獣の頭蓋をかぶった少年は、腰にぶら下げら幾つかの小さな人形を、小高い岩の上に並べていた。
少年の故郷の言葉でラベと呼ばれるそれらは、少年の手作りでお世辞にも出来の良いものではない。
それでも、ここに来て初めて作られた猫型のラベと比べると、最近のものはマシなレベルになったようだ。

「どうしたのだ、少年。そんなものを並べて」
「おう、どうだい？なかなかのもんだろう」
「どうだとドヤ顔で言われてもな。売り物にするならまだまだだな」
「なんだよー。少しは褒めてくれたっていいじゃねえか」
「子供か」
「どっちかって言われりゃ子供だよ」
「そりゃそうだな。その年で大人だと言い張らないことは褒めてやろう」
「それはほめられても嬉しくねえな」
「ともかく、そのラベとか言う人形に関してはお世辞にも褒められたものではない。要精進だ」
「ようしょうじん？どっかの国の人間か？」
「もっと努力をしろということだ馬鹿者」
「ならそう言えよ」
「すまんすまん。少年が馬鹿だということを忘れてたよ」
「ひどい言い草だな」
「怒らんのか」
「慣れたよもう」
「良い心がけだ。ところで少年、今更ながらそのラベとはただのおもちゃなのか？」
「あー、おもちゃって言えばそうだな。祭の時に作って売るんだよ」
「ほう」
「オイラたちの住んでることはな、生まれた日によって決まってるネグってのがあってな
その年の祭りにその動物のラベを産まれた子供にあげるんだとさ」
「ネグは動物のことだったな。なるほど、ならば守護者のようなものだな」
「言われてみればそうかもな。でそのネグを大事にしなさいとかそんなこと言われるわけさ」
「少年のネぐとやらはなんなのだ？」
「へっへっへ実はな…」
「…まさか」
「ガボだ」
「ガボってなんだ？」
「んー、熊だな。ププカでなくて残念だったな」
「蛙だったらどうしてくれようと思ったところだ。安心したよ」
「ちなみに火トカゲ…ヴォーライヌってのもちゃんとあるぞ」
「ほほう。ちなみに知り合いにはいるのか？」
「姉ちゃんだ。よかったな」
「…勘弁してくれ」
「そうだな、お前がヴォーライヌだって姉ちゃんの前に出てったら、怒って踏みつぶすかもな」
「恐ろしいことを言うな」
「大丈夫、ププカだって言えばばれないから安心しろ」
「何を安心しろというのだ、失礼な」
「ははは。まあなんにしろ沢山集まったもんだな」
「そうだな。それは皆、少年の力となる。使い方を誤るな」
「わかってるよ」
「出てくる敵もずいぶん強くなってきた。王様とやらも本気なんだろう」
「近付いている証拠だろうな。俺も驚いてるよ」
「なんだ、お前も会ったことなかったのか」
「少年と会わねば森から出ることもなかっただろうな」
「そうか。よかったのか？」
「何がだ？」
「だから、オイラについてきたこと」
「今更だな。既に独り引き返すには厳しすぎる道、進むしかあるまい」
「ならかいやくされないようもっと役に立ってくれねえとな」
「言われんでもわかってる」

少年の言葉に応えるように、並べられたラベがカタカタ震え、鳴いた。パタパタと羽を動かすものもあった。
これらは少年とエンブリオとの契約の証。その場にはいない彼らとも繋がっているらしい。

一人と一匹の夜は更けていく。
明日はどんな出会いがあるだろうか。

興味をそそられたようで重ねて問うた。
自分のエンブリオについて尋ねられれば、それがな、と少し難しい顔をして。

何やら商売とお金の匂いがしている！

しゃりしゃりとカキ氷機を回して量産している。シロップも色のバリエーションが大変豊富だ！
……が、あまり調子に乗って食べすぎると頭に大ダメージがくるコトだろう。