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社長の日記17日目

「気分爽快！　スカっと爽やか！　もう最高！」とはこういうことを言うのだろうか！

社長の3回目となるPKK！　それは無事に成功した！
相手はメルンストゥーラのフライバイである。

彼の持ってる143PSとアイテムを奪取！
さらにその後、彼を農場にぶち込み、首にかかっている445PSを頂いた！

合計で588PS！　それが社長の今回の一戦で得た収入だった。

手持ちの資金と合わせて合計で880PS。
「こんなにPSを所有したのは初めてだ！」と社長は興奮している。

こんなに大金を手にしたならやってみたいことがあった。
それは、大金で自身の頬を叩くという行為である。

早速行動に移す。

（ぺちんぺちん）

右手に所持したPSの塊で、自身の頬を叩く。
表情は愉悦である。

この行為には全く意味は無い。しかし、憧れがあった。
男のロマンがあった。


…………

一人札束ビンタごっこに満足し、改めてフライバイのことを思い出す。

彼の行動は色々と面白かったが、何より一番気になったのは、「仲間たちはフライバイを助けなかった」ということだ。
てっきり賞金の肩代わりをするんだと思っていたが。

真っ先に思い浮かんだ理由がこれである。

いや、もしくは……

彼に感じた様子からだと、後者のほうがしっくり来る気がする。

では何故、彼はそんなことを……？


……


社長はしばし考え込んだ後、「まぁ、何でもいいか！」と威勢よく声に出した。

フライバイの事情を知ったところで何が変わるわけでもない。
ならば、それは知らなくて良いことだ。

それが利己主義をモットーとする社長の結論だった。

そう、今は880ものPSをどうするか、これに頭を悩ませるのが最適であり、

また最高でもある。

手持ちの素材を覗き込み、必要な強化方法に思いを馳せる。
目星がついたら、腕の良い職人たちに加工を頼み、依頼料をPSで支払う。

ひと通りその作業が終わった時、社長の財布の中身にはまだ500ものPSが残っていた。

嬉しい悲鳴である。

しかし贅沢と言っても、社長には何に使ったらいいかパッと思いつかない。

「では金持ちと自分は何が違うのだろう？」と社長は考える。
至った結論は「オシャレ（ブランド物を着ること）」だった。

発想がまんま成金である。

一揆参加者の女性たちは可愛い子が多い。社長が住んでるタンポポ荘も同様だった。
社長は彼女らに対し友人のように接しているが、女性として気にしていない訳ではない。

ただ、「自分じゃ彼女らと釣り合いが取れないだろうな」という非モテ特有の諦めの境地に至ってるから、
そういう対応になってるだけだ。

要は色気づいたという奴だ。

「オシャレにすると決まったなら善は急げ！」とでも言うように、
社長は目についたそこそこ良いお店へと入っていった

……（1時間後）……

・ブランド物のTシャツ！（50PS！）
・ブランド物の短パン！（50PS！)
・ブランド物のスニーカー！（50PS！)
・ブラモンド物のメガネ！（100PS！)

これが社長の購入したものの全てだ。

何を買えばいいか分からなかったので、今の自分と同じ格好の物のブランド品を買った。
相変わらず季節感のない小学生みたいな格好をしているが、そこそこ小奇麗にはなったようにみえる。

そして今、最後の仕上げにと『マッサージ付きの美容院！(50PS！）』に入っている。

ちなみに、社長が美容院に入ったのは初めての経験。
いつもは床屋か、親に切ってもらっていた。
筋金入りのダサさである。



……

社長が美容院から出てきた。
伸びっぱなしだった髪とヒゲは綺麗に揃えられ、清潔感のある表情になっていた。

「いやでも、妙にざっぱりしすぎじゃないかな……？」と、
近くにあるショーウィンドウに、自身の顔を写す。

そこには、見知らぬ男が立っていた……！

表情を変えてみる。

ガラスの中の彼も、それに合わせて表情を変えた。

どうやらこのイケメンは、自分らしい。
と、ようやく理解。

……

あまりの大変身っぷりに、社長は自分の姿に笑ってしまった。

それは半分正解。半分不正解。
確かに、小奇麗になったのは美容院と服を変えたおかげだ。
だが、残りの半分は、社長に自信がついたからだ。

自信が付くと、人は顔つきが変わるという。
三回ものPKKに成功した社長。
その成功体験は、挫折した過去の経験を乗り越えるには十分であり、また、芯となる自信を彼に与えた。


それが表情に現れ―――

　↓

……骨格まで変わっているようにも見えるが、それはきっと気のせいだろう。


今ここから、自称社長ではなく、真の社長になるための社長の物語（ややこしい）が、
始まる―――かも知れないし、始まらないかも知れない。




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社長の新アイコンはENo.43 一薬童子 の PL ぷいにゅえる 様に描いて頂きました。
ウッヒョー！　新アイコンの社長カッケー！（ごろんごろんごろん）

なぜか、肩を落とした社長に気がつき、頭に？を浮かべる。

巻き寿司ののった小皿を社長の前に置く。
…すると、ころりと巻き寿司が転がり、皿の上から机の上へと落ちそうになる。

指先でちょっとだけ巻き寿司に触れ、皿の上から落ちないように止める。

何事もなかったように手を離した。

そういえば彼女の仲間はこの一揆が興って間もない頃に、"過去庭"の最初の犠牲者になったのだったか。

この寂しそうな表情も感傷ではなく、つい最近の実体験から来る表情なのだろうと思っているうちに表情が変わる。
若さなのか、忙しくも元気な少女である。

（もしゃもしゃ）