今回は急遽予定が変わった。
一揆を成すにはとりあえず中に入って、敵の本拠地で暴れるのが手っ取り早い。
そう思って色々聞いてみた所、どうも城内へ侵入する方法は複数あるらしい。
その中で最も容易に終えられそうなのが砂地を経由するルートだった。

あの糞暑くて禄に物事も考えたくないような砂地に行った理由としては、テオはともかくエルとリシュを連れて正面突破なんて面倒臭い事はやりたくないと思ったから。
あとミニドラゴンを狩ってみたいとか、ザントマンってあれ中身は人なのかバラしてみたいとか、“タクアンニンジャ”って言うすげー種族の女が見てみたかったっていうのもあるけど。

他にも砂地で拾える物が、個人的に興味があるものばかりだったのもある。
どうもこの世界の鍛冶師……職人か？は、面白いものばっか素材にして、しかも馬鹿に出来ない程の効果を引き出してみせる。
魔法使う奴には効果的だから頭蓋骨拾ってやったのにエルはびびるし。どんだけ気弱なんだ。よく今まで死ななかったなーあれ。

俺もヒロの真似して何回か試してみたけど、さっぱりだ。形にはなっても、あの湧き上がる力っていうか、素材を生かす――
あれ、これは料理だっけ？まあなんでもいいや。とにかく、引き出す方法が俺にはない。
非常に不満だが、魔力が関係してるなら手の出しようがない。昔から魔法絡みはからっきしだった。
だからこそエンブリオとやらの不思議生物と契約できるのは、すげー楽しい。
少しはあいつらに近づけてるんのかなって考えるけど、けどそれもすぐに、こんなんじゃまだ
（続きの一行ほどが黒く塗り潰されている）
あー何書いてるんだかよくわかんなくなってきた！文章面倒臭い！

とにかく、ニンジャとやらのトコに行くよりもっと早く城内に入れる方法知ってる奴についていく事にした。
……一行で終わった。最初からこれだけ書いてればよかった。
連れて行けるのは二人だけ。なのに何で一番駄目そうな所選んだかっていうと、エルくらいしかまともな防具持ってなかった。
外より中の方が純粋にやばいと思ったから、どう見ても(見た目はともかく)一般人並の強度の服着てるリシュと、暗殺者って言う職だからかも知れないが、それにしたって軽すぎる鎧着てたテオじゃやばい。
つーかそもそも、暗殺者ってギルドに入ったり背後から奇襲するもんじゃないのか？
あんな前衛で戦ってていいのか？それとも俺が知らないだけで他の世界の暗殺者は“タノモー！”って言いながら乗り込むのか？
世界って不思議だなぁ。

相変わらず腹立つ事ばかり言うラーナが煩い。
ペンの先で石をガツガツ削ると「痛くは無いですけど音が気持ち悪いですっ」って言うから、さらに勢いよく削ってやった。

*** ***

「もうウルフでいいんじゃないかな」と面倒臭そうに呟いたドライな狼と、果たして仲良くできるかなと思う一羽が
騒ぎ続ける一人と石を生暖かい目で見ていたが、結局覚えなおすのが面倒と言う適当な理由でタケノノはやはりタケノノとなった。

おどおどとした青年が、あなたたちにおっかなびっくりした態度で話しかけてくる。

色々ぶち壊しのツッコミした。

一人疑問を零すが、クロウに聞いても仕方ないと思ったのだろう。
改めて彼を見る。

陽気に声をかけ、手を振りながら近づいて行く

全身が血で濡れている。大丈夫だろうか。