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朝原 昇太 「ユイちゃんさあ、他に何かやりたいことなかったの?」 |
カスミ湖。
白昼の陽光を照り返す水面を眺めて、二人の少年は水上に浮かぶボートに揺られている。
ちょうどつい最近、季節は新年度を迎えたばかりの春の終わり。夏も近づき、とても穏やかで暖かい日だった。
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暮泥 唯 「あ。ショータ、魚泳いでる魚。ほら見て。捕まえられそう。」 |
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朝原 昇太 「バカ。身ィ乗り出すなっつってんだろ、船ひっくり返ったら溺れ死ぬぞ。 人間は服着たまま泳げないって保健体育で習っただろ。試すか?」 |
ぐらぐらと揺れる船上で、おんぼろの櫂を水面に突き立てた。
そこにいた魚は散り散りになって、水の底へと消えていく。
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朝原 昇太 「つーかね。今日は何で急に会ってくれたわけ? 今までず~っと俺のこと避けてたくせによお。マジ調子良すぎ。」 |
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暮泥 唯 「え? だって、ショータがそんなにオレと会いたがってると思わなかったもん。 最初に嫌だって言ったの、ショータじゃん。オレ悪くないよ。」 |
あっけらかんと言って、指先で水面を撫でる。
波紋と共に、再び水面に戻ってきた小さな魚の影が揺れた。
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朝原 昇太 「嫌って……嫌っていうか。嫌だけど、そういう意味じゃないっつの。 お前がソラコーでうまくやってるかどうか気になってたし、 ガキの頃みたいにまた変になってるかもって内心ちょっと怖かったし……。」 |
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暮泥 唯 「あー、ショータ見て。魚。捕まえた。食べる?」 |
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朝原 昇太 「うっせえ自分で食え!! 俺の話聞いてた? っていうかさあ……。」 |
いちど、言葉を切る。
差し出された手のひらの上で力なく小刻みに跳ねる魚に手を伸した。
死んだような眼でぱくぱくと喘ぐように口を開閉させるそれを、指で弾く。
ぴしゃりと音をたてて、魚は水の中に落ちていく。お互いの手には生臭さだけが残った。
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朝原 昇太 「お前、今は学校でそんな感じなのかよ?」 |
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暮泥 唯 「は? なに……急にどしたの。んなワケないじゃん。 学校じゃ、もうちょっと良い子にしてるって。ホント。」 |
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暮泥 唯 「あーでも学校はねえ、楽しいよ。ショータがいれば、もっと楽しかったかも。 友達もちゃんといるし、オレのこと怒る人も見張る人もいないし。あ、ごめんやっぱいる。」 |
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暮泥 唯 「田中田さんと濯木さんっていう人がいてねえ、友達ってわけじゃないけど、 最近は遊びに誘ってくれたりとかすっごく優しくしてくれてね、何でだろうねえ、 ふたりとも面倒見のいいお兄さん~って感じでねえ、一体なに考えてるんだろうねえ。」 |
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朝原 昇太 「あ、そう……お前なんか……何ていうの?」 |
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朝原 昇太 「お前が今日会ってくれた理由、分かった気がするわ。」 |
櫂を漕ぐ手を止める。ゆるやかに船も止まる。
ぎし、と古い木板が軋む音。
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暮泥 唯 「……またその話? そもそも会う理由なんて必要ないでしょ。いつでも会えるんだし。」 |
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朝原 昇太 「…………。」 |
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暮泥 唯 「なに、ショータ?」 |
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朝原 昇太 「お前、いま誰と話してる?」 |
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暮泥 唯 「え? 誰って、ショータじゃん……あれ? ショータ……ショータって、オレと同い年だったはずじゃんね。」 |
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暮泥 唯 「それじゃあ、あれ? えっと……。 一番新しい記憶は、さっきの、あ、あ……? う、」 |
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暮泥 唯 「お、げぇッ、ゲホッ、」 |
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暮泥 唯 「コポッ、ゔぉえっ」 |
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朝原 昇太 「ひっ、」 |
びちゃんと音を立てて、吐き出された鮮烈な赤がボートの乾いた床板に叩きつけられる。
だんだんと染み込んでいくそれが、くすんだ木目を浮かび上がらせていく。
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暮泥 唯 「はひ……へ、へへ。」 |
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暮泥 唯 「あはっ、はあっ、ふふふっ、え、げえ……っ、」 |
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暮泥 唯 「ひひ、あはっ、あ、はははははは。 そう、そうだった、そうだよねえ。ショータ、流石じゃん……。」 |
口の端からびたびたと汁をこぼしながら、笑う。笑い声と共に、剥いた眼がぎょろりと動く。
真っ赤に染まった手をこすり合わせて、口元を拭った。今度は目を拭う。
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暮泥 唯 「分かった分かった、もう大丈夫。今のオレたち、高校"一"年生だったねえ。 へへ。ごめんねえ。ちょっと怖かったでしょ。ほら、そんな顔してないで。」 |
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朝原 昇太 「ゆ、ユイ、お前」 |
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暮泥 唯 「……だから、ショータ。ねえ、ショータ、あのさあ……、」 |
歯ぎしり。握りしめた拳を振り上げる。
沈黙。結局、それを振り下ろすことはなかった。
お互いの視線は交わされたまま、時が止まったように動かない。
二人を乗せたボートと水面だけが、軋みながら揺れ続けているだけだ。
迷うように、幾ばくか指で宙を掻いた。相手の襟を掴んで、力任せに引き寄せる。
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暮泥 唯 「……ちょっとでもオレのこと想ってくれるなら、二度とオレに会わないでよ。 昔のことばっかり、思い出すんだ。お前と一緒にいると、今度こそ頭がおかしくなりそう。」 |
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暮泥 唯 「恥ずかしくて死にそうだ。怒られてばっかりだ。 家族とか、子供の頃からの知り合いとか……会いたくないんだ、おかしくなるから。」 |
ぱ、と襟を掴んだ手を離す。小さく息をついて、しなだれかかるように身をうずめた。
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暮泥 唯 「苦しい。……すごくさみしい。 好きな人にほど、会いたい人にほど会えない。もうずっと。」 |
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暮泥 唯 「社会に生かして貰ってるだけのオレが、苦しいなんて言ったらダメだよねえ。 お前は何の苦労もせず守られてきたくせにって。甘えるなって。思うだろ。」 |
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暮泥 唯 「生きなきゃ。」 |
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暮泥 唯 「生きなきゃ……。」 |
その夜、二人の少年はあてど無く街を彷徨っていた。
ゆるりと繋がれた手を揺すりながら、踏切の上を通り過ぎていく列車の明かりを眺めていた。
遮断機は鳴り止み、少年たちは線路の上を横切って渡る。
駅のホームには、自殺を咎める広告が煌々と輝いていた。
学校の一角には、いじめ電話相談所のチラシが貼られていた。
テレビのCMでは、児童虐待防止を謳いながら、痣だらけの子供が笑っている。
この世界の底で、静かな狂気がひしめいている。
侵略者など現れなくとも、この世界はもともとそうだった。
朝原 昇太
誰も彼も、“普通”を装っている。表向きには。
そうでなければ、この社会に居場所はない。
暮泥 唯
彼もまた、“普通”の少年だ。表向きには。
そうでなければ、とっくに居場所などない。
終末まで 残り18時間
淘汰されゆく者に価値はない。
世界に庇護される存在は“規格品”だけだ。
イバラシティにおいても、アンジニティにおいても。
暮泥 唯(261) に ItemNo.95 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.96 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.97 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.98 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
暮泥 唯(261) に ItemNo.99 を送付しようとしましたが、何を渡したかったのか忘れました。
幻術LV を
5 UP!(LV15⇒
20、-5CP)
料理LV を
5 UP!(LV45⇒
50、-5CP)
レーカ(362) により
ItemNo.6 皮 から防具『
ブックカバー』を作製してもらいました!
⇒ ブックカバー/防具:強さ90/[効果1]反護15 [効果2]- [効果3]-
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曾我部 「めっちゃなめしてみました。革を! そんな訳でオシャンティ!俺の愛が……」 |
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曾我部 「そう言えばお前、お守り田中田に投げてなかった??」 |
齎藤 颯(130) の持つ
ItemNo.11 お野菜 から料理『
水道水かけご飯(小盛)』をつくりました!
濯木 龍臣(406) の持つ
ItemNo.13 お肉 から料理『
水道水かけご飯』をつくりました!
ItemNo.8 お肉 から料理『
水道水とご飯』をつくりました!
⇒ 水道水とご飯/料理:強さ60/[効果1]攻撃10 [効果2]防御10 [効果3]増幅10
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二人にお出しした手前、自分だけ別々に食べるのはいかがなものか。 くそどうでもいい葛藤が渦巻く────! |
ゴロウザ(1594) とカードを交換しました!
肝無しドワーフの執着
(クリエイト:チェーン)
マインドボム を研究しました!(深度0⇒
1)
マインドボム を研究しました!(深度1⇒
2)
マインドボム を研究しました!(深度2⇒
3)
カレイドスコープ を習得!
リフレクトバリア を習得!
◇通常獲得:各CP・FPが5増加した!

[770 / 1000] ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
[336 / 1000] ―― 《廃ビル》研がれる牙
[145 / 500] ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
[31 / 500] ―― 《白い岬》より精確な戦型
―― Cross+Roseに映し出される。
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エディアン 「・・・おや。チェックポイントによる新たな影響があるようですねぇ。」 |
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エディアン 「今度のは・・・・・割と分かりやすい?そういうことよね、多分。」 |
映し出される言葉を見て、腕を組む。
カオリ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、橙色の着物の少女。
カグハと瓜二つの顔をしている。
カグハ
黒髪のサイドテールに赤い瞳、桃色の着物の少女。
カオリと瓜二つの顔をしている。
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カオリ 「ちぃーっす!!」 |
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カグハ 「ちぃーっす。」 |
チャット画面に映し出されるふたり。
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エディアン 「あら!梅楽園の、カオリちゃんとカグハちゃん?いらっしゃい!」 |
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カグハ 「おじゃまさまー。」 |
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カオリ 「へぇー、アンジニティの案内人さんやっぱり美人さん!」 |
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エディアン 「あ、ありがとー。褒めても何も出ませんよー?」 |
少し照れ臭そうにするエディアン。
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エディアン 「間接的だけど、お団子見ましたよ。美味しそうねぇあれ!」 |
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カオリ 「あー、チャットじゃなくて持ってくれば良かったー!」 |
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カグハ 「でも、危ないから・・・」 |
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エディアン 「えぇ、危ないからいいですよ。私が今度お邪魔しますから!」 |
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エディアン 「お団子、どうやって作ってるんです?」 |
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カオリ 「異能だよー!!私があれをこうすると具を作れてー。」 |
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カグハ 「お団子は私。」 |
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カオリ 「サイキョーコンビなのですっ!!」 |
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カグハ 「なのです。」 |
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エディアン 「すごーい・・・・・料理系の異能って便利そうねぇ。」 |
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カオリ 「お姉さんはどんな能力なの?」 |
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エディアン 「私は・・・アンジニティにいるだけあって、結構危ない能力・・・・・かなー。」 |
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カグハ 「危ない・・・・・」 |
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カオリ 「そっか、お姉さんアンジニティだもんね。なんか、そんな感じしないけど。」 |
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エディアン 「こう見えて凶悪なんですよぉー??ゲヘヘヘヘ・・・」 |
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カオリ 「それじゃ!梅楽園で待ってるねー!!」 |
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カグハ 「お姉さん用のスペシャルお団子、用意しとく。」 |
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エディアン 「わぁうれしい!!絶対行きますねーっ!!!!」 |
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エディアン 「ここじゃ甘いものなんて滅多に食べれなさそうだものねっ」 |
チャットが閉じられる――