グノウのエンブリオが手にしていたのはズボン等だった。

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ふと、上空を見上げると其処に居るのは見たこともない竜。
何処かへ向かって飛んでいるようだ。

そう言って竜に向かって手を振ってみると、此方に気付いたらしく
此方の方へ降りてきたようだ。
そうして、迦楼羅は言葉を交わす竜と話すことが出来た。
彼の名は『クライカリオス』彼もまたこの一揆の参加者のようだった。
話をしているとどうやらこの先に仲間が居るらしく、
先に進むついでに途中まで一緒に進むことになった、そしてその進む手段は徒歩ではなかった。



何か唸っていた、まるで何かに気付いたように。
其処に自分を巻き込まないようにする為に前もって降ろしてくれた、そんな感じだった。

などとポプリと話していると、フードに違和感を覚えた。
フードには抱きかかえて歩く時以外に契約していたケツァルコアトルが何故か卵だったので
ずっと持ち歩いていたのだった。

等と言い合ってる時には卵は割れていた。
中から出てきたのは不思議な形をしていた蛇のような、なんというかそんな感じだ。
ただ、違うと言えば羽根が生えていたり、まあ色々と違う。

ケツァルコアトルは此方をじっと眺めるとそのまま首に巻きついた。
まるで其処が定位置だと言わんばかりに。

などと話している時に森の奥の方で何かが吠えるような、雄叫びのような叫びが聞こえた。

奥に走って行けば居たのは確かに先程まで話していた、クライだ。
それに以前同行したミクネ、そしてそのミクネを担いでいる男性が一人。
一体何がどうなっているのやら、分からない。
ただ、先程まで話していた人物と同じには思えない。
おまけに魔物まで騒ぎに気付き、此方へとやって来る。

思い出して今にもよだれの垂れそうな緩んだ顔をしている。

モンスターのいない世界が想像できないらしい。

と、ぼそっと言った。

噂で聞いたのだろうか、本人もよく分かっていない様子である。

ぐりぐりと頭をなでぐりまわしている

叩きつけられた尻尾を押し返す人影。
貌には黒い仮面、首には赤い布。そして腰には、クライカリオスが残した術式の文様。
サイネルの全身は、あの時のように変質していた。

ミクネとクライカリオスの関係を知らぬが故に、サイネルは激怒する。

腰の術式から全身に広がる光の線が、一層輝きを増す。
それはまるで遠く輝く星を、間近で直視するかのような輝き。
そのエネルギー量は、術式を焼き切るような量で……

男はミクネを放り出し尾の一撃を受けて倒れ伏した。
今ならば、ミクネを連れてこの場を去る事も不可能ではないかもしれない。
そう思いつつも、男を放置する事に対する危険性を本能的に感じて竜は土埃の向こうに居るだろう男を睨め付けた。

――…と、声が聞こえた、次の瞬間である。



ドクンッ



全身を震わせる力の流れに意識が揺らぐ。
感じるのは膨大な命の輝き、光の螺旋。

この感覚は先日術式越しにあの男から奪い取った物と類似していたが、意識的に喰らったあの時と今は異なる。
あまりにも唐突に流れこんできた強い生命エネルギーに精神が一気に過負荷を受けて悲鳴を上げた。



いけない。

このままでは。



揺らぐ体の感覚も曖昧なままに必死に意識を繋ぎとめようとする。が、男から迸る生命力を背に残した術式が否応なしに感知し起動しているのだろう。止める余裕もない内に流し込んでくる濁流の様なソレに、完全に意識が吹き飛ばされ――……




金は、光に溶けるように……白色金へと染まった。