リレッタ=ベルフォードに湯船に浸かる習慣は無い。
身体を洗わない、というわけではなく
純粋に「温水に身体を沈める」という習慣そのものが、彼女の故郷に無かった為だ。

マァムブの内部の洗浄施設でも其れは変わらず、長い時間をかけてシャワーを利用して身体を洗うのが専らであった。


「んっ……ふはぁぁぁ…………」


長く、細く息を吐いて身体を弛緩させていく。
ゆっくりと身体に熱が溜まっていくのが判る。

気を張り続けるのが、リレッタを動かし続ける方法でもあったが
逆に息を抜き方というものを彼女は殆ど知らなかった。


「……う……っくぅ〜………」


身体を伸ばして、マッサージをする。
その間、頭にあるのは3人のことであった。

まず、ジュリ。

素性が知れないのは、いい。
それは互いにあまり深入りする事も無いし、必要以上に知ろうとも思わない。

しかし、彼女の場合は「唐突に湧き出た」かのような異様さがあるのだ。

何処からか来訪してきたにしては戸惑いが多いし、
「此処がどういう場所なのか」すらも判っていない様な節があった。

迷子、というには年も服装も違和感を覚える。
何処からか逃げ出したかというと、他者への警戒心も薄い。
（だからこそ何処かで捕まり、こうして此処に連れられたのかもしれないが）

「事故」として、例の『分割世界』からやってきた…？

それにしては、「戻る」という意志が薄弱だ。
よほど酷い場所に居た……とするには今度は元の身なりの良さが気にかかる。



……そして、先日から糸が切れたように無気力に―――

いや、あれは無気力というよりは魂が抜けたようだ。
それが体質なのか、それとも何か他の要因の元に発生したのかもわからない。


そして、フライバイ　……に、彼と対峙したグリゴリ。

何があったかの仔細は不明だが
フライバイは離脱し、グリゴリは重傷（だろうか？）を負った。
―――　あそこまで恭順する姿勢を見せていたのは、演技だったのだろうか？

（何が目的だったのかも、真相は謎の中　か）

彼の持っていたストゥーラの扱いについて、今度少し聞いておいたほうがいいかもしれない。





「……はふ……」

身体を起こす。
思考を巡らせるには大分火照ってきてしまったようだ。

温い水で少し身体を冷ましてから浴場を出る。



（もう少し、集める量を増やすべきかな……）


少しだけ赤みを帯びた手を壁にあてると、薄く滲んだ赤が残った。

渡された本を呼んでいる

　クロエは結構な量のあるランチを前に、目を輝かせている。

　そんなことをしゃべりつつ、クロエはバゲットやチキンサンドを食べていく。

　おなかが減っていたのか、少しだけペースが速いかもしれない。

思っているより。と言われた言葉に男は肩を竦める。

気にくわないように片頬をゆがめるも、
感謝を述べて、席をたつリヴィアを見送る。

靴音と置かれる声に、暫し視線を送った。


　・

　・

　・

仕事帰り、出てくるのを待っていたらしい男は
つけていた壁から背を離した。

案内に嫌味の抜かれた声で相槌を返し、
酒は嫌いじゃない。と答えながら緩めた歩調で隣を歩く。

だいたい料理人の舌は肥えてるもんだ。と、疑わぬで店へ歩く。

手に息を吐きかける様子に、問いというには
決めた調子で、男はぼやいた。

やらかした。
リレッタの手中でピンが引っこ抜ける。こうなると爆破までものの数秒である。
こうなったら……

☆ダイス目に頼ってみよう
1〜2：咄嗟にエミリーが駆け出しリレッタの手から手榴弾を回収して、明後日の方向にぶん投げようとする。
3〜4：手榴弾をリレッタの手から取るものの間に合わない、見事に二人とも爆心地で大爆発に巻き込まれる。
5〜6：ダッシュした瞬間足がもつれてその場ですっ転んだ！ 現実は非情である。

果たして結果は！？
1D6 = 6 ( 6 )