〜前回のあらすじ〜
「何と言うか、お疲れ様」
「な、何だその凄い投げやりな！？」
「勝手に暴れてる主人を追い掛け回すの、本当に疲れたわ……」
「ええ、大変でしたね」
「良くわからんが、大変だったようだの」
「……くっ」
[み、みなさんそれくらいに……主様も悪気があってやったわけじゃ]
「そうよねぇ、仕方ないことってあるわよね」
「「「お前が言うな！！」」」
[貴女が言わないで下さい！！]
「……ふむ、良くわからんがお前が」
「貴女にまで言われる筋合いはないわよ！？」








兵舎から一転、水辺に戻ってきた。
まぁ、必要分の水も確保できた。
それに、城内なら井戸もあるだろう。
事前に沢山確保したのは念の為、と言う意味合いが強い。
準備完了、もう一度兵舎に戻るか……と言うその次の朝の出来事だった。

「手紙？」

朝早く、そんなものが届いていた。
一揆の互助組織はそういう変なところに良く手が回る。
一揆参加者同士の手紙のやり取りも結構頻繁にあるらしい。
お嬢も、仔犬殿もそういえばよく手紙のやり取りをしているな。
かく言う私も、最近知り合いが一人出来たのでやり取りをしているが……

「返信が帰ってくるにはまだ早いし一体誰が……」







に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛！！！！！




「何々！？一体何なの！？」
「Warning!　戦闘配置を！」
「お前も落ち着け、まぁ戦闘準備だけはしとけよ。それで、一体どうした？」
「あらあら、また面白い事になりましたの？ナイトスピリットかしら？」
「じじじじ嬢！！じゃない、未琴ぉ！！」
「ちょ、ちょっと何なのよ！？」
「た、大変な事に。大変なことにぃ！！」
「トオル、貴女が今一番大変な事になってますわよ。ほら、深呼吸ですわ。フッヒッヒー、フッヒッヒー」
「お前のそれも色々間違ってんぞ」
「いや、うん……有難う。落ち着いたよ」
「あれで落ち着くのかよ……」
「いや、一連の流れを見たらどうでもよくなって……」

柄にもなく取り乱してしまった。
とりあえず、普通の深呼吸で一度呼吸を整える。

「未琴、話があるんだが……あー、とりあえず大丈夫だ。二人はちょっと席を外してもらえると」
「あらあら、折角集まりましたのに。気になりますわね」
「っておい、今明らかに俺を除外しただろ」
「……三人は席を」
「訂正するなよ、本当の事にしやがって……ったく、行くぞ」
「Yes sir」

「で、何なのよ一体……って、何その手紙」
「読めば判る」

手紙を差し出す。
まぁ、内容を判りやすく略すとこうだ。
差出人はカムヨリの当代様。
今年は私達でそっち（王城）の奉納神楽をやっておけと。
そう言うことらしい。

「ば、ばれてる？」
「らしいぞ……」

何処までの範囲かは知れないが……。
とまれ、目先の問題は

「ど、どうしよう。今から練習って……もう日にちないわよ！？」
「ああ、うん。一応私も笛を出すから、それで……」
「ちょっとー！？そうやって逃げるの酷くない！？」
「わ、私だって寝耳に水だぞ！？」
「……やらなくてもばれないかな？」
「無理だと思うぞ」

わーぎゃーと二人で騒ぐ。
手紙の“出来るだけ盛大に”の一文が、どういう意図で書かれたのかがよく判らないが……。