ガラスのぶつかる軽い音が、部屋の中に響く。


「それで、私の方は蒐集家やら呪術者を当たればいいのね〜」


そんな呑気な人形の声に、音がとまった。


「うん、僕の方は最近知り合った人間で詳しそうなのを当たってみるから」


「うふふふ、クリスちゃんったらなんだかんだで……もごっ！？」


嬉しそうにくるくると回転していた人形の口に、ドーナッツがねじ込まれる。


「首狩り役人としての仕事がこんなところで役に立つとは、ね」


箱に並べられた小さな試験管。そこにはちょっとした魔法が掛けられいる。
死刑囚の流した血で染めたハンカチ。それは、お守りとしてちょっとした収入になる。
そのハンカチを作るため、血が凝固しないようにする魔法がある。
他の使い道もある魔法だけれど。


「採血の方はクリスちゃんで大丈夫？私がやってもいいわよ？」


何の気を回したのか、ドーナッツを吸い込んだ人形がそんな言葉 をかけてくる。
その頭を突付いて転がす事で、返答とした。


「それじゃあ、やってくるから」


箱を抱えて、隣の部屋……グリゴリの眠る部屋へと向かった。

かおいろひとつかえないおねえさんをみて、ふくざつなかおをしています。

それでも、これだけのひとたちがいっきにたちあがったのをかんがえるとおうさまがわるくないとはいえないとおもったようです。

かんがえてもわからなくて、すがるようにおねえさんにたずねてみました。

いまいちこたえになってねェな、とつばさであたまをかいています。

二人のやり取りを見て、微笑ましそうに笑い声を漏らす。

クリフの言葉に、背筋にゾクリと寒気が走った。

あっけらかーんとした少女姿の人形に首を捻って飲み込めない様子。
ともあれ、ぶらんぶらん揺れている＋揺らしている姉妹を余所に席を立つと
スタンドまで戻って温かいハーブティを1つ用意した。
ブレンドは此方が頼んだのと同じもの。