「君はフライデー」

「私はフライデー」

「僕もフライデー」

「どうしよう」

「どうしようか」

「面倒な事になった」

「面倒な事になってしまいましたねぇ」

「綺麗は穢い」

「穢いは綺麗」

「セルカークの判断を仰がなければ」

「ボディの問題はどうする？」

「良いアエレアは死んだアエレアのみ」

「赦されない」

「ということは、続くの？」

「まだまだ。まだまだ」

「じゃ、どうするの？」

「時間が足りない」

「解った。それじゃあ、必要なのは」

「一時凌ぎ」

「凌ぎを削った」

「一時凌ぎ」

「セルカークの判断がないと」

「私達は何もできない」

「だってフライデーだし」

「イリスちゃんの状態がグリーンになったよ」

「あ、そう」

「フライデー？」

「うん、フライデー」

「君も？」

「お前もだよ」

「セルカークは言っている」

「緊急コード852を発令します。ボディの再構築が急務となりますが、さしあたっては先日処分した、ナイトスピリットの屍骸、あるいは残留思念を利用します。その後はただちに残骸の確保と、ADAMALICEの再起動を行います。問題の解消は、852のガイダンスに従い早急に行って下さい。以上です」















「アエレアに、問題はありません」



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「現在のパラメータを表示します」






「パラメータが規定の値に達しました」

「ボディの損傷度が激しい為、簡易アップデートを開始します」

「……完了」

「ＡＩ【ADAMALICE】が正常にアップデートされました」

「Ｃ-Cold（冷徹）Ｉ-Irony(皮肉)　Ｉ-Idleness（無為）」

「３つの回路が作動します」

「ＡＩ【ADAMALICE】正常に作動しています」

貴女の言葉を聞けば、詩人はその瞳を貴女の瞳にまっすぐ向け、何かを探るように、感じ取るように、ずっと見つめ続けました。
数分は経ったでしょうか、何かを感じ取ったのか、

本来であれば理解の及ぶはずのないもの。
しかし貴女の説明に似通った存在を知っていたのか、詩人はとっても納得した様子で貴女にそんな問いを向けました。

さて、問題はここからである。
差し出した誘いの手はいまだ繋がれたままで、ともすればもはや選択肢はあらず。
その唯一無二のルートの先にある結果は、沈むか、引き上げるか、二つに一つである。

助けようとしてか、それとも反射的にか、沈む貴女の手を強く握って引き上げようとします。
が、果たして何ら身構えていない男性が片手で、機械仕掛けの身体を引き上げる事ができるだろうか。
否、断じて否である。
つまり貴女と詩人はいまや２つで１つ。いうなれば運命共同体。
何処まで沈むのか…どれほど深いのか……。

右腕をかばいながら周囲を見渡し、小さく息を吐きだした……。