こんこん、こんこん。

　頭に生えるはさんかくおみみ、ぴこぴこゆれるはなかまの証。

　ゆらゆらゆれるは月夜のすすき、あたまのおみみもゆれては――


　…あれ、この歌の続き何だったっけ。確か団子が美味しいとかそんな感じだったけど…まぁいいわ、ただの古い民謡よ。
　勇人と一緒に星屑の小川を進んでどれくらい経ったかしら。一日、二日？数日って所かしら。
　ここ少しの間で勇人の事はちょっと分かってきたわね、旅とか戦闘とかは馴れてない感じで、どこか遠慮してる感じ。
　やっぱり一歩引いたところにいるっていうか、気を使ってるっていうか…ココロの配慮っていうやつ？アタシは思ってることとかすぐ顔に出ちゃうからそういうの上手くできないんだけど、彼ってどことなく遠慮しているのよね。

　今までもこういう態度で他人と接しているのなら、苦労するタイプよね。今でも歩くときは微妙に距離が空いてるし。この前思いっきり叩いちゃったし…でもあれは仕方ないわよね、水浴びして裸だったのも無防備だったけど覗いたのは彼の方だもの。

　歩きながら彼の方へ振り向くと、ぎょっとした顔をして距離をとられた。あ、考え事をしていたからおっかない顔になってたのね。悪気はないのよ、ごめんね。

　まぁでも、気を使って離れてる彼はひとまず置いておくとして…。　


　アタシに沿う様にぴたりと歩く女の子に目を向ける。
　頭には三角の耳がついていて雪みたいな白い髪を持った女の子。名前は音珠(ネージュ)ちゃんって言うそうなんだけど、この子とは何回か会った事があるのよね。もちろん元いた世界で…じゃなくてこっちに来てからの話なんだけど。

　最初は確かアタシと似たような耳がついていて、声をかけたのがきっかけだったかしら。耳がついてることをコンミミってお付きの白いのに言われたのが印象だったかしら。お付きの…そうそう、今ちょうど音珠ちゃんの隣でふわふわしてる丸いやつ。饅頭みたいで大福丸っていうそうなんだけど、食べてもあんまり美味しくないのよね。かじっただけなんだけど。
　それで何度か会っててちょうどさっき会った時、進む先が一緒っていうのを知って今一緒に音珠ちゃんと歩いてるのだけど…。
　この子の耳…何なのかしら。アタシみたいな耳とは何か違うような気がするのよね。耳であることは間違いないんだけど…。本当に耳？いや、耳よね…コンミミ仲間だし。第一アタシが住んでる世界の他にもいっぱい世界がある訳だからきっと違う系統でコンミミなのよね。可愛いし。

　考えながら何となく振り返ると、後ろにいた勇人がまたぎょっとした顔を浮かべて距離をとった。あー、考え事をしてるとすぐに顔に出るんだから。

　ともあれ、一緒に行動する面子が増えたわけだし仲良くやっていきたいものね。
　もちろん最低限の境界は勇人には守ってもらうけど。水浴び中の覗きとかもってのほかだからね。
　


　よし！それじゃ、今日も張り切って行きましょうか！











　…そういえばふと思ったんだけど、この大福丸っていうの、ひょっとして男なのかしら？

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