では今回も失われた今は亡きDMMエロブラゲの話を始めよう。
今回の肴は「イディオムガール」。
四字熟語の擬人化、というなかなかニッチな企画のこのゲームだが、
同時期に
意識高い系ワードの擬人化という、同系列かつネタに極振りした企画である「キルドヤ」が出てきたために
知名度が上がったような話題を持っていかれたような微妙な立ち位置になった。
同期かつ似たネタということで何かと比較されるのは当然のこの二作だが、
イディオムガールの方はかなり暗めのシナリオでそれに応じてか画作りも暗く、
主人公にしてからが灰色の髪に薄汚れたグレーのコート、という潔さなのに対し
キルドヤは目に痛いレベルのポップと言うか原色バリバリの主張が激しい絵だし、
シナリオはと言えば時事ネタを即取り入れつつ完全にノリだけで進む頭空っぽスタイル。
キルドヤのほうが、基本的には(理解が面倒なものの、結局は)普通のソシャゲ的なスタイルであったのに対し、
イディオムガールは珍しいオンライン協力プレイを売りにしたパズルゲームであるなど、
実際に好対照な印象も強かった。
とはいえ、わかるだろうが基本的に受けるのはキルドヤの方だ。
四字熟語という時点で比較的硬めな印象だが、それ以上に全体の雰囲気としてとにかく暗く、
浮動層を引き寄せるような牽引力は欠いていた。
それ自体が悪いとは全然思わないが、商業的に失敗した理由の一端であるのは確実だろう。
まあ、キルドヤも半年ほど後に後を追うんだがな。
こっちにも言いたいことはあるんだが、まあ正直ネタ度が高そうな割に特筆すべき要素はそこまで無いんで
イディオムとの比較で出す以上の事はないだろう。
さてイディオムガールの方だが、この作品、先ほど言及したようにパズルゲームだ。
いわゆる落ち物めいた数色のブロックが敷かれたフィールドにキャラが配置され、
手番ごとに一筆書きで同じ色のブロックをたどり、
敵に隣接する位置を歩けば攻撃、歩いた距離が威力に加算される。
この基本ルールに障害物やスキル、属性を含めたチーム編成などの要素が加わり詳細なルールの把握は少々面倒だった。
とは言えパズルである以上多少は仕方ないことでは有るし、別にゲームが面白くないわけではなかったが
問題はこのゲームが、もう一度言うがオンライン協力プレイが売りだということだ。
高難易度のステージとなると一人が不利益なプレイングをするだけで失敗のリスクが急増したし、
協力プレイ時は敵とプレイヤー側が交互に手番を持つことになるため
連鎖のためのパスをスルーされると敵の行動で連鎖が潰され、むしろ危険になったりもするなど
ルールの複雑さ・判断の難しさはプレイ環境に即影響する事になったが、
おそらくプレイヤー間がギスギスするのを避けるためだろうが、
プレイヤー同士はチャットはおろか唯一サムアップのアイコンを出すことのみしか
コミュニケートの手段を持たされていなかった。
グッドのみでノーグッドを伝える手段が存在しないため、
地雷に突っ込むプレイヤーを見守ることしか出来ないし、
あからさまにプレイを妨害しにかかる荒らしに対しても黙って見送るかサムアップを連打してみるか、
諦めて切断するかしかできることはなかったのだ。
とは言えこれらは協力プレイを謳うゲームにおいて不可避の命題とも言える。
ユーザーの実力はバラつくものだし、どうしたって寄生や荒らしの問題はなくならない。
ある程度はユーザー側で対処するなどせざるを得ないとは思う。
ただ、システム的にそうしたプレイ環境を守るための要素が極端に少なかったのは事実だ。
そして、正直それ以前にエラー落ちがメタクソに多く、システムの改善・追加をしている場合ではないというか
売りのはずの協力プレイが成立するかどうかの時点で運を試さねばならない有様でもあった。
こうした面があると当然運営への不満が溜まりがちなわけだが、
残念なことにヘイト管理とか信用とかそういうものにはかなり無頓着な運営だった。
正直悪いゲームではなかったのに碌にこのゲームが惜しまれたりしないのはそのせいだろう。
例えば初期の期間限定イベント報酬として実装された轟撃 雷(ごうげき あずま。「雷轟電撃」の擬人化)のスキルだが、
これが自分に近い順から3体の敵に攻撃、というスキルで
同種のスキルに比べ必要な条件(歩数)が厳し目な割に数が少ない。
ただし、ボスなど大型の敵に対して多段ヒットするため対ザコ・対ボスどちらでも優秀なキャラだったのだが、
(同種の他のキャラではボス用の火力は不足しがち、高火力のキャラは接近する必要から状況を選ぶのが普通だった)
まあ正直あまりに対応幅が広く、調整ミスなのは否めないところだった。
でまあ修正されたんだが。
調整ミスを認めたくないがために多段ヒットをバグだったことにして消した。
調整ミスを認めたくないがために多段ヒットをバグだったことにして消した。
繰り返すが轟撃 雷のスキルは同種のスキルより発動条件が厳しく、その上で一度に攻撃できる数は少ない。
能力値が高いわけでもない。
多段ヒットする特性がなければただただ他のキャラより弱いだけだ。
まあユーザーは運営側を信用はしなくなるよな。
よくある話といえばよくある話だが、こんなニッチ層向けのゲームで
数少ないユーザーにそっぽを向かれたらそりゃ終わる。
素材は悪くなかったんだがな。
シナリオもウケは悪かったがしっかりと設定を組んであり、
キャラの立ち位置やパワーバランスが展開のために蔑ろにされるような事もなく
真面目に書かれた作品だというのは伝わってきたし、製作者もその点思い入れがあったのだろう
珍しいことにYoutubeで未公開部分のシナリオを含めすべて公開されている。
キャラ的にもまあ、マスコット兼メインヒロインの零が強すぎて
他のキャラ入り込む余地なさすぎ無いか?っていうのはあったが
元ネタの四字熟語をデザインや性格設定などキャラ造形に上手く落とし込み魅力的に描いていたし
あまり取り沙汰されないがエロシーンの出来が同時期のゲームでは頭一つ抜けていた。
取り沙汰されない理由はいろいろあるが、
一つには先にも言った画作りの影響がある。全体的に印象が暗い。
そして、絵的にいわゆるわかりやすい萌え絵ではなかったというのも有る。
正直キルドヤなどと比べて絵自体のレベルで言えば勝負にもならないレベルで勝っていたと思うが
玄人好みの絵柄であったことは否めない。
別段、変にリアル志向の絵だとかそういうわけでもなかったのだが、
この辺は必ずしも上手い絵がウケるというものではないから難しいところだ。
ただ技術面では平均レベルが圧倒的に高かったから、
多くの人の目に触れていればそこは正当に評価されていたはずなのだ。
つまり多くの人の目に触れなかったのだ。
何故か?それは初期の好感度設定が完全に常軌を逸したレベルのドケチ設定だったからに他ならない。
好感度を上げるためには時間経過で貯まるポイントを使うのだが、
本当に時間経過(か課金)でしか貯まらない上に
☆5キャラ一人の好感度が貯まるのにほぼ一月を要するのは本当にどうかしている。
おかげでせっかくの良質な寝室が売りにもならず、むしろ客足を遠ざける要素になってしまった。
後に緩和されたが、あまりに常軌を逸した設定だったから即座に見切った層もかなりいただろう。
もう何度目かのセリフだが、ただでさえニッチなゲームで何をしているんだか……
とまあ、色々と惜しいゲームだった。
光るものは十分に持っていたのだが、自分から台無しにしてしまったような感じだな。
ああ、あと、期間限定のイベント敵の出現が時間限定(日によって変動)とかは本当に意味不明だったな。
あまりこういう言葉を便利に使いたくはないが、
もう少しユーザー視点を持てていれば、というところが非常に多かった。
いわゆるバシーンゲーからの脱却という面、またプレイヤー同士の協力プレイという観点からも
完全な同期を取る必要のないパズルゲームというアプローチは間違っていないと思われたし、
四字熟語の擬人化というのもそれなりの意外性と親しみやすさはあったはずだ。
その部分の出来に関して言えば、特に問題もなかった。
画作りに関しては一応、シナリオとの整合性という点から言えば
あれで正解であったとは思う。まずもって間違いだとは言えないはずだ。
主人公は体制に抗うレジスタンスの側で、文字通りの意味でも地下に潜り文明を享受してはいないのだから
昼日中に堂々と事に及ばれても困るし薄暗がりで密やかにするのは当然なのだ。
そもそも描写上、灯火に事欠く有様でも有る。
零に関しても、記憶を失った仮の名前ですら「零」とかいうパワーのある名前で
主題が主題だしこれこのキャラ絶対と思ってたら案の定「天地開闢」とかいうそらまあ強いよなっていう子だったし
マスコット兼ヒロインかつ切り札でキーパーソンとかそりゃ別格の扱いにもなろう。
そして零は実際人気だったのだ。
まあ、幼気な顔立ちの割には一応出るとこは出てるのと、
いつもかぶってるボロのマントの下は割とすごい格好してるあたりは趣味が別れたようだが……
ともあれ、人気の出るべき立ち位置のキャラがちゃんと人気があるというのは
結構大事なことだと思う。
そのへんの話は……まあ、次回することになるか。
今回のところはこの辺にしておこう。