する参加者たちの楽しげな声が会場に響いている。
荊闘乱祭
5月末に行われたイバラシティ合同体育祭。
競技場では、数多の学生たちが紅白ふたつの陣営の勝敗が決するのを────今か今かと待ちわびている。
暮泥 唯
全ての競技に参加した、ごく普通の男子高校生。
今この時だけ、彼は“本物”だった。もう訪れない。
あとは少しずつ、忘れられていくだけだ。
終■まで 残り16時間
田中田 哉太(60) に
ItemNo.11 不思議な石 を送付しました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.96 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.97 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.98 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.99 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
変化LV を
5 UP!(LV0⇒
5、-5CP)
合成LV を
5 UP!(LV0⇒
5、-5CP)
齎藤 颯(130) により
ItemNo.4 目潰しシャープペンシル に
ItemNo.9 毛 を合成してもらい、
駄物 に変化させました!
⇒ 駄物/素材:強さ10/[武器]攻撃10(LV50)[防具]活力10(LV50)[装飾]体力10(LV50)/
特殊アイテム
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齎藤 颯 「安全になりそう……」 |
田中田 哉太(60) により
ItemNo.17 楔石 から装飾『
□のカド』を作製してもらいました!
⇒ □のカド/装飾:強さ180/[効果1]復活15 [効果2]- [効果3]-
田中田 哉太(60) の持つ
ItemNo.13 禁断じゃない果実 から料理『
禁断じゃないジャムクラッカー』をつくりました!
齎藤 颯(130) の持つ
ItemNo.17 禁断じゃない果実 から料理『
禁断じゃないジャムクラッカー』をつくりました!
レーカ(362) の持つ
ItemNo.15 お野菜 から料理『
野菜スティック』をつくりました!
レオン(383) により
ItemNo.6 ブックカバー に
ItemNo.16 羽 を付加してもらいました!
⇒ ブックカバー/防具:強さ90/[効果1]反護15 [効果2]風柳10 [効果3]-
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レオン 「なにこれ? 何の本??? おもしろい? え? カバーだけ????」 |
濯木 龍臣(406) により
ItemNo.17 □のカド に
ItemNo.19 駄物 を付加してもらいました!
⇒ □のカド/装飾:強さ180/[効果1]復活15 [効果2]体力10 [効果3]-
ヤト(678) により
ItemNo.13 凸のカド に
ItemNo.15 ラベンダー を付加してもらいました!
⇒ 凸のカド/装飾:強さ167/[効果1]舞護15 [効果2]魔力15 [効果3]-
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ヤト 「癒し系の凸にしといてやったからw」 |
ランプ(896) とカードを交換しました!
エアスラッシュ
(エアスラッシュ)
ナース を研究しました!(深度0⇒
1)
ナース を研究しました!(深度1⇒
2)
ナース を研究しました!(深度2⇒
3)
ガードフォーム を習得!
ビューティーフォーム を習得!
プロテクション を習得!
ファゾム を習得!
◇通常獲得:各CP・FPが5増加した!

[816 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[370 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[367 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[104 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
[147 / 500] ―― 《大通り》より堅固な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・」 |
白南海
黒い短髪に切れ長の目、青い瞳。
白スーツに黒Yシャツを襟を立てて着ている。
青色レンズの色付き眼鏡をしている。
エディアン
プラチナブロンドヘアに紫の瞳。
緑のタートルネックにジーンズ。眼鏡をかけている。
長い髪は適当なところで雑に結んである。
チャット画面にふたりの姿が映る。
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・」 |
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白南海 「・・・怖いだろうがよ。」 |
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エディアン 「・・・勘弁してくれませんか。」 |
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白南海 「ナレハテってあの!アレだろォッ!!?ドッロドロしてんじゃねーっすか!! なんすかあれキッモいのッ!!うげぇぇぇぇうげえええぇぇぇ!!!!!!」 |
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エディアン 「私だって嫌ですよあんなの・・・・・ ・・・え、案内役って影響力どういう扱いに・・・??私達は関係ないですよね・・・????」 |
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白南海 「あんたアンジニティならそーゆーの平気じゃねーんすか? 何かアンジニティってそういう、変な、キモいの多いんじゃ?」 |
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エディアン 「こんな麗しき乙女を前に、ド偏見を撒き散らさないでくれます? 貴方こそ、アレな業界の人間なら似たようなの見慣れてるでしょうに。」 |
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白南海 「あいにくウチはキレイなお仕事しかしてないもんで。えぇ、本当にキレイなもんで。」 |
ドライバーさんから伝えられた内容に動揺している様子のふたり。
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白南海 「・・・っつーか、あれ本当にドライバーのオヤジっすか?何か雰囲気違くねぇ・・・??」 |
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エディアン 「まぁ別の何か、でしょうね。 雰囲気も言ってることも別人みたいでしたし。普通に、スワップ発動者さん?・・・うーん。」 |
ザザッ――
チャットに雑音が混じる・・・
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エディアン 「・・・・・?なんでしょう、何か変な雑音が。」 |
ザザッ――
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白南海 「ただの故障じゃねーっすか。」 |
ザザッ――
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声 「――・・・レーション、ヒノデコーポレーション。 襲撃に・・・・・・・・いる・・・ 大量・・・・・こ・・・・・・死体・・・・・・ゾ・・・・・・」 |
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声 「・・・・・ゾンビだッ!!!!助け――」 |
ザザッ――
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白南海 「・・・・・・・・・」 |
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エディアン 「・・・・・・・・・」 |
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白南海 「ホラーはぁぁ――ッ!!!!
やぁぁめろォォ―――ッ!!!!」 |
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エディアン 「勘弁してください勘弁してくださいマジ勘弁してください。 ホラーはプレイしないんですコメ付き実況でしか見れないんですやめてください。」 |
チャットが閉じられる――