―― 幕間 ――


　「多少ややこしくはありましたけれど……収まるべきところに、収まったようですわねぇ。うふふ」

　「…彼女たちの“護衛”を引き受けている、という割には。
　　…ずいぶん、のんびりしている」

　「あの娘達が、自身の“渇望”ゆえに傷つき、苦しむことは、わたくしには介入できませんもの。
　　わたくしにできることは、せいぜい――その“渇望”が、歪な形で爆発しないように誘導することくらい」

　「…高みの見物、というわけ」

　「ただでさえ、年頃の子達というのは、繊細ですもの……くふ、くふふふ。
　　苦労の見返りに“成果”を得られた――と思い込むこととて、必要な通過儀礼ですのよ！」

　「…それが、偽りだったと気付いたとき。
　　…彼女たちは、今よりももっと、傷ついてしまうのではないの」

　「そうならないように、『幻想』の殻を守り続けるのが、わたくしの役割ですわぁ。
　　幸い、“一揆”が続いている限りは、その『幻想』を外的要因によって保ち続けることができる――
　　とぉっても、好都合ですわねぇ。くふふふ……」

　「…どういう、意味」

　「くふふ――ひみつ、ですわ♪
　　……あとは、あちらの子達ですわねぇ。向こうはもう一捻り、必要そうですけれど」



　自らの宿した“光”に惑う巫女と、自ずから求めた“闇”に惑う護人――
　その光闇を交じらせた二人の少女が、ひとまず収まった互いの織り成す『斑模様』。

　その顛末を満足そうに見届けた“人形使い”の、ヴェールの奥に秘めし視線は――[仔犬]と[軍曹]の二人、さらなる異質の異邦人へと向く。



　「あの子達“も”、わたくしの『欲しいもの』をたぁくさん、持っているはず。
　　あとどれくらい、戴けるでしょうかしらねぇ――くふふ、くふふふふ……」