ずるずるずる、と僕は引きずられている。
猫みたいに首根っこを掴まれて、大きな袋でも運ぶかのようにずるずるずると引きずられている。
引き摺っているのはクロウさんで、何故こんな仕打ちを受けているのかというと、まあいつものように逃げて捕まったわけである。

「あーるーはれたー、ひーるーさがりー、いーちばーへつづーくみちー」

　引き摺るのはいい……いや、やっぱりよくないんだけど、この歌はどうにかならないものか。
　無駄にうまいのがなんだかすごい困る。

「知り合いが歌ってたんだよ。なんとなく今の状況とマッチしているしな」

とのことらしい。……それなら、仕方ない、のだろうか。

「にーばーしゃーがー、ごーとごーとー、エールーをのーせてーゆくー」
「かーわー……いくはないな、エールー、うられていくよー」

/s2/！？

「冗談だけど、いい加減人に慣れろよな。避けてばっかじゃ、相手もいい気分しねえだろ？」

……………………………………

……………………………僕は。

おどおどとした青年が、あなたたちにおっかなびっくりした態度で話しかけてくる。

何かに思いを馳せるような表情を見てテオも何か思ったのか、再び質問を投げかける。

　普通に財布を受け取って、確認してから半分ほど抜いてそのまま返す。

　本当は（全員の十分な装備の手配をするのに）十分だ、と言う意味なのだが、どう考えても言葉足らずである。

　その後妖精の視線を触りたいのかと勘違いしたのか、アンジェを掴んで差し出す。

全身が血で濡れている。大丈夫だろうか。