それでは今日も「日記」の意義に反抗する
失われたDMMエロブラゲの話を始めよう。
第五回になる今回の題材は以前にも予告したタイトル。
「姫銃 -HiME×GUN-」の話をしよう。するぞ。覚悟してくれ。
さて、この姫銃だが、不名誉な方向である意味有名だ。
超高速で長期メンテナンスに入り、リニューアル後に即死した「二度死んだタイトル」として。
あまりにも鮮やかだったから、逆に知名度がそこまで増えずに落ちた感すらある。
何しろ酷さが話題になる暇すらなかったからな。
ちなみに俺は事前登録して開始後に程なくプレイを止め、
リニューアル後に一度だけやって安西先生のAAで「何も成長していない……」ってつぶやいて辞めた。
だから今回、プレイ経験という面では浅めで、仕様に関しては記憶違いや勘違いが多いだろうことは謝っておく。
だがゲームがクソなことは間違いないと断言しておこう。
そう、このゲームはクソゲーだ。賞味、褒めるところがほとんどない。
運営・開発は自分たちのゲームを理解していないし好きでもないと伝わってくるクソ仕様や
なぜそこでまでユーザーを締め上げるのかわからない間違った絞り方など、
ユーザーに嫌われ、去られる要素は満載だった。
まずこのゲームの基本コンセプトを確認しよう。
姫銃とは、いわゆるおとぎ話などに登場する女の子たちがヒロインとなるゲームで、
彼女たちが銃を取り、ローグライクというよりはっきり言えばトルネコ風なダンジョンを攻略する
そういうコンセプトになっている。
まずここから既につまずいている。
まずおとぎ話の少女たちを題材としたエロゲーだが、これは珍しいものではない。
知名度もあって女の子のでてくる話であれば日本人がエロ化しないわけがないからな。
だが、成功例は稀だ。
元ネタがはっきりしているせいか、作り手の実力が浮き彫りになってしまうようだ。
その割に元ネタのパワーに頼った安易で雑なエロゲーも多く、
一定の需要はあるものの警戒感も高いある種特殊なジャンルだと思う。
で、彼女たちに銃を持たせたわけだが。
ここがまず雑なんだ。
なぜそのキャラクターにその銃をもたせてるのかさっぱりわからないし、
むしろ何も考えてないのが伝わって来た。
(そもそも彼女らのキャラがモチーフから乖離していて外見イメージ以上のものではないのだが)
もちろんゲームの都合上、ある程度レア度ごとに武器種をそれぞれ配置する必要はあるだろうとか
そういった縛りは有るのだが、
だったら武器間のバランス取り放棄やSSR以上にハンドガンいないとかの言い訳が厳しくなるわけで八方詰みだろう。
武器間のバランスは本当にひどかった。
先程言ったとおりSSR以上には居ないハンドガンだが、これは事実上他の武器の下位互換だった。
攻撃可能範囲が上下左右の4マスだけ、というのが
周囲8マス(ショットガン)や周囲8マス+上下左右に+1マスずつの13マス(アサルトライフル)
に比べてどれほど厳しいか、トルネコ系ローグライクを触ったことがあればわかるはずだ。
にもかかわらず威力が高いわけでは(ハンドガンが火力担当でも困るが)ないし、
命中率こそ高いもののそれを要求される場面がない。
ボス相手に無理に命中率高い武器で殴らなきゃ当たらない能力値ならそれは殴り合っちゃいけない相手だ。
だいたいボスは単に強いだけだからな。
強いて言うなら軽いのは利点だが、防具の重さのほうがかさむのでそこまで利はない。
だが、このゲームにはキャラごとに得意武器が存在し、パッシブスキルが発動する条件となっている。
つまりハンドガンが得意なキャラは他の武器が得意なキャラの下位互換だ。
パッシブスキルに独自性なんぞないから期待してはいけない。ただの下位互換だ安心しろ。
武器種内の序列も基本適当で、何故かピースメーカーがガバメントより威力が高かったりする。
……数寄者には有名な話だが、アメリカの.45ACP信仰は
インディアンにピースメーカー6発全弾叩き込んでも即死せず
そのまま走り込んできて斧で頭を割られたとかいう逸話に代表され、
その反省から作られた.45ACP弾を使う銃の代表格がガバメントだ。
なおここで実際の威力に関係なく有名だから強い理論を言うと
別に強くないコルトパイソンが後ろから刺してくる。気をつけよう。
先ほど軽く重量について触れたがこれもかなり曲者だった。
まずアイテムに重量があるということで当然所持制限があるわけだが、これがかなり厳しい。
パーティをフルメンバーフル装備で出るとほぼ重量が埋まり、何も持ち込めないし拾えない。
というか初期状態だとフルメンバーがまず無理。
重量制限80に対しちょっと重めのアイテムは簡単に二桁重量になるし、回復アイテムは一個ごとに5だ。
俺に増やす方法の記憶がなく、現存するWikiを見てもどうも課金以外にないらしい。
仮にソロで武器のみ持ち込んでも重量20を超えるような重いアイテムは持ち帰るだけでも一苦労することになり、
もはやハクスラどころではない。(鑑定はダンジョンから持ち出すまで不可)
あげくに倉庫の保管限界も初期500しか無い。当然やはり課金しか強化方法が無い。
物によっては40とか重量のあるアイテムに対し倉庫が500。
トルネコ系ローグライクをまともにプレイしている人間がやる設定とは到底思えない。
そのくせ周回強要のソシャゲらしさは存在する。
アイテム拾えないのに同じダンジョンを周回して何になるんだ?このゲームレベル制ですら無いぞ?
重量が絞りに絞られた結果パーティ制も働いていなかった。
課金したところで最大でも200しかアイテムを持てない以上、
無駄に複数キャラを連れ歩く利点がないからだ。
ただでさえこのゲームのAIは雑で、
勝手に動いて孤立するわ武器の射程も考慮せず動いて無防備に敵に殴られるわと
余計なストレスを増やすのだから、正直連れ歩くのはフレンドのキャラだけで十分だ。
バランス的にもどうせ雑魚はワンパンで即死させられないとボスの相手はできないのだし、
糞AIの味方を戦力として必要とするようでは先にも進めない。
ダンジョンの作りやギミックについてはまあ言うまでもない気もするが雑の一言だな。
そのへんのフリーソフトのほうがよっぽど面白いぞ。
先述の通り雑魚をワンパンできる能力があってもボスの攻撃(必中)であっさり死ぬような雑バランスでも有る。
アイテムの種類もこの手のゲームとしては異常に少なく、
巻物や杖に当たるアイテムが特に足りない。戦術に幅なんてものはなく漫然と殴り合うだけだ。
そしてキャラ・シナリオがクソだった。
ここの取り扱いこそがわざわざただのクソゲーでしか無いこのゲームを取り上げた理由なんだ。
まあ話の中身がないとかつまらないとかはもう別に大した問題じゃないからいい。
だが、今まで語ったクソ要素、実はこのゲームを語る上で触れられることはほぼ無い。
正直上記だけで十分にサービス終了の原因と言えるレベルのクソであるにもかかわらず
それらの大半がスルーされるほどの糞要素こそがこれだ。
具体的な話に移ろう。
まず導入部のシナリオだが、主人公はヘンゼルとグレーテルの兄の方、ヘンゼルのそっくりさんだ。
で、なんか戦ってる組織の偉い人なヘンゼルの戦闘シーンに出くわして、
突然出てきた民間人である主人公を守ろうとしたヘンゼルは大怪我で一時的にリタイア、
主人公が身代わりになるという流れだ。
当然グレーテルはそのことを知っているしナビキャラとして主人公の面倒を見ることになるわけだが、
こいつがクソキャラ過ぎた。
このグレーテル、見た目はなんかゴスパンク入ってる服装で特にグレーテルっぽくはなく、
その割に顔立ちが幼く割とクソガキ感が出ている。メスガキ感ともいう。
それ自体は別に問題はないし、むしろいい。
ユーザーのヘイトを一身に浴びすぎてブサイクとかメタクソに言われていたが、言われるほど悪くはない。
塗りがちょっとしょぼかったけどな。一番目につく部分でなんで手を抜いたんだかは俺は知らん。
で、問題はそのクソガキが、兄の怪我の責任を全面的に主人公に負わせ、
やることなすことにケチを付けて兄と比べ貶め、ひたすらに憎しみをぶつけてくることだ。
昨今たまに思い出されては叩かれる暴力ヒロインなんぞ目じゃないぞアレは。
好意の裏返しだとかいうエクスキューズがなく本気でヘイトを向けてくる上に、
いちいち悪意で装飾して事実を捻じ曲げてまで叩きに来るやつが常に監視してくるとかいう
この時点で本当にきつい上にそいつがマスコット扱いでヒロインの一人だ。
それなりの数のソシャゲに手出ししたけどナビキャラが粘着荒らしまがいの主人公アンチとか前代未聞だったぞ。
ドM向けのゲームを作ってるつもりか?多分マゾの人がお断りするぞ。
で、シナリオは基本虚無なんだが、当然メインシナリオでもグレーテルはでてくる。
嫌味を言うために出てくる。他のことはあまりしない。
まあ、シナリオの分量自体が極小なのでそれ以上のことをする余地もないのだが、
主人公がなにか達成しても特にデレたりせず
相変わらず面と向かって腐しに来る生意気な小娘とずっと一緒にいなければいけないとかいう拷問、
金払ってプレイしたいかと言われれば「無理」とみんな答える。答えた。
惨状と言うにふさわしい有様だが、実のところグレーテルだけが酷いわけじゃあない。
一番目につくところで一番目につくことしてただけで全体的にこのレベルだというだけのことだ。
そもそもグレーテルのキャラグラだと拳銃持ってるのに得意武器グレネードランチャーなんだよな。
服装もそうだが設定は大体この調子で雑なんだ。
繰り返すが元ネタとしては赤ずきんとか白雪姫とかのおとぎ話の女の子なんだが
世界観的にそういうつながりはなくあくまで元ネタでしか無いし、
その上別にキャラグラ見てもぱっと元ネタがわかるキャラがあまりいないし、
能力や得意武器の設定と元ネタのつながりも薄い。
まさかとは思うがキャラクター商売というものを舐めきってやしないかという雑さだ。
こうなるともはや何がしたいのかさっぱりわからないし、
プレイヤーは何を求めればいいのかがわからない。
キャラに期待できないとしてゲーム部分を真面目に作ってるとも思えず、
何が売れると思ったのか何を売りにしたいのかが全くわからない。
誰にどんな理由で金を払えと言うんだ、となる。
その上で主人公と共に戦い、そこに寄り添って苦楽を共にするはずのナビがご覧の有様だ。
そりゃ記録的な速さで終わるさ。
当たり前だがナビキャラ、マスコットキャラというのは好かれるのが普通だし好かれねばならない。
下手をしたらユーザーの一番お気に入りのキャラより触れ合うことになるキャラだからな。
エロブラゲの場合、実質的にメインヒロインである場合も多いからなおさらだ。
それをむしろ真逆にしてしまったらどうなるか、この一作はよく示してくれた。
別にそんなに知りたくもなかったが……
……辛い思い出なので疲れたな。次回は少し軽いものにしよう。今日はこれまでだ。